
パースでの長い一日の終わりに、豪州のカメラの前に座った32歳は、この5年をひとつの言葉で要約してみせた。「みんな、俺たちは死んだと思っていた」。スクデットを2つ、トロフィーを8つ手にした男の口から出たのは、栄光の目録ではなく、そう思われていた時期の記憶だった。そして新しい監督について語るとき、彼が選んだ単語は戦術でも規律でもなく。
[[ハカン・チャルハノール]](Hakan Çalhanoğlu)が、[[インテル・ミラノ]]のパース遠征に合わせてbeIN Sports Australiaのロングインタビューに応じた。FCInterNewsが8月17日夜にその抜粋を伝えている。
インタビューの核心は、[[クリスティアン・キブ]]のもとで獲得した直近のスクデットについての回想だった。チャルハノールは、前年に起きた出来事のあとで周囲が自分たちを「死んだ」と見なしていたと述べ、それでもチームが強いメンタリティを保ち、難しい局面でピッチ上で応えたことが差を生んだと語った。
前任者との比較を求められた場面での答え方も示唆的だ。彼は[[シモーネ・インザーキ]]について批判めいたことは一切口にせず、自分をインテルに強く望んだ人物であり、選手としても人間としても大きく成長させてもらったと感謝を述べた。そのうえでキブについては「彼にとって重要なのはもうサッカーではなく、人間としての君だ」と表現し、兄であり友のような存在だと言い切った。
さらにセリエAへの批判に対しては、プレミアリーグとラ・リーガに並ぶ世界のトップ3だと反論。クラブで共にプレーした最高の選手としてソン・フンミン(Heung-Min Son)とズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimović)を挙げ、インテルからは1人だけと言われて[[マルクス・テュラム]]の名を口にした。
原文: "Sicuramente, tutti pensavano che fossimo 'morti' dopo quello che era successo l'anno prima. La squadra ha avuto una mentalità forte; quando c'è stato un momento difficile, abbiamo risposto sul campo ed è questo quello che ha fatto la differenza."
訳: 「間違いなく特別だ。前の年に起きたことのあとで、みんな俺たちが『死んだ』と思っていた。チームには強いメンタリティがあった。苦しい局面が来たとき、俺たちはピッチの上で答えを返した。それが差をつけたんだ」(※イタリア語訳からの重訳)
原文: "Chivu è diverso, a lui interessi più come persona. Per lui non è più importante il calcio ma sei importante tu come persona, come ti senti... è come un fratello e un amico, con lui puoi parlare di tutto."
訳: 「キブは違う。彼が関心を持つのは人間としての君のほうだ。彼にとって重要なのはもうサッカーではなく、君自身がどう感じているかだ……兄であり友のような存在で、何でも話せる」(※イタリア語訳からの重訳)
キャリア晩年に差しかかった選手が過去のシーズンを語るとき、普通は勝った試合の話をする。チャルハノールが選んだのは逆だった。負けたと思われていた時期の空気を、わざわざ現在形に近い温度で持ち出している。
これは開幕4日前という時期を考えると、単なる回顧ではないと考えられる。イタリアの世論はいまインテルをスクデットの本命に据え、この数日だけでも複数の論者が次々と「セリエAで最も強い」と語っている。favoritiという評価は、ロッカールームにとって最も扱いにくい重りだ。「死んだと思われていた」と口にすることは、その重りを一度床に置き直す作業に見える。次の質問で「目標は常に再び勝つこと、支配すること」と即答している流れも、その読みを補強すると推察される。
インザーキとキブを比較させる質問は、答え方を誤ればどちらかを傷つける。チャルハノールの回答構成は、その意味でほぼ完璧だった。まずインザーキへの負債(自分を望んでくれた、成長させてくれた)を先に清算し、そのうえでキブを「違う」と位置づける。優劣ではなく質の差として語る。
内容として興味深いのは、キブ評の重心が完全に人間関係に置かれている点だ。「戦術面も重要で、100%の強度でのトレーニングを求める」という一文は入っているが、主題ではない。そして「解決すべきことが色々あって、彼はとても助けてくれた」という一節が続く。この夏、チャルハノールの去就をめぐる報道は絶えなかった。何を指しているのかは元記事では言及されていないが、監督との関係が本人の判断に作用した可能性は考えられる。
「インテルから1人だけ選んでくれ」という質問に、彼は「1人を選ぶと他が悲しむ」と前置きしてから[[マルクス・テュラム]]の名を挙げた。ラウタロ・マルティネスでもバレッラでもディマルコでもなく、である。
深読みすべきではないかもしれない。ただ、チャルハノールとテュラムはピッチ上で最も遠い位置にいる2人でもある。深い位置から配球する司令塔と、最前線で背中で受ける9番。3-5-2において、この2点間の距離こそがインテルの攻撃の伸縮そのものだ。5年で8つのトロフィーを積んだ男が最後に名前を出したのが、自分のパスの終着点にいる選手だった――という読み方くらいは、許されてもいいだろう。
「信じ続けてくれ、新しいトロフィーを届ける」。ファンへのメッセージは、拍子抜けするほど平凡だった。だが平凡な言葉に説得力を持たせられるのは、実際に届けてきた者だけである。8月22日、モンツァ戦。証明の季節がまた始まる。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月18日
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