
夏の中盤プランが、思わぬ大物の出現で根底から揺らぎ始めた。トゥットスポルト(Tuttosport)の報道によれば、レアル・マドリード(Real Madrid)がコモ(Como)所属のアルゼンチン代表MFニコ・パス(Nico Paz)を6000万ユーロで売却可能としたことで、インテル・ミラノ(Inter Milan)が中盤市場へのアプローチを根本から再考している。ジョーンズ(Curtis Jones)獲得を完全に棚上げする可能性も浮上した——ジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)体制下のレアルがバストーニ(Alessandro Bastoni)を守備の補強リストに入れている事情も絡み、ニコ・パスを「インザーキ時代のルイス・アルベルト(Luis Alberto)」のような攻撃的メッザーラとして起用する戦術的転換が検討されている。実現にはオークツリー(Oaktree)からの特別予算が必要だ。
トゥットスポルトが伝えた状況は、インテルの夏の中盤戦略の大きな転換点を示している。
レアルがニコ・パスを6000万ユーロで売却可能としたことが、すべての起点だ。これまでインテルはニコ・パスの獲得競争から一歩引き、予算をパレストラ(Marco Palestra)の獲得に振り向けていた。しかしレアルが予想外に売却に前向きになったことで、ネラッズーリ内部で再び議論が再燃した。
レアルの売却姿勢の背景には、モウリーニョ体制下の補強の優先順位がある。注目すべきは、モウリーニョがバストーニを守備の補強リストに入れているという情報だ。レアルがニコ・パスを売却して資金を作り、その資金でバストーニら別の選手を狙う構図が透けて見える。
課題は財政面だ。ニコ・パスの獲得には、すでに計画されている選手売却に加えて、オーナーのオークツリーからの特別な予算注入が必要となる。
ここでジョーンズの状況が直接関係してくる。
インテルはリヴァプール(Liverpool)にジョーンズ獲得で2000万ユーロを提示していた。しかしトゥットスポルトによれば、クラブは戦術的な転換を検討している。ニコ・パスを、インザーキ(Simone Inzaghi)のラツィオ(Lazio)時代のルイス・アルベルトのような攻撃的メッザーラとして起用する構想だ。
ニコ・パスがその創造的な中盤の役割を埋めれば、ジョーンズは不要になる。そしてジョーンズに充てる予定だった2000万ユーロの予算を、ニコ・パスの獲得に振り向けられる。
さらに資金を捻出するため、インテルは大規模な選手売却が必要だ。ブルッヘ(Club Brugge)で素晴らしいシーズンを過ごしたスタンコヴィッチ(Aleksandar Stankovic)は約4000万ユーロを生む可能性がある。フラッテージ(Davide Frattesi)、ルイス・エンヒキ(Luis Henrique)、パヴァール(Benjamin Pavard)、カルロス・アウグスト(Carlos Augusto)も全員、退団候補だ。
野心的な再構築だが、ニコ・パスの売却が本物だと判明すれば、クラブは検討する用意がある。
ニコ・パスを攻撃的メッザーラとして起用する構想は、インテルの中盤に新たな創造性をもたらす可能性を秘めている。インザーキがラツィオ時代に重用したルイス・アルベルトは、3-5-2の左インサイドハーフから絶妙なスルーパスとゲームメイクでチームの攻撃を司った名手だった。ニコ・パスは今季コモで6得点9アシストを記録し、セリエA(Serie A)U23最優秀選手に選ばれた創造性豊かな選手だ。彼を純粋な攻撃的MFとして中盤に組み込めば、バレッラ(Niccolo Barella)、チャルハノール(Hakan Calhanoglu)の既存勢に、これまでインテルに欠けていた「崩しの専門家」が加わる。ジョーンズが「ボックス・トゥ・ボックス型」の運動量タイプであるのに対し、ニコ・パスは「創造性タイプ」であり、チームに与える質的な変化はより大きい。同じ予算なら、運動量より創造性を選ぶ——キヴ(Cristian Chivu)の攻撃的なサッカーの志向と合致する転換だ。ただし、守備面での貢献度や球際の強さは、ニコ・パスの課題として残る可能性がある。
この取引で最も注意すべきは、モウリーニョがバストーニを守備の補強リストに入れているという情報だ。仮にレアルがニコ・パスを売却した資金でバストーニを狙う構図が現実化すれば、インテルにとっては「ニコ・パスを得てバストーニを失う」という痛みを伴う可能性がある。バストーニはアウジーリオ(Piero Ausilio)が「市場に出ていない」と明言してきた主軸であり、ラウタロ(Lautaro Martinez)、バレッラと並ぶ非売品のはずだ。しかしレアルが7000万ユーロ級のオファーを出せば、インテルの方針も揺らぎかねない。モウリーニョという「インテルを知り尽くした男」が、古巣の主軸を狙う構図は、両クラブの関係に緊張をもたらす。インテルとしては、ニコ・パス獲得とバストーニ防衛を切り離して考える必要があるが、レアルの資金繰りが両者を連動させる以上、交渉は極めて複雑になる。マロッタ(Beppe Marotta)とアウジーリオの交渉力が、これまで以上に試される局面だ。
ニコ・パス獲得(6000万ユーロ)を実現するための資金計画は、複数の大型売却に依存している。スタンコヴィッチの約4000万ユーロ、フラッテージのノッティンガム・フォレスト(Nottingham Forest)への売却(2500万〜3000万ユーロ)、ルイス・エンヒキ、パヴァール、カルロス・アウグストの売却——これらを全て積み上げれば、6000万ユーロの原資は理論上は捻出可能だ。特にスタンコヴィッチの売却益は注目に値する。2300万ユーロの買い戻し条項を行使したばかりの選手を、ブルッヘでの好調を背景に4000万ユーロで売却すれば、それだけで1700万ユーロの利益が生まれる。アウジーリオが「オナナ(Andre Onana)はクラブ史上最大の資本利得」と語った哲学が、スタンコヴィッチでも再現される構図だ。ただし、これだけの大規模な選手入れ替えは、チームの安定性を損なうリスクも伴う。ジョーンズを諦め、複数の選手を売り、ニコ・パスに賭ける——この再構築が成功するかどうかは、オークツリーが特別予算を承認するか、そしてニコ・パスの売却が「本物」かにかかっている。現時点では不確実性の高い、野心的なシナリオだ。
6000万ユーロのニコ・パスが、インテルの夏を根底から揺さぶり始めた。ジョーンズを諦め、創造性に賭ける戦術的転換、バストーニを巡るレアルとの緊張、そして大規模売却による資金捻出——マロッタとアウジーリオは、極めて野心的な再構築の岐路に立っている。コモの輝く才能は、サン・シーロの中盤を変えるのか。それとも財政の壁が夢を阻むのか。夏の最も大胆な賭けが、静かに動き始めた。
記事タイトル: How Inter’s Nico Paz interest could reshape their pursuit of Liverpool man Jones
出典元記事URL: https://football-italia.net/how-inters-nico-paz-interest-liverpool-jones/
公開日: 2026/6/20
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年6月20日
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