
デンゼル・ダンフリースが去った右のレーンに、まだ主が決まらない。本命だったマルコ・パレストラは土壇場でチェルシーに攫われ、次善の策だったアナン・ハライリはCONIの適性検査で足止めを食らった。開幕まで1カ月を切った今、インテルのフロントは複数の候補名を同時に手繰り寄せながら、値札とにらめっこを続けている——。
事の発端は今夏の右WB争奪戦そのものにある。ダンフリースの放出後、インテルは若手右SBのマルコ・パレストラを最有力候補に据えて交渉を進めていたが、アタランタとの合意形成に手間取るうちにチェルシーが割って入り、決着は横からさらわれる形となった。次に浮上したユニオン・サン=ジロワーズ所属のアナン・ハライリは移籍合意まで漕ぎ着けたものの、CONI(イタリア国内オリンピック委員会)の追加心臓検査で適性証明を得られず、移籍そのものが白紙に戻った。
La Gazzetta dello Sportはこの状況を「右サイドの呪い」と表現している。2つの本命が続けて破談となったことで、インテルは候補リストを大きく開き直す必要に迫られた。現時点で最も評価が高いのはストラスブール所属のグエラ・ドゥエだが、同クラブは3000万〜3500万ユーロという評価額を崩しておらず、ミランも興味を示していると伝えられる。Tuttosportによれば、キブ監督はドゥエの適性について「4バックの方が向いているのでは」という懸念を抱いているとも報じられており、必ずしも満場一致の第一候補ではないようだ。
そこに新たに浮上したのが、トッテナム所属のイングランド代表DFジェド・スペンスだ。Fabrizio Romanoによれば、スペンスは今夏のW杯でトーマス・トゥヘル率いるイングランド代表の一員としてプレーしており、大会での出来次第で評価額が変動する可能性がある。本人はチャンピオンズリーグ出場とレギュラー確保という2つの理由からイタリア復帰に前向きとされるが、トッテナム側の希望額はまだ固まっていない。このほかアトレティコ・マドリード所属のナウエル・モリーナが仲介者を通じて売り込まれているほか、ボルシア・ドルトムントのユリアン・リーアソンにも触手を伸ばしたとSky Sportが伝えるが、ドイツ側は強気の値付けを崩していない。
原文: "Sembra una vera e propria 'maledizione della fascia destra'"
訳: 「まさに『右サイドの呪い』としか言いようがない」
原文: "Djed Spence [...] gradirebbe un ritorno in Italia per due ragioni: vuole giocare la Champions League [...] e vuole essere titolare"
訳: 「ジェド・スペンスは2つの理由からイタリア復帰を歓迎するだろう。チャンピオンズリーグでプレーしたいこと、そしてレギュラーの座を確保したいことだ」
ドゥエを巡る交渉の停滞は、単に評価額の高さだけが理由ではないと考えられる。パレストラとハライリという2つの交渉が土壇場で崩れた直後だけに、フロントとしては「また似た轍を踏みたくない」という慎重さが働いている可能性がある。ミランという国内ライバルの存在も交渉の後ろ盾にはならず、むしろストラスブール側が強気を維持する材料になっているとも推察できる。一方でスペンスのように「本人がイタリア行きを望んでいる」という報道が出ている候補は、価格交渉さえまとまれば合意形成が早い可能性があり、フロントの優先順位が今後数日で入れ替わる余地は十分にあると考えられる。
3-5-2の右WBには、守備の耐久力と攻撃時の推進力という相反する要求が同時に求められる。ドゥエに対してキブ監督が抱くとされる「4バック向き」という懸念は、まさにこのポジション特有の複合的な要求に起因するのではないかと考えられる。スペンスやモリーナはいずれも本職がSBに近く、WBとしての運動量をシーズンを通じて維持できるかは未知数の部分もあるだろう。開幕までの限られた準備期間を考えると、フィット感よりも即戦力性を優先せざるを得ない可能性もある。
一つの補強ポイントに対して4人以上の候補が同時進行で浮上する状態は、裏を返せば決定打を欠いていることの表れでもある。本命が2度続けて崩れたことで生じた計画のずれを、開幕までにどう収拾するかがフロントの手腕を測る材料になると考えられる。ダンフリースというワールドクラスの穴を埋める作業が難航している事実は、今夏の編成における最大の懸念点の一つとして注視すべきだろう。
候補は増える一方で、決め手はまだ見えない。2つの本命を失った代償は小さくなく、開幕の足音が迫る中、インテルの右サイドに主が決まるのはいつになるのか、その答えはまだ霧の中にある。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月14日
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