
5月17日日曜、スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ。インテルは21個目のスクデットをすでに掴み、ヴェローナは降格が確定している。リーグ的にはほとんど意味を持たない90分が、別の重みを帯びる。ヤン・ゾマー(Yann Sommer)、フランチェスコ・アチェルビ(Francesco Acerbi)、マッテオ・ダルミアン(Matteo Darmian)、ヘンリク・ムキタリャン(Henrikh Mkhitaryan)。契約満了で夏に離脱が見込まれる4人のベテランに、クリスティアン・キブが用意した最後の舞台。
5月15日付のラ・ガゼッタ・デロ・スポルトが朝刊で報じたところによれば、クリスティアン・キブ監督は対ヴェローナ戦(5月17日15時、メアッツァ)を、契約満了で離脱が見込まれる選手たちの「告別出場」の場として活用する意向を持っている。インテルはすでにセリエAでの優勝を確定させており、ヴェローナはすでにセリエBへの降格が確定している。順位への影響がほぼない90分であるからこそ、キブはこの試合を、メアッツァに集まるインテリスタの前で、夏に去りゆく男たちに最後のスタンディング・オベーションを受けさせる場として捉えていると伝えられている。
対象となるのは、契約満了でフリー離脱が確実視される4人——ゾマー(37歳、GK)、アチェルビ(38歳、CB)、ダルミアン(36歳、DF/MF)、ムキタリャン(37歳、MF)。スタメン起用か途中出場かは試合の流れで決まるが、いずれかの形で4人全員がピッチに送られる。ステファン・デ・フライ(Stefan de Vrij、34歳)には契約延長が提示されており、本人も残留に前向きとされるため、今回の対象から除外されている。
原文: "Sicuramente non sarà più il titolare del ruolo, potrebbe forse rimanere come dodicesimo, ma nel frattempo è corteggiato fortemente dal Basilea, sua squadra del cuore."
訳: 「(ゾマーは)確実に第1GKの座にはもう座らないだろう、12番手として残る可能性はあるが、その一方でバーゼル——彼の心のクラブ——から熱烈に誘われている」(トゥットスポルト、4月16日報道)
4人の同時離脱が編成上に与える最大のインパクトは、契約給与の総額が解放されることだ。年俸換算で約1,500万ユーロ前後とされるムキタリャン、ゾマー、アチェルビ、ダルミアンの合計給与は、複数の媒体報道を統合すると総計約3,500〜4,000万ユーロの規模に達する。フリー離脱のためクラブには移籍金収入が入らないが、その代わり翌シーズン以降の給与枠と財政柔軟性が一気に広がることになる。
これは5月15日に同じくガゼッタが報じたオークツリーの1.5億ユーロ予算枠との組み合わせで、より大きな意味を持つ。給与枠の解放と新規予算の確保が同時に起きることで、ピエロ・アウシリオは「主力放出の収入」を頼りにせず、編成の自由度の高さを以て夏の補強を進められる構造になる。ムサ・コネ(Manu Koné)、タリク・ムハレモビッチ(Tarik Muharemović)、ウマル・ソレ(Oumar Solet)といった候補名が現実味を持つ背景には、こうした財務構造の変化があると推察できる。
戦術面でも、4人の離脱は明確な意味を持つ。アチェルビは**「キャグナッチョ型」のCBとして、シモーネ・インザーキ(Simone Inzaghi)時代の低い守備ラインと相性が良かったが、キブのより縦的・高い守備ラインには適応しきれなかった**と複数の媒体が分析する。彼にはサウジのアル・ヒラル(Al-Hilal)でインザーキの下に再合流する選択肢が用意されており、サウジ移籍が現実味を帯びている。
ダルミアンは9月の重傷からシーズン終盤になってようやく復帰、本人側がトリノ(Torino)への復帰を希望している。2011〜2015年のかつての所属クラブへの帰還で、キャリアの大円団を迎える構図と考えられる。ゾマーは古巣バーゼル(Basel)から熱心なオファーを受けており、心のクラブで現役のキャリアを締めくくる選択肢が最有力。ムキタリャンに関しては、シーズン後にクラブ首脳と最終的な意思を伝える予定で、そのまま引退を選ぶ可能性もトゥットスポルトが伝えている。
このフェアウェルの本質的な意味は、2022-23のCL決勝進出、2023-24のスクデット、そして2025-26の21個目のスクデットという、過去5年のインテル黄金期を共に築いた世代の解散にある。アチェルビは2022年、ムキタリャンも2022年、ダルミアンは2020年、ゾマーは2023年加入。それぞれが30代後半に差し掛かり、若返りの優先度が編成判断の中心に置かれた結果と推察できる。
特に印象的なのは、キブ監督自身がこの世代と長年プレーした「インテルの息子」であるという構図だ。彼自身、選手としてこのクラブの黄金期(2009-10シーズンの3冠)を経験した男であり、ベテランの貢献度を最も深く理解する立場にある。消化試合の処理ではなく、最後のスタンディング・オベーションの場として用意するという発想自体が、キブの人間的な側面とクラブへの愛情を映していると考えられる。スクデット獲得の祝賀パレードは試合後に予定されており、4人にとってメアッツァを舞台にした最後の90分は、感情的にも記憶に深く刻まれる時間となる可能性が高い。
降格確定のヴェローナ戦は、リーグの観点では消化試合だ。だがメアッツァのスタンドが最後に湧き上がるのは、スコアラインではなく、4人の背中に向かってだろう。21個目のスクデットを掴んだチームの裏側で、ひとつの世代が静かに退場の準備を始める。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月15日
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