
CBとMFの交渉に人手を割いているうちに、忘れられていた穴がひとつあった。サイドである。マンチェスター・シティ戦のあと、キブは穏やかな口調のまま、右でも左でも構わないから一枚欲しいと明言していた。それでも候補の名前が並ぶばかりで、投資に踏み切れる相手は一人も現れない。そして37歳のクロアチア人が、また名乗りを上げてきた。
8月5日午前、FCInterNewsが伝えたところによれば、8月5日時点でのインテル・ミラノのサイド補強は行き詰まっている。クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)はマンチェスター・シティ戦のあと、いつもの落ち着いた口調を保ちながら、右か左かにかかわらずサイドの選手が一枚不足していると明言していた。CBと中盤の交渉に注力するあまり後回しになっていたポジションだが、必要性は明白なままである。
検討対象そのものは豊富にある。ただしマルコ・パレストラ(Marco Palestra)とアナン・ハライリ(Anan Khalaili)については、インテル側が意識的に交渉を打ち切った経緯がある。現時点で、フロントと監督の双方を完全に納得させる横の選手は、少なくとも資金的に手の届く範囲にはいない。ムサ・ディアビー(Moussa Diaby)は1月から評価しているものの、アル・イテハド(Al-Ittihad)との交渉は経済面で相当に複雑であり、フランス人の年俸自体も巨大な障害になりうる。ニコ・ゴンサレス(Nico González)は代理人主導のダヴィデ・フラッテージ(Davide Frattesi)との交換案であり、クラブが自ら動いている案件ではない。
そこで浮上したのがイヴァン・ペリシッチ(Ivan Perišić)である。37歳のクロアチア人は少なくとも3年前からインテル復帰を望んでおり、今年1月にも本気で移籍を期待したが、フロントの熱量の低さを確認して終わっている。だが状況は変わった。先発として計算できる選手が市場に出てこない以上、経験があり環境を熟知したローテーション要員を加えるという発想には一定の合理性がある。加えてPSVアイントホーフェン(PSV Eindhoven)にはフィリップ・コスティッチ(Filip Kostić)が加入し、同ポジションで出場機会が減るリスクが生じた。ニコロ・スキーラ(Nicolò Schira)によれば、直近になってスプリト出身のこのサイドは代理人サイドからインテルに提案されている。
原文: "Ergo, lo scenario al 5 agosto è lineare: serve un esterno ma non ce n'è uno sul quale si voglia investire, rimanendo entro i limiti del buon senso."
訳: 「したがって、8月5日時点のシナリオは明快だ。サイドは必要である。だが常識の範囲に留まる限り、投資したいと思える選手が一人もいない」
原文: "E anche se in tempi recenti Piero Ausilio abbia negato l'interesse nei suoi confronti, la necessità potrebbe spingerlo a cambiare idea per non restare scoperti nel ruolo o investire su un profilo che non convince al 100%."
訳: 「そして最近ピエロ・アウジリオが彼への関心を否定していたとしても、必要性が彼の考えを変えさせる可能性はある。そのポジションを空けたままにしないため、あるいは100パーセント納得できない選手に投資しないために」
この記事でもっとも重要な表現は、投資する相手がいないという結論そのものではなく、それに付された「常識の範囲に留まる限り」という条件節である。つまり払えないのではなく、払う気がない。オークツリー体制下のインテルは、支出の上限を戦力の必要性ではなく市場価格の妥当性で決めている。
パレストラとハライリの交渉を自ら打ち切ったという記述も、この読み方を裏づける。値段が跳ねたら降りる、という原則を夏の間ずっと維持してきた結果、いま手元に残っているのは「安くはないが納得もできない」候補ばかりになった。ディアビーの一件で年俸が障害として繰り返し挙がるのも同じ構造である。デンゼル・ダンフリース(Denzel Dumfries)が抜けた穴を、同格の選手で埋め直すつもりが最初からなかったのかもしれない。
ペリシッチ復帰案に感情的な抵抗を覚えるファンは少なくないはずだ。2022年に去った選手が、37歳になって戻ってくる。育成と若返りを掲げてきたクラブの方向性とは、明らかに逆を向いている。
ただし用途を先発ではなくローテーションに限定するなら、話は変わる。3-5-2のウイングバックは走行距離の要求が大きく、シーズンを通して4人の頭数が必要になるポジションだ。そこに適応期間ゼロの経験者を安価で置く発想は、消極的ではあるが破綻はしていない。問題は、その席が本当にローテーション用に留まるのかという点にある。開幕までに他の選択肢が現れなければ、控えは先発に変わる。
ペリシッチの側から見れば、この夏は明らかにチャンスである。3年前からインテル復帰を望み、今年1月にも動きかけ、そのたびにフロントの温度差で終わってきた。今回初めて、クラブの側に埋めなければならない穴がある。しかも彼は、その穴の形をよく知っている。
アウジリオが直近で関心を否定しているのは事実であり、この案がそのまま進むと断言するのは早い。ただ必要性が判断を変えるという展開は、移籍市場では珍しくない。
補強とは、欲しい選手を買う行為ではなく、買える選手のなかから納得できる一人を選ぶ行為である。インテルはその一人をまだ見つけていない。開幕までに答えが出なければ、37歳が最も現実的な答えになる。それを妥協と呼ぶか、賢明と呼ぶかは、シーズンが決める。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月5日
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