
18歳のトップ下に2000万ユーロ。この数字を高いと見るか、それとも数年後の相場を先取りした値付けと見るか。セルビアの名門が育てた2008年生まれのアタッカーに、インテルを含む欧州の複数クラブが視線を注いでいる。しかもネラッズーリには、この交渉で他クラブが持たない一枚のカードがあるという。ミラノとベオグラードを結ぶ、細いが確かな線。
8月2日夕方、FCInterNewsがフランスのFootMercatoの報道を引く形で、インテルが今夏の候補リストに載せている名前を新たに伝えた。ヴァシリイェ・コストフ(Vasilije Kostov)、2008年生まれのセルビア人MFである。トップ下を主戦場とし、保有元のツルヴェナ・ズヴェズダ・ベオグラードが設定した評価額はおよそ2000万ユーロだとされる。
5月11日に18歳になったばかりのコストフを、インテルは数カ月前から追ってきたという。その理由は今季序盤の数字が説明している。セルビア国内リーグとUEFAチャンピオンズリーグ予選を合わせた3試合で、すでに4ゴール1アシストを記録。昨季もリーグ戦12得点、UEFAヨーロッパリーグで2得点を挙げ、ベオグラードの名門で先発の座を掴んでいた。
FootMercatoによれば、インテルには交渉で使える切り札が一つある。コストフの代理人業務を担うUnnak Sportsのオーナーがニコラ・コラロフ(Nikola Kolarov)であり、彼はクリスティアン・キブのスタッフに名を連ねるアレクサンダル・コラロフ(Aleksandar Kolarov)の兄弟にあたるという点だ。
原文: "Il proprietario di Unnak Sports, l'agenzia che segue il calciatore, è Nikola Kolarov, fratello di Aleksandar, nello staff di Cristian Chivu. Un elemento non decisivo, certo, ma che comunque potrebbe giocare a favore dei nerazzurri."
訳: 「この選手を担当する代理人会社Unnak Sportsのオーナーはニコラ・コラロフで、クリスティアン・キブのスタッフに入っているアレクサンダルの兄弟にあたる。決定的な要素ではないにせよ、ネラッズーリに有利に働く可能性はある」
18歳に対する2000万ユーロは、額面だけを見れば強気だ。だが今夏のインテルが動いた金額と並べると、印象は変わる。ジョン・ストーンズは移籍金ゼロ、イヴァン・プロヴェデルにも巨額は投じていない。クリスティアン・ロメロには4000万ユーロ規模、カーティス・ジョーンズには3500万から4000万ユーロという数字が飛び交っている。2000万ユーロは、その中間に位置する。
問題は、この投資が「今季の戦力」なのか「数年後の資産」なのかという点だ。今季3試合4ゴールという数字は魅力的だが、セルビアリーグとセリエAでは守備の強度が大きく異なる。18歳のトップ下が即座にキブの3-5-2で機能する保証はない。仮に獲得したとしても、レンタルを挟むか、あるいはインテルU23での起用を経由する育成プランになる可能性が高いと考えられる。
オークトリー体制下のインテルが繰り返し示してきたのは、「若く、転売益が見込め、資産価値が上がる選手」への投資姿勢だ。2000万ユーロは即戦力の値段としては高いが、2008年生まれの代表級アタッカーの将来価値としてなら、成立し得る数字だと推察する。
戦術面では明確な障壁がある。キブが基本形として用いる3-5-2に、純粋なトップ下のポジションは存在しない。コストフのようなタイプがピッチに立つには、インサイドハーフとして中盤3枚の一角に入るか、あるいは2トップの下がり目に置かれるかのいずれかになる。
前者の場合、上下動の量と守備タスクへの適応が問われる。ハカン・チャルハノール、ニコロ・バレッラ、ペタル・スチッチ、ピオトル・ジエリンスキ、そしてアレクサンダル・スタンコビッチ。中盤はすでに人数が過密で、8月中に複数の放出が必要だとされる状況だ。ここに18歳を加えるなら、序列の整理が前提になる。
もっとも、この点は逆説的にコストフ案件の性格を示してもいる。今すぐ試合に出す選手を探しているなら、この名前は上位に来ない。数年単位で仕込む対象として見ているからこそ、2000万ユーロという数字が検討のテーブルに載っていると考えられる。
代理人会社のオーナーがコーチングスタッフの兄弟である、という要素をどこまで重く見るべきか。FootMercato自身が「決定的な要素ではない」と留保を付けているように、これは交渉を動かす主因にはならない。だが、選手側の意向を早期に把握できる、あるいは条件交渉で無用な摩擦を避けられるといった副次的な効果はあり得る。
インテルは今夏、マルコ・パレストラの獲得をアレッサンドロ・ルッチとの交渉で逃し、アナン・ハライリはメディカルチェックの段階で止まった。代理人ルートでの取りこぼしが続いたシーズンだけに、こうした「細い線」の価値を軽視しない姿勢はむしろ自然に映る。ただし、それはあくまで補助線だ。2000万ユーロという壁が消えるわけではない。
3試合で4ゴールを決める18歳が、ベオグラードから欧州中の視線を集めている。インテルの名がそのリストに載っていること自体は事実だが、リストに載ることと契約書に署名することの間には、まだ2000万ユーロぶんの距離がある。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月3日
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