
[[アンディ・ディウフ]]が[[セリエA]]開幕戦で右ウイングバックとして先発し、2つのアシストを記録した。本職は中盤である。しかも[[インテル・ミラノ]]はこの夏、同じ右サイドに[[ジェド・スペンス]]を補強したばかりだった。[[クリスティアン・キブ]]が「クレイジーなアイデア」と呼んだ配置転換は、初戦にして早くも黒字を出してみせた。ただし指揮官の評価は、賞賛だけで終わってはいない。
8月22日、[[ジュゼッペ・メアッツァ]]でのモンツァ戦。キブは3-5-2の右ウイングバック、イタリアで言う「クインド(5人目)」の位置にディウフを置いた。2003年生まれのフランス人はメッザーラを本職とし、インテルでも中盤での起用が基本だった選手である。
その初戦の答えは早かった。6分、[[ラウタロ・マルティネス]]が落として[[ピオ・エスポージト]]が裏へ抜け、こぼれた球を拾ったディウフが顔を上げて折り返す。受けた[[ハカン・チャルハノール]]がエリア外から右足を振り抜き、セリエA2026-27の第1号ゴールが生まれた。55分には逆足である左足で深い位置まで持ち込み、低いクロスをピオ・エスポージトのヒール弾に変換させている。2アシストでPlayer of the Matchに選出された。
試合後、キブはこの起用を「クレイジーなアイデアだった」と振り返りつつ、褒め言葉だけを並べたわけではなかった。イタリア語で「timidino」、つまり「少し遠慮がち」という評価も同時に口にしている。当のディウフ本人も、慣れない持ち場であることを隠さなかった。
原文: "È stata una pazza idea perché a 20 e passa anni non aveva mai fatto il quinto. Per caratteristiche e intraprendenza, per il coraggio e per come si esalta per la follia di cercare l'uno contro uno ha ampi margini. Gioca a piede invertito, è andato anche sul fondo col piede debole."
訳: 「クレイジーなアイデアだった。20歳を過ぎるまで、彼は一度もクインドをやったことがなかったのだから。特徴と積極性、勇気、そして1対1を仕掛けるという狂気に自分を高揚させられる性質を考えれば、伸びしろは大きい。逆足でプレーしているのに、弱いほうの足で深い位置まで抉ってもいった」(クリスティアン・キブ)
原文: "Mi sento meglio giorno dopo giorno, ho bisogno di tempo perché non è la mia posizione, ma gli allenamenti aiutano, si impara grazie al lavoro con lo staff."
訳: 「日を追うごとに手応えは良くなっている。ここは自分のポジションではないから時間が必要だ。ただ、トレーニングが助けになっている。スタッフとの作業を通じて学べている」(アンディ・ディウフ)
3-5-2のウイングバックは、名前が示すほど単純な役ではない。攻撃時は事実上のウインガーとして幅を取り、守備時は5バックの一角として最終ラインに吸収される。90分のあいだに求められる判断の種類が、中盤の選手のそれとは根本的に異なる。キブが「クレイジー」という語を選んだ理由はそこにあると考えられる。
それでも初戦の2アシストは、この賭けに一定の説明力を与えた。とりわけ55分の場面は、逆足である左足でゴールライン際まで持ち込んでいる。中盤の選手にありがちな「内側に持ち替えて安全にやり直す」選択をせず、外側で勝負したという事実は、ウイングバックとしての適性を示す材料になり得る。
一方でキブは、同じ会見で「今日は少し遠慮がちだった。これは相手の功績でもある」と付け加えた。テレビインタビューでも「重要な伸びしろがある」と繰り返している。数字上は文句のつけようがない試合で、指揮官があえてブレーキ側の言葉を残したのは、この起用がまだ実験段階にあることの表明だと推察する。
ディウフ自身の言葉も同じ方向を向いている。「ここは自分のポジションではない」と本人が明言した以上、慣れの問題は残る。とりわけ守備局面で5バックの一員として振る舞う場面、あるいは相手のサイド攻撃に晒され続ける展開で、どこまで耐えられるか。昇格組を相手にした開幕戦では、その負荷はまだ十分にかかっていないと考えられる。
この夏インテルはトッテナムからジェド・スペンスを迎え入れた。純粋なサイドのスペシャリストである。単純に考えれば右ウイングバックの一番手はスペンスで、ディウフは中盤の選手という整理になる。ところが開幕戦でその席に座ったのはディウフだった。
ディウフはこの点についても問われ、TuttoMercatoWEBが伝えた発言によれば「競争は歓迎する。新しい役割のために努力しなければならない」と応じている。キブが会見で「私にとっては全員がスタメンだ」と繰り返した通り、当面は相手と状況に応じた使い分けが基本線になるだろう。ただし2アシストという初戦の実績は、序列の議論に確実な重みを一つ加えた。パヴァールについて「クインドで使うことは一度も考えていない」と切り捨てた指揮官の言葉と並べると、右の五人目という枠が誰にでも開かれているわけではないことも見えてくる。
本職ではない場所に置かれた選手が、初戦で最も多く得点に絡んだ。指揮官はそれを「クレイジーなアイデア」と呼び、同時に「まだ遠慮がち」と釘を刺す。この賭けが本当に当たったかどうかは、右サイドを本職とする男が戻ってきたときに分かる。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月23日
© 2025 nero15.dev. All rights reserved.