
ピッチを去った男は、いま会議室で戦っている。インテルのハビエル・サネッティ副会長がポッドキャストで語ったのは、シャワーを浴びながら下した引退の決断と、現役のうちから向き合っていた「次の人生」の準備だった。クラブの象徴は、意外なほど静かな口調で自らの過去を振り返っている。アキレス腱を断裂しても戻ってきた鉄人が、若い選手たちにどうしても伝えたい一言とは。
Calciomercato.comは10月8日、インテル副会長のハビエル・サネッティ(Javier Zanetti)がメリッサ・サッタ(Melissa Satta)のポッドキャスト「The Long Game」に出演し、現役時代と引退後の生活を語ったと伝えた。話題はコンディションの維持から引退の決断、副会長という新しい役割まで幅広い。
現役を続ける間は体を動かすことが日課で、いまも「毎日、できる限り」トレーニングし、息抜きにパデルも楽しんでいるという。いちばん恋しいのは練習と仲間だと話した。37歳でチャンピオンズリーグを制したあとも、体の調子がいいからプレーを続けた。ところが39歳でアキレス腱を断裂し、約5カ月半で復帰する。通常は最低8カ月かかるとも語った。そして、ある試合後にシャワーを浴びていたとき、これが最後のシーズンになると初めて思ったそうだ。なお、元記事は負傷時の年齢を「39歳」としつつ「40歳になる頃」とも書いており、記述が揺れている。
引退後、インテルに求められて副会長に就いた。仲間と汗を流す日々は、財務やマーケティングの会議へと変わり、現在はボッコーニ大学で学んでいる。若い世代には「キャリアの終わりを待たずに準備を始めよ」と助言した。ほかにも、選手の心の健康にもっと目を向けるべきだと主張し、クラブにはそれを支えるスタッフがいると述べている。
原文: "Mentre mi stavo facendo la doccia è stato il primo momento che dico questa è la mia ultima stagione"
訳: 「シャワーを浴びている最中が、これが自分の最後のシーズンだと初めて口にした瞬間だった」
原文: "Il talento da solo non basta. Il talento va alimentato tutti i giorni, lo devi allenare"
訳: 「才能だけでは足りない。才能は毎日養わなければならない。鍛えなければならないのだ」
アキレス腱の断裂からの復帰は、通常とされる最低8カ月よりも大幅に短い約5カ月半だったという。それだけの回復力を見せた選手が、あえて引き際を決めたのはなぜか。元記事は断裂と引退の関係に触れていないため、因果を断じることはできない。ただ、一度は体の限界を見たからこそ、「まだ動ける」うちに身を引く判断ができたのではないかと推察する。シャワー室で訪れた静かな決意は、クラブに長年を捧げた男らしい幕の引き方だったと受け取ることもできる。ただし本人が語ったのはあくまで決断の瞬間であり、その後の心境までは元記事に書かれていない。
財務、マーケティング、社会貢献。サネッティが挙げた領域は、スポーツ部門の外側ばかりだ。さらにボッコーニ大学で学ぶという事実からは、象徴的な存在で終わらず、経営の実務に踏み込む意志がうかがえる。ピッチ外の収益力が重視される現代のクラブ運営において、副会長という肩書きの内実が問われやすいことも背景にあるだろう。元主将が経営の言葉を話せるようになることは、クラブにとって小さくない価値になると考えられる。具体的にどの案件に関わるかは、元記事には書かれていない。
「才能だけでは足りない」という言葉は、名選手が名監督になるとは限らず、監督も準備が必要だという文脈で語られた。特定の誰かを指した発言ではない。それでも、若い選手を多く抱える現在のインテルに重ねて読むこともできるだろう。毎日の積み重ねこそが才能を磨くというメッセージは、今も毎日トレーニングを欠かさないと語る本人の口から出たからこそ、説得力を持つのではないか。指導者や選手だけでなく、副会長として組織を預かる立場にも通じる言葉だと考えられる。
試合に出続けた男は、引退してなお、学び続けることをやめない。才能を毎日鍛えよという言葉を、自らの人生で示しているかのようだ。ネラッズーリの象徴が次に見せるのは、経営者としてのどんな顔だろうか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年10月8日
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