インテル、ジョアン・マリオ問題に正式終止符──FIFAとCASが全面的にクラブ側を支持

長年インテルを悩ませてきたジョアン・マリオとスポルティング・リスボンの紛争が、ついに終結を迎えた。2020年に端を発したこの問題は、選手契約の終了をめぐる“反ライバル条項”をめぐる法的論争として注目を集めたが、FIFAとスポーツ仲裁裁判所（CAS）がいずれもインテル側の主張を全面的に支持。クラブの2024-25年度財務報告書で正式に「完全終了」と記された。

コメント引用

“The case is to be considered fully archived.” ― Inter Milan 2024–25 Financial Report

分析・考察

この紛争の本質は、契約解除によって選手が“ライバルクラブ”へ移籍することを容認したかどうか、という法的・倫理的な解釈の違いにあった。ジョアン・マリオは2020年にインテルからスポルティングへレンタル移籍した後、契約解除を経て翌年にベンフィカへ加入。この流れに対し、スポルティングは「反ライバル条項（anti-rival clause）」違反として3,000万ユーロの賠償を要求した。 しかし、FIFAは2023年にスポルティングの訴えを退け、CASも2025年初頭に控訴を棄却。これにより法的な争いは完全に幕を閉じた。興味深いのは、CASが「取引の経済的ロジックは不透明」と指摘した点だ。なぜインテルが契約解除を選び、なぜベンフィカが“フリー移籍”の形を取れたのかという点には依然として疑問が残る。 それでも、今回の判決はクラブにとって大きな意味を持つ。長年、財務報告に「潜在的リスク」として記載されていたこの係争案件が正式に削除され、経営的にもクリーンな状態となった。インテルが欧州の舞台でより安定した財務基盤を築くうえで、この“影”を払拭できたことは非常に大きい。

感想

ジョアン・マリオの移籍問題は、ファンとしても釈然としない部分が多く、長らくクラブの名誉に影を落としていた。しかし今回の決着によって、インテルは法的にも倫理的にも潔白であることが証明された。 同時に、近年のインテルが法務や契約管理をどれほど慎重に進めてきたかを再確認する機会にもなった。選手の価値を最大化しつつ、リスクを最小化する。経営面でも“勝者のクラブ”としての成熟が見える。ピッチ上の結果だけでなく、クラブ経営そのものがヨーロッパ屈指の安定感を誇る段階に達しているのではないだろうか。

まとめ・今後の展望

ジョアン・マリオ問題の終結は、インテルにとって財務面・イメージ面の両方で追い風となる。これでクラブは余計な法的リスクから解放され、純粋にチーム強化とタイトル争いに集中できる。ボニーやラウタロといった新世代が躍動する今、クラブ全体が“未来志向”へと完全に舵を切った。