
0-2から追いついた夜の主役が語り始めたのは、勝ち点1の話ではなく自分の肉体の話だった。[[ローマ]]との首位対決で二得点を挙げた[[ラウタロ・マルティネス]](Lautaro Martínez)は、試合後のDAZNのインタビューで、昨夏のFIFAクラブワールドカップに「正しくない形で臨んだ」と自ら認めている。走行量への称賛に対する返答が、一年越しの自己申告に変わった瞬間。
2026年9月19日、スタディオ・オリンピコで行われたセリエA第5節、[[ローマ]]対[[インテル・ミラノ]]は2-2で終わった。前半6分と37分にマニュ・コネ(Manu Koné)が決めて[[ローマ]]が2点をリードしたが、[[インテル・ミラノ]]は後半開始直後の46分と79分にラウタロ・マルティネスが決めて追いついている。両者は勝ち点13で首位に並んだまま代表ウィークに入った。
試合後、キャプテンはDAZNのマイクの前で前半を「消し去るべきもの」と切り捨てた。だが話題が自身のコンディションに及ぶと、内容の質が変わる。なぜこれだけ走れるのかと問われたラウタロ・マルティネスは、身体のケアに言及したうえで、昨夏のクラブワールドカップが「非常に厳しい打撃」であり、自分はプロでありながら正しくない状態でそこに立っていたと述べた。今季は大会後にトレーニングを重ね、身体に細心の注意を払ってきたという。
インタビューの冒頭では、前日に83歳で死去した[[サンドロ・マッツォーラ]]への弔意も述べている。試合前にはオリンピコで追悼が行われていた。
原文: "Quanto corro? Ho curato il corpo, il Mondiale per Club è stato un colpo durissimo: anche se sono un professionista mi sono presentato nel modo che non era corretto."
訳: 「どれだけ走っているか、だって? 身体をケアしてきた。クラブワールドカップは非常に厳しい打撃だった。プロフェッショナルであるにもかかわらず、自分は正しくない形であの場に立ってしまった」
原文: "Il primo tempo è da cancellare, non siamo stati in campo e l'atteggiamento non è quello giusto: poi nel secondo da subito abbiamo cambiato mentalità."
訳: 「前半は消し去るべきものだ。僕らはピッチの上にいなかったし、姿勢も正しくなかった。後半は最初からメンタリティを変えた」
この発言の重さは、時期と主語にある。昨夏のFIFAクラブワールドカップは[[インテル・ミラノ]]にとって苦い記憶であり、当時から選手のコンディションを問う声はあった。しかしそれを一年以上経った今、キャプテン自身が「プロでありながら正しくない形で臨んだ」と名指しで引き受けた例は多くない。チームが引き分けた直後、しかも自分が二得点した夜に持ち出す話題としては、明らかに不利な材料である。
逆に言えば、二得点した夜だからこそ言えたとも考えられる。結果を出した上での自己批判は自虐ではなく、今季の走行量が偶然ではないことの説明になる。彼が語った「大会後にたくさんトレーニングした」という一行は、今季ここまでの稼働状況を裏づける自己申告として読むのが自然だろう。
一方で、この夜の[[インテル・ミラノ]]が前半に消えていたことは、個人のコンディションでは説明がつかない。ラウタロ・マルティネス自身、立ち上がりの悪さを「姿勢の問題であり、試合の準備の仕方の問題」と表現している。走れる身体を取り戻した個人と、立ち上がりに機能しないチームが同じピッチに同居しているというねじれが、この日の2-2にはそのまま出ていた。
後半、2点を追う展開になってから[[インテル・ミラノ]]は強度を取り戻し、追いついた。追い込まれてから出る力を最初から出せるかどうかが今季の分岐点になると考えられるが、それは監督の領域の話である。選手個人の回答としては、ラウタロ・マルティネスの「常に追いかけるのは難しい」という一言が最も率直だった。
同じインタビューで彼は[[リオネル・メッシ]]との別れにも触れ、感情的で鳥肌の立つ夜になるだろうと語っている。前日には[[サンドロ・マッツォーラ]]が世を去り、この日のオリンピコは追悼から始まった。象徴が去っていく季節に、[[インテル・ミラノ]]のキャプテンが自分の肉体を語り直したという並びは、偶然にしては示唆的である。去る者の遺産を引き継いで前に進まなければならない、という趣旨の言葉も、彼はこの日残している。
二得点した夜に、自分の一年前を「正しくなかった」と言い切れる選手はそう多くない。走れる身体は戻った。あとは、その身体を前半45分から使うチームが戻るかどうか。代表ウィーク明けの[[インテル・ミラノ]]は、この告白を実証する側に回る。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月20日
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