
3500万ユーロ。それがリヴァプールの提示する価格であり、これ以上の値引きには応じないと英国側は伝えている。対するインテルは、その数字よりもずっと下を狙っている。あいだを埋めるのは金ではなく、時間と選手本人の意思。そしてこの金曜の朝、ミラノの背後に立つ米投資ファンドが、ようやく首を縦に振った。動くのは、来週。
8月14日の朝刊各紙が、そろってカーティス・ジョーンズ(Curtis Jones)の名前を一面級で扱った。トゥットスポルト(Tuttosport)は「インテル、ジョーンズに全エネルギー」と打ち、獲得に向けてオークツリー(Oaktree)の承認が出たと報じている。同紙はリヴァプール側からもシグナルが届いていると付け加えた。クラブを実質保有する米投資ファンドが動く許可を出したという事実は、この交渉の位相が変わったことを示している。
一方で金額は歩み寄っていない。FCInterNewsによれば、リヴァプールが設定する価格は3500万ユーロで、英国のクラブからのこれ以上の値引きは除外される。コッリエレ・デロ・スポルト(Corriere dello Sport)は同じ数字を挙げたうえで「インテルが狙っているのはずっと下だ」と書き、同時にネラッズーリには味方がいるとも指摘した。同紙は両クラブ間で新たな接触が予定されていること、そしてリヴァプール側からある要求が浮上していることも伝えている。
進行を縛っているのはもう一つの案件だ。ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)は、ジョーンズの件はルイス・エンヒキ(Luis Henrique)の退団を待つ形になると報じた。ブラジル人のローマ移籍交渉は、クラブ間では折り合いがつく見通しでありながら、本人の年俸条件で止まっている。なお、ダヴィデ・フラッテージ(Davide Frattesi)のラツィオ移籍が同日に条件を書き換えて成立へ進んだことで、インテルが今季受け取るレンタル料は100万ユーロから500万ユーロへと増額された。
原文: "Il centrocampista del Liverpool costa 35 milioni di euro: sono da escludere altri sconti da parte del club inglese"
訳: 「このリヴァプールの中盤の選手には3500万ユーロの値がついている。イングランドのクラブからのこれ以上の値引きは考えられない」
原文: "Inter, tutte le energie per Jones: c'è il sì di Oaktree. Segnali dal Liverpool"
訳: 「インテル、ジョーンズに全エネルギーを注ぐ。オークツリーの承諾がある。リヴァプールからのシグナルも」
米投資ファンドが個別の補強にゴーサインを出すという構図自体が、今のインテルの姿を端的に表している。オークツリーは2024年にクラブの実質保有者となって以来、収支の均衡を最優先に置き、大型の純支出を認めてこなかった。その姿勢は今夏も一貫している。
したがって今回の承認は、「3500万ユーロを出してよい」という白紙委任ではないと考えられる。むしろ「収入が確定した範囲内で動いてよい」という条件付きの許可と読むほうが自然だろう。実際、この朝の報道が並んだ順序は示唆的だ。フラッテージの移籍が条件変更で成立へ向かい、レンタル料が500万ユーロに増額された。その同じ日に、オークツリーの承認が報じられた。因果関係を断定はできないが、出口の確定と入口の許可が同じタイミングで表面化したことは、偶然とは考えにくい。
3500万ユーロという価格に対し、インテルはそれをかなり下回る金額を想定している。この強気を支えているのが、コッリエレの言う「味方」、すなわち時間である。
移籍市場の閉幕が近づくほど、売り手のリスクは増す。リヴァプールがジョーンズを抱えたまま市場を閉じれば、契約年数を消化しながら出場機会を与えられない選手を保有し続けることになる。そして当の選手は、インテル以外への移籍を拒み続けている。この二つが重なると、価格の主導権は買い手側にじわじわ移っていくと推察する。ただしこの戦術には副作用もある。時間を武器にするということは、自分たちも時間を失うということだ。仮に3200万ユーロで着地したとして、それが8月末なら、新加入の中盤がチームの約束事を覚える時間はほとんど残らない。
現実的に見て、8月22日のモンツァ戦にジョーンズがいる可能性はない。フラッテージが去った中盤で、クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)は開幕を迎えることになる。
フラッテージが担っていたのは、試合の途中から流れを変える役割だった。その機能をペタル・スチッチ(Petar Sučić)やピオトル・ジエリンスキ(Piotr Zieliński)がどう分担するかが、まず最初の見どころになる。そしてここに、この交渉の隠れた変数がある。開幕からの数試合で中盤が回れば、フロントは価格交渉で強気を維持できる。回らなければ、3500万ユーロを飲まざるを得なくなる。ジョーンズの移籍金を最終的に決めるのは、彼が出場しない試合の内容かもしれない。
ファンドが許可を出し、選手が待ち、売り手が値を下げないと言う。三者のうち二人はミラノを向いているが、鍵を握る一人だけがまだ向こう側にいる。来週、この構図が動く。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月14日
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