
2026年1月のメルカートにおける最大の注目株、ジョアン・カンセロの去就はバルセロナへの帰還という形で決着した。これに伴いインテルは冬の即戦力補強を見送り、デンゼル・ドゥンフリースの長期離脱という危機を既存戦力のみで乗り切るという大胆な賭けに出る。一見すると補強失敗による消極策に見えるが、クリスティアン・キブ監督の狙いは明確だ。それは、ブラジル人FWルイス・エンヒキのウイングバックとしての完全な覚醒と、夏に見据えるアタランタの才能マルコ・パレストラの獲得である。
『La Gazzetta dello Sport』などの現地報道によれば、インテルはアル・ヒラルに所属するジョアン・カンセロのローン獲得に向けて口頭合意に近づいていたが、選手本人が古巣バルセロナへの移籍を熱望したため、交渉は破談となった。
この交渉の裏では、アル・ヒラルを率いる元インテル指揮官シモーネ・インザーギが、かつての教え子であるステファン・デ・フライやフランチェスコ・アチェルビをトレード要員として要求していたとされる。しかし、カンセロのバルサ行きにより、この大型トレード案も白紙に戻った。結果としてインテルは今冬の右ウイングバック補強を凍結。キブ監督はルイス・エンヒキ、マッテオ・ダルミアン、そして中盤からのコンバート枠であるアンディ・ディウフで残りのシーズンを戦う決断を下している。
カンセロという「世界最高峰のカード」を失ったことは事実だが、冷静に分析すれば、この結末はインテルの持続可能なチーム作りにおいてポジティブな側面も大きい。
1. ルイス・エンヒキの「攻撃的守備」への適応 今回の決断の核心は、2025年夏に加入したブラジル人、ルイス・エンヒキへの信頼にある。本来ウインガーである彼は、キブ監督の下で守備意識を劇的に向上させている。ドゥンフリースのような圧倒的なフィジカルと高さはないが、ルイス・エンヒキには狭い局面を打開するドリブルと、ハーフスペースへ侵入する戦術的インテリジェンスがある。 カンセロが来ていれば彼の出場機会は激減していただろう。しかし、これで後半戦の右サイドは彼の独壇場となる。かつてイヴァン・ペリシッチがウイングからWBへ転向しワールドクラスへ飛躍したように、ルイス・エンヒキもまた、この半年でインテルの新たな武器として完成される可能性が高い。
2. 守備の重鎮たちの残留がもたらす安定 幻となった「インザーギ・トレード」が消滅したことも大きい。もしカンセロ獲得の対価として、戦術理解度の塊であるアチェルビやデ・フライをシーズン途中に放出していれば、守備組織の再構築に多大なリスクが生じていただろう。 サウジアラビアのインザーギ監督にとっては痛手だが、インテルにとっては熟練のバックラインを維持したまま、CL決勝トーナメントへ臨めることは大きなアドバンテージだ。キブ監督の堅実な守備戦術において、彼らの経験値は金では買えない価値がある。
3. 夏の本命マルコ・パレストラとオークツリーの戦略 そして、『Corriere dello Sport』が報じたアタランタのマルコ・パレストラへの関心こそが、クラブの真の狙いだ。アタランタの育成組織「ジゴニア」出身のパレストラは、ガスペリーニ流のハードワークと現代的なWBのスキルセットを完備した20代前半の有望株である。 冬に高額な30代のカンセロを獲るのではなく、夏に長く貢献できるイタリアの才能パレストラを確保する。これは「若手投資と持続可能性」を掲げるオーナー、オークツリー・キャピタル・マネジメントの方針とも完全に合致する。冬の忍耐は、夏の大型補強への布石なのだ。
「カンセロ破談」のニュースは、インテルが短期的なスター獲得レースから脱却し、長期的なビジョンに基づいたチーム作りへと舵を切った証左である。キブ監督は冬の応急処置ではなく、ルイス・エンヒキの成長という「内部の果実」に賭けた。まずはこのブラジル人がドゥンフリースの不在を感じさせないパフォーマンスを見せられるか。そして夏、パレストラという新たなピースが加わるか。インテリスタは、この戦略的な「静観」の先に待つ未来を信じてよいはずだ。
記事タイトル: What next for Inter after losing out on Cancelo to Barcelona?
出典元記事URL: https://football-italia.net/what-next-for-inter-after-losing-cancelo/
公開日: 2026/1/6
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に、AI・IT技術やサイト運用ノウハウも発信しています。
最終更新: 2026年1月6日
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