
トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)との合意が成立していたはずの取引が、土壇場で揺らぎ始めた。コリエーレ・デッロ・スポルト(Corriere dello Sport)によれば、インテル・ミラノ(Inter Milan)はトッテナムのGKグリエルモ・ヴィカリオ(Guglielmo Vicario)の獲得を見送り、現所属の控えGKジュゼップ・マルティネス(Josep Martinez)を来季の正GKに据える可能性が浮上している。トッテナムの提示するヴィカリオの2000万ユーロを他のポジションの補強に回す——4000万〜5000万ユーロという限られた予算のなかで、夏の戦略の優先順位が静かに書き換えられようとしている。
ヴィカリオを巡る状況は、ここ数週間で急速に変化している。
インテルとヴィカリオの間には、すでに個人的な合意が成立していると複数のソースが報じてきた。残る課題はトッテナムからの了承で、トッテナムはヴィカリオの評価額を2000万ユーロに設定している。
しかしコリエーレが伝えた最新の情報は、この既定路線を覆すものだ。インテルはヴィカリオの獲得を最終的に見送り、その予算を他のポジションの補強に充てる選択肢を真剣に検討している。背景にあるのは、限られた予算の優先順位だ。ガゼッタ・デッロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)が報じた4000万〜5000万ユーロの基本予算のなかで、CBや中盤、攻撃陣の補強を優先する判断が浮上している。
代替案がマルティネスの正GK昇格だ。27歳のスペイン人GKは2024年夏にジェノア(Genoa)から1400万ユーロでインテルに加入した。今季はヤン・ゾマー(Yann Sommer)の控えとして全コンペティション8試合の出場にとどまっているが、ゾマーが契約満了で6月に退団することが確定している以上、マルティネスにとっては正GKに昇格する自然な流れがある。
移籍専門家マッテオ・モレット(Matteo Moretto)も、インテルがトッテナムとの交渉を続けるかどうかについて慎重な姿勢を示していると報じている。「マルティネスが正GKの第1候補になる可能性がある」「ただしヴィカリオを獲らない場合でも、マルティネスと正GKの座を争えるレベルの控えGKを獲得する必要がある」とモレットは指摘した。
マルティネスは今季、ピッチ外でも困難な時期を過ごしてきた。2025年10月に車の事故に巻き込まれ、電動車椅子に乗っていた81歳の男性が亡くなる事故が起きた。事故後の出場機会の限定はその影響もあった。
ラツィオ(Lazio)との今後の2試合——5月9日のセリエA(Serie A)戦、5月13日のコッパ・イタリア(Coppa Italia)決勝——でマルティネスは正GKとして起用される予定だ。
ヴィカリオとの個人的合意が成立していたにもかかわらず、それを見送るというのは一見すると不可解だ。しかし4000万〜5000万ユーロの基本予算という制約のなかで考えれば、その判断は極めて合理的だ。ヴィカリオの2000万ユーロは、コネ(Manu Kone)の4000万ユーロやパレストラ(Marco Palestra)の4000万ユーロと比較すれば「半分」だが、フィールドプレーヤーの強化に振り向けたほうがチーム全体の戦力向上に直結するという見方は十分に成り立つ。マルティネスを正GKに据える前提があるなら、GKポジションに高額投資をする緊急性は薄い。マロッタ(Beppe Marotta)会長が「イタリア人の核を強化する」と発言した方針も、必ずしもイタリア代表GKのヴィカリオ獲得を意味しない。スペイン人GKでもセリエA経験を持つマルティネスがいる以上、より緊急性の高いポジションに資金を回すという判断は、フロントの冷徹な計算の表れだ。
マルティネスを正GKに据える判断には明確なリスクが伴う。今季の出場は8試合のみで、長期的なシーズンを通じて正GKとして安定した パフォーマンスを発揮できるかは未知数だ。さらに2025年10月の交通事故で81歳の男性が亡くなるという、ピッチ外での極めて重い経験も抱えている。その精神的な負担を抱えながらシーズン38試合のセリエAと、CL(チャンピオンズリーグ)グループステージなどを戦い抜く負荷は計り知れない。一方で、リターンも明確だ。マルティネスはまだ27歳で成長余地があり、1400万ユーロという比較的小さな投資で獲得した選手だ。彼が正GKとして機能すれば、2000万ユーロのヴィカリオを獲るよりも経済合理性が高い。モレットが指摘する「マルティネスと争えるレベルの控えGK」を1000万〜1500万ユーロで獲得すれば、合計1000万〜1500万ユーロでGK問題を解決できる計算になる。
5月9日のセリエAラツィオ戦と5月13日のコッパ・イタリア決勝は、マルティネスにとって来季の正GK決定の前の重要な「面接試験」になる。スクデットはすでに確定しているためセリエA戦自体の重要度はやや下がるが、コッパ・イタリア決勝は二冠の最後のピースを懸けた一戦であり、最高の舞台でのパフォーマンスが問われる。ここで安定したプレーを見せれば、フロントにヴィカリオ獲得を見送る判断を後押しする材料になる。逆にミスが目立てば、トッテナムとの交渉を再開する流れに戻る可能性もある。「決勝のGK」という重圧の中で、マルティネスがインテルでの自分の未来を自分のグローブで掴めるかどうか——5月のローマで、もう一つの戦いが繰り広げられる。
合意は契約ではない。ヴィカリオとの個人的合意があっても、最終的にインテルが選ぶのは他のポジションへの投資かもしれない。マルティネスにとっては、ラツィオ戦2試合が来季の正GK昇格を決めるオーディションになる。1400万ユーロで加入した男が、2000万ユーロのライバルを退ける可能性が、サン・シーロでも、ローマでも開かれている。
記事タイトル: Potential Inter transfer U-turn on Vicario despite agreement with Tottenham goalkeeper
出典元記事URL: https://football-italia.net/inter-not-sign-vicario-agreement-tottenham-gk/
公開日: 2026/5/8
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月8日
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