
ラウタロ・マルティネスをめぐる騒ぎに蓋がされた直後、トゥットスポルトが別のページをめくった。9月1日の閉幕まで、インテルはまだ市場を見張り続けるという。ジェド・スペンスとカーティス・ジョーンズで守備と中盤を厚くした夏の最後に、前線へ差し込むジョーカーの名前として挙がったのがフェデリコ・キエーザ。あくまで「機会が転がってきたなら」という但し書きつきで。
インテル・モンツァのキックオフ前、ジュゼッペ・マロッタがラウタロ・マルティネスの去就に関する議論を打ち切った。バルセロナ移籍の噂に対し、条件は一切存在しないと明言している。トゥットスポルトはこの発言を起点に、では残りの1週間あまりでインテルが何をするのかという方向へ話を進めた。
同紙によれば、マロッタは追加の市場介入の可能性そのものは否定していない。ジェド・スペンスとカーティス・ジョーンズへの投資を終えた後も、クラブは9月1日の閉幕まで機会を監視し続ける方針だという。そのなかで、攻撃陣に差し込む「ジョーカー」の候補として名前が挙がったのがフェデリコ・キエーザ(Federico Chiesa)である。ただし条件は明確で、具体的なチャンスが現れた場合に限る、という前提が置かれている。
もうひとつ、放出側の絵も動いた。ローマがフェネルバフチェからヤイデン・オーステルヴォルデ(Jayden Oosterwolde)の獲得を詰めた結果、ルイス・エンヒキ(Luis Henrique)のローマ行きは遠のいたと見られている。一方でプレミアリーグ方面の可能性は消えておらず、ブラジル人がミラノに残る展開もありうる状況になった。
原文: "Non ci sono assolutamente le condizioni perché debba lasciare l'Inter, non vogliamo rinunciare a lui in alcun modo e per qualsiasi cosa"
訳: 「彼がインテルを去らねばならない条件など、まったく存在しない。我々はいかなる形でも、いかなる理由でも彼を手放すつもりはない」
(インテル・モンツァのキックオフ前、ジュゼッペ・マロッタの発言。トゥットスポルト経由)
移籍市場の最終週に浮かぶ名前には、二種類ある。クラブが積極的に追いかけている本命と、条件が崩れた瞬間に安く手が届くかもしれない待機リストだ。トゥットスポルトの書きぶりを読む限り、キエーザは明らかに後者である。「具体的な機会が現れた場合に」という留保は、交渉が進んでいないことの婉曲な表現でもある。
ただし、この待機リストが軽いという意味ではない。閉幕直前の数日は、放出を急ぐクラブが給与負担や移籍形態で大幅に譲歩する時間帯でもある。インテルは今夏、既にスペンスとジョーンズで支出を重ねており、無条件に上積みできる余裕があるとは考えにくい。だからこそ「機会」という条件が付く。イタリア代表歴を持つアタッカーが、レンタルや割引価格で市場に転がり出るのを待つ姿勢だと推察するのが自然だろう。
放出リストの筆頭とされてきたルイス・エンヒキだが、ローマがオーステルヴォルデで別の穴を埋めた以上、出口はひとつ塞がった。ここでプレミアリーグの照会が実らなければ、彼はミラノに残ることになる。
戦力面だけを見れば、これは悪い話ではない。開幕戦でクリスティアン・キブは右のウイングバックにアンディ・ディウフを置くという踏み込んだ選択をしており、サイドの人材は多いほうが試合ごとの設計に幅が出る。ただし編成の帳尻という観点では別だ。ルイス・エンヒキの売却益を前提に第5のFWや攻撃のジョーカーを組み立てているのだとすれば、出ないことは入らないこととほぼ同義になる。キエーザの名前が「機会があれば」の括弧付きで語られている理由も、この連鎖にあると考えられる。
インテルはすでに開幕戦で勝ち点3を積み、スクデット候補として名指しされている。急いで補強しなければ崩れる編成ではない。それでもクラブが市場を監視し続けると明言したのは、UEFAチャンピオンズリーグを見据えているからだろう。国内では余裕を持って回せる駒でも、欧州の高負荷な日程では層の薄い場所が必ず露出する。
問題は、最後の数日に掴む買い物が「補強」なのか「在庫処分の受け皿」なのかという点だ。この見極めを間違えたクラブは、翌年の給与テーブルにその代償を残す。ピエロ・アウジリオとジュゼッペ・マロッタが動くとすれば、条件が完全にこちら側に傾いた瞬間だけになるはずだ。
キエーザの名前は、いま点線で書かれている。実線に変わるかどうかは、彼を抱えるクラブがどれだけ焦るかにかかっており、インテル側から強く引く理由はない。9月1日まであと1週間あまり。待つ側が有利になる季節が、ようやくやってきた。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月23日
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