
デンゼル・ダンフリースが去った右サイドは、この夏ずっと空席のままだと思われていた。ところがバーリでベティスを翻弄したのは、補強リストに載っていた誰でもない。すでにインテルに在籍していた2003年生まれのフランス人だった。そして同じ週、トッテナムから3000万ユーロ超の男が到着する。空席だったはずの場所に、いま2人の主が立っている。
FCInterNewsは16日午前、プレシーズンを通じて右のクイント(第5列=ウイングバック)として起用されているアンディ・ディウフ(Andy Diouf)について、15日のレアル・ベティス戦のパフォーマンスが「決定的な回答」になったとする論考を掲載した。同記事は、新加入のジェド・スペンス(Djed Spence)との関係を競合ではなく相互補完として位置づけている。
ディウフは2003年生まれのフランス人MFで、本来はメッザーラを主戦場とする選手だ。それが右のウイングバックに置かれて以降、プレシーズンで一貫して高い評価を受け続けている。ドリブル、予測不能性、テクニック——ボールを持つたびにスタンドがどよめくという表現が使われるほどの内容だった。攻撃面だけでなく、守備局面でのクイントとしての振る舞いにも進歩が見られ、クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)の信頼は増しているという。
一方のスペンスは15日に正式加入が発表され、同日の会見で自らを「守備が強み」と語った。左サイドでもプレーできる点が、共存論の根拠のひとつになっている。
原文: "Ma la presenza dell'inglese non va letta come una competizione con Diouf. Anzi, i due possono rappresentare una coppia complementare, anche considerando che Spence può essere impiegato pure sulla fascia sinistra."
訳: 「だが、このイングランド人の存在をディウフとの競争と読むべきではない。むしろ2人は補完的なコンビになり得る。スペンスは左サイドでも起用できることを考えればなおさらだ」
原文: "Diouf, mancino naturale, ama giocare a piede invertito sulla destra e, dal punto di vista estetico, sembra avere qualcosa in più nella giocata e nella fantasia. Spence, invece, è destro e appare più dominante sul piano fisico."
訳: 「生粋の左利きであるディウフは、右で逆足サイドとしてプレーすることを好み、見た目の面ではプレーの創造性で何かを上乗せしているように見える。対してスペンスは右利きで、フィジカル面での支配力がより際立つ」
この夏、インテルの右サイドは長く空白として語られてきた。ムサ・ディアビー(Moussa Diaby)、エンドイェ(Dan Ndoye)、ゲラ・ドゥエ(Guela Doué)——名前だけが浮かんでは消え、そのたびに「まだ埋まっていない」という評価が繰り返された。最終的にスペンスの獲得で一応の決着を見たわけだが、その裏側で進行していたのが、ディウフというすでに在籍していた駒の転用だった。
補強市場の物語は、常に「誰を買ったか」で語られる。だが実際にシーズンを回すのは、買った選手と同じくらい、置き場所を変えられた選手であることが多い。中盤の8番として獲得した選手を右の5番として使い切る——これはキブが自ら見つけた解と言ってよく、フロントが数千万ユーロを費やして探していた答えの一部が、内部にあったことになる。移籍市場を評価する視点として、覚えておいてよい事例だと考えられる。
戦術的に見て、この2人の組み合わせが面白いのは属性が真逆だからだ。左利きのディウフが右サイドに立てば、体の向きは自然と内側を向く。カットインからの左足、あるいはハーフスペースへの侵入が主武器になる。3-5-2において右のウイングバックが内側に絞れば、右のセンターバックがオーバーラップする空間が生まれ、盤面の色が変わる。
対してスペンスは右利きで、外へ回り込んで縦に突破するオーソドックスな形を取りやすい。加えてフィジカルでの優位性がある。同じポジションでありながら、相手にとっては全く異なる対処を強いる2人が交代で出てくることになる。試合の途中で「絵柄」を差し替えられるカードは、長いシーズンにおいて想像以上に効く可能性がある。
もっとも、これは元記事が描く見取り図であり、実戦での機能はこれから検証される段階だ。ディウフの守備面の進歩も「進歩が見られる」という評価にとどまっており、セリエAの強度の中でどこまで通用するかは開幕後の課題として残る。
スペンスが左でもプレーできるという一点は、見た目以上に射程が広い。左にはフェデリコ・ディマルコ(Federico Dimarco)とカルロス・アウグスト(Carlos Augusto)がおり、そこにスペンスが第3の選択肢として加わる形になる。両サイドの4枚を3枚半でやりくりできれば、ローテーションの自由度は跳ね上がる。
キブが公言してきた「ローテーションで欧州の高さに耐える」という方針を思い出せば、この配置は方針と整合的だ。ルイス・エンヒキ(Luis Henrique)の去就が最終盤まで未確定であることを踏まえても、サイドの人員計画にはすでに余裕が生まれていると推察する。
補強の成否は、到着した瞬間ではなく、5月に振り返って初めて確定する。ディウフの夏が本物だったのか、それとも親善試合の陽気が見せた幻だったのか。答え合わせは22日、ジュゼッペ・メアッツァで始まる。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月16日
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