
サンドロ・マッツォーラを悼む黙祷が始まった瞬間、アリアンツ・スタジアムのゴール裏は、ピッチに背を向けた。9月20日の18時前、セリエA第5節ユヴェントス対アタランタのキックオフ直前の出来事である。前日に83歳で世を去ったばかりの、インテル一筋17シーズンを生きた男に対して。試合後、クラブ自身が自らのサポーターと距離を置く声明を出し、監督も、政治家も、ジャーナリストも一斉に口を開いた。ライバル関係という言葉では、もう説明のつかない夜
アリアンツ・スタジアムで9月20日に行われたセリエA第5節ユヴェントス対アタランタ。キックオフ直前、前日に死去したサンドロ・マッツォーラを追悼する黙祷が始まると、ユヴェントスのクルバは黙祷を守らなかった。FCInterNewsのニッコロ・アンフォッソによれば、多くのサポーターがピッチに背を向け、一部からは追悼の場にふさわしくないチャントも上がったという。試合そのものはユヴェントスが前後半に1点ずつを奪い、アタランタを2対0で下している。
反応は速かった。試合終了から数時間のうちに、ユヴェントスは公式サイトに短い声明を掲載し、自クラブのサポーターの行為から明確に距離を置いた。ピッチ上でも、指揮官ルチアーノ・スパレッティがDAZNのマイクの前で質問を受け、言葉を選びながら苦言を呈している。
インテル側からは、元主将のジュゼッペ・ベルゴミがSky Sportの試合後番組で応じた。直接的な非難ではなく、故人への語りかけという形を取ったのが、この夜の空気をかえって際立たせている。イタリア上院議長のイニャツィオ・ラ・ルッサ、そしてCorriere dello Sport-Stadio紙のディレクターであるイヴァン・ザッザローニも、それぞれ発信を行った。
原文: "Non c'è rivalità che possa giustificare la mancanza di rispetto durante un minuto di silenzio. Onorare la memoria e unirsi nel ricordo durante i momenti di commemorazione rappresenta una responsabilità comune che trascende appartenenze e colori."
訳: 「黙祷の最中の敬意の欠如を正当化できるライバル関係など存在しない。追悼の場において記憶を讃え、思いを一つにすることは、所属やクラブカラーを超えた共通の責任である」(ユヴェントス公式声明)
原文: "Volevo salutare Sandro Mazzola e dirgli che non gli gireremo mai le spalle e che gli vorremo sempre bene."
訳: 「サンドロ・マッツォーラに挨拶をして、こう伝えたかった。我々は決してあなたに背を向けない、いつまでもあなたを愛している、と」(ジュゼッペ・ベルゴミ、Sky Sport)
イタリアのクラブが自クラブのウルトラスの行為に対して公式声明を出すのは、決して日常的な光景ではない。ゴール裏との関係は多くのクラブにとってデリケートな政治であり、沈黙でやり過ごす選択肢も現実には存在する。それでもユヴェントスが試合当日の夜のうちに、しかも「ライバル関係など正当化にならない」という強い言い回しで文章を公開したのは、この件を放置した場合の評判上のダメージを深刻に見積もったからだと考えられる。
声明が「所属やクラブカラーを超えた共通の責任」という表現を選んだ点にも意味がある。これは特定の集団を名指しで処罰する言葉ではなく、しかし免罪もしない言葉だ。クラブとゴール裏の距離感を測りながら書かれた文章だと推察する。
この夜、最も引用される言葉を残したのはおそらくベルゴミである。彼はユヴェントスを非難しなかった。クルバを罵倒もしなかった。代わりに、死者に向かって「我々は決してあなたに背を向けない」と語りかけた。背を向けるという行為そのものを、そっくりそのまま裏返して返したわけだ。
インテルの元主将として、そしてグランデ・インテルの記憶を語り継ぐ立場の解説者として、彼が怒りではなく敬意で応じたことは、結果としてこの一件の構図を鮮明にした。ザッザローニがInstagramで「他人の死者への冒涜は、愚かさの質的な飛躍だ」と書いたような直接的な断罪とは対照的だが、両者は同じ方向を向いている。
サンドロ・マッツォーラは、インテルの象徴であると同時に、イタリアサッカーそのものの登場人物でもあった。1970年のメキシコ・ワールドカップ決勝におけるジャンニ・リヴェラとのスタッフェッタは、インテルとACミランの対立を国家の物語に格上げした逸話として語り継がれている。父ヴァレンティノ・マッツォーラはグランデ・トリノの主将であり、スーペルガの悲劇で世を去った。つまりトリノという街は、この一族にとって単なる敵地ではない。
その土地で、その名前への黙祷が守られなかった。ラ・ルッサが「彼はレジェンドだ」と述べたように、この件が党派を超えて反応を呼んだのは、マッツォーラが生前ほとんど分断的な存在ではなかったからだろう。ザッザローニも同じ点を指摘している。攻撃する理由が見当たらない相手を攻撃してしまったことが、この夜の異様さの核心にあると考えられる。
黙祷の60秒は、勝ち点にも順位表にも影響しない。だからこそ、そこで何を選ぶかがクラブとサポーターの素顔を映す。ユヴェントスは素早く声を上げ、ベルゴミは怒鳴らずに答えた。背を向けた側だけが、いまだ何も語っていない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月21日
© 2025 nero15.dev. All rights reserved.