
ロンドンで背負っていた番号が、ミラノでも空いていた。ジェド・スペンス(Djed Spence)のインテル・ミラノ加入は最終盤に入り、イタリア各紙は契約年数から背番号までを一斉に書き始めている。24番を最後に着けたのは、同じくトッテナムから来た男。デンゼル・ダンフリースが残した穴と、クリスティアン・キブが大陸間ツアーの最中ずっと訴えてきた二つの要望。この補強は、そのどちらにも同時に答えを出そうとしている。
インテルとトッテナムは8月12日にスペンスの移籍で合意に達した。選手側との個人条件は既に固まっており、残る手続きはメディカルチェックのみ。FCInterNewsは同日夕、イングランド人サイドバックが金曜から土曜にかけてミラノ入りする見込みだと伝えている。前日16時40分の時点では「明日ミラノ」と報じられていたが、その後に日程が後ろへずれた形になる。
契約年数については、トゥットスポルトとコリエレ・デロ・スポルトの双方が2031年までの5年契約で一致している。ただし年俸の書き方には差があり、トゥットスポルトは「260万ユーロ+ボーナス」、コリエレ・デロ・スポルトは「ボーナス込みで300万ユーロ」と記した。移籍金の総額表記も媒体によって揺れており、FCInterNewsは3150万ユーロという数字を見出しに掲げ、ガゼッタ・デロ・スポルトは400万ユーロのボーナスと将来の転売時の取り分がパッケージに含まれると報じている。
そして最も細かく、最も「らしい」ディテールが背番号だった。トゥットスポルトによれば、スペンスはトッテナムで着けていた24番をそのままインテルでも背負う。
原文: "la numero 24 che aveva a Londra libera all'Inter (curiosità: prima di lui l'ha indossata Christian Eriksen, pure lui arrivato dal Tottenham) e - soprattutto - la necessità di onorare l'eredità lasciata da Dumfries"
訳: 「ロンドンで着けていた24番が、インテルでも空いている(豆知識:彼の前にこの番号を着ていたのはクリスティアン・エリクセン、彼もまたトッテナムから来た)。そして何より、ダンフリースが残した遺産を引き継ぐという責務がある」
原文: "Spence, con caratteristiche diverse rispetto a Diaby, porta in dote ciò che aveva chiesto Chivu nei continui confronti anche a distanza con gli uomini mercato nerazzurri durante la tournée intercontinentale: è un elemento che permette di alzare il livello della rosa e che sembra essere più complementare a Diouf di tanti altri nomi accostati per quel reparto"
訳: 「スペンスは、ディアビーとは異なる特徴を持ちながら、キブが大陸間ツアーの最中に編成担当者たちと遠隔でも交わし続けた議論のなかで求めていたものを持参する。ロースターの水準を引き上げられる存在であり、そのポジションに名前の挙がった他の多くの選手よりもディウフと補完的に見える存在である」
トゥットスポルトが並べた二つの数字は、率直に言って読者の期待を冷ます。ダンフリースは手術で3か月を棒に振った昨季ですら5ゴール2アシストを記録した。対するスペンスはトッテナムでの44試合でゴールもアシストもゼロ。同紙自身が「ダブルゼロ」と書いている。3150万ユーロという投資額に対して、この数字は明らかに心もとない。
ただし同紙はすぐに補足を加えている。スパーズの最終シーズンに漂っていた重苦しい空気から解放されたW杯では、「クラスで一番の生徒」と呼べる出来を2試合ほど披露したという。つまりインテルが買ったのはトッテナムでの44試合ではなく、W杯での数試合ということになる。これは編成としてはかなり強気な賭けであり、その振れ幅の大きさこそが、この補強の評価を割れさせている理由だと考えられる。
コリエレ・デロ・スポルトの視点は数字ではなく交渉技術に向いている。同紙はW杯後にスペンスの評価額が4000万ユーロ超まで跳ね上がっていた点を挙げ、そこから飛び込むタイミングを見計らったピエロ・アウジリオの判断を称賛した。実際、8月上旬のインテルは右サイドで複数の名前を並行して追いかけており、結果として最後に残ったのが最も安く買えるタイミングだったという構図になる。
戦術面での指摘はさらに具体的だ。同紙はスペンスがムサ・ディアビーとは異なる特徴を持つと明記したうえで、「他の多くの候補よりもディウフと補完的」と書いた。プレシーズンで最も評価を上げたアンディ・ディウフを軸に据えたうえで、そこに重ならない性質の選手を足す——つまりインテルの右サイドは、単純な一枚看板ではなく組み合わせで設計されている可能性がある。
エリクセンの24番、という符合は偶然にすぎない。だがトッテナムから来た選手がインテルで24番を継ぐという構図は、ネラッズーリの現代史においてあまり幸福な記憶とは結びついていない。エリクセンはミラノで長く苦しみ、システムの変更とともにようやく居場所を見つけた選手だった。
その意味で、スペンスが本当に問われるのは背番号でも移籍金でもなく、適応の速度になると推察する。セリエAは2024年にジェノアで経験済み。ダンフリースが残した5ゴール2アシストという最低ラインは、今のスペンスの通算成績からすればかなり遠い場所にある。それでもキブが二度にわたって同じ要望を出し続けた事実は、監督がこの選手に何かを見ているという証拠ではある。
3150万ユーロで買われたのは、44試合0ゴール0アシストの実績ではなく、W杯で見せた数試合の可能性のほうだ。背番号24が誰の記憶を呼び起こすかは、8月22日のモンツァ戦以降のスペンス自身が決めることになる。賭けの結果が出るまで、そう長くはかからない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月13日
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