
新加入選手が最初にぶつかる壁は、たいてい戦術書ではなく体である。8月15日に正式加入したイングランド人右サイドは、開幕節に間に合わない。それどころか、2節のサルデーニャ遠征も難しいという。怪我ではない。ワールドカップ後の長い休養と、移籍を待つあいだの中途半端な調整が残した、避けようのない請求書である。
Corriere dello Sportによると、ジェド・スペンス(Djed Spence)は22日18時30分にジュゼッペ・メアッツァで行われるモンツァ戦に出場しない。本人は一日も早く合流したいと考えているが、コンディションを仲間の水準まで戻すための個別プログラムを消化する必要があり、続く第2節のカリアリ遠征にも間に合わない可能性がある。
理由は明快だ。ワールドカップ後の長期オフに加えて、インテルへの移籍が固まるまでのあいだトッテナムでの練習量が絞られていた。この二重の空白により、右サイドの新戦力は逆算するとチーム全体から明らかに出遅れている。同紙は、現実的に起用できるのは第3節・9月5日のナポリ戦になるだろうと見通している。
一方で、スペンス本人は移籍手続きに必要な書類を整えるためロンドンへ短時間の往復をこなしており、その足でこの日はピネティーナでの練習に通常どおり参加する見込みだという。モンツァ戦の右サイドは、アンディ・ディウフ(Andy Diouf)が務める。
原文: "La scelta è sostanzialmente obbligata, visto che Spence dovrà seguire un programma di allenamento specifico per mettersi alla pari con i compagni. Tra la lunga pausa post Mondiale e il lavoro ridotto con il Tottenham, in attesa del passaggio in nerazzurro, l'inglese è inevitabilmente in ritardo."
訳: 「この判断は事実上やむを得ないものだ。スペンスは仲間と同じ水準に達するため、個別の調整プログラムを消化しなければならない。ワールドカップ後の長い中断と、ネラッズーリへの移籍を待つあいだトッテナムで練習量が絞られていたことが重なり、このイングランド人はどうしても出遅れている」
元記事には移籍金の記載がないが、当メディアが8月14日に伝えた通り、スペンスの獲得には3150万ユーロが投じられている。その投資が初めてピッチに現れるのが3節目だとすれば、開幕からの2試合は「買ったが使えない」時間として計上されることになる。
ただし、これを損失と読むのは早計だろう。移籍市場が閉じるのは9月頭で、そこまではむしろ編成が流動的な時期だ。この2試合でディウフが結果を出せば、右サイドの補強圧力は下がる。逆に苦戦すれば、クラブは市場最終盤に別の選択肢を検討する材料を得る。スペンスの遅れは、はからずも右サイドの現状を測る観測期間として機能する可能性がある。
ディウフはもともと中盤の選手として評価されてきたが、キブの3-5-2では右のウイングバックとして起用される機会が増えている。モンツァ戦とカリアリ戦という開幕2連戦を任されることは、彼にとって単なる代役以上の意味を持つはずだ。
デンゼル・ダンフリースが担っていた役割を、フィジカルで押し切るスペンスと機動力で崩すディウフのどちらが引き継ぐのか。この問いに対する暫定的な答えが、9月5日より前に出てしまうかもしれない。序列は、監督が決める前にピッチが決めることがある。
今季のプレシーズンは、ワールドカップ明けという特殊な事情を抱えていた。代表で長く戦った選手ほど休養が長く、移籍を控えた選手ほど所属先での負荷が下がる。スペンスはこの二つの条件を同時に満たしてしまった、いわば構造的な出遅れの典型例と言える。
同様の事情を抱える選手はインテル以外にも少なくないと考えられ、開幕数節は「コンディションが仕上がっているチーム」が想定以上の勝点を稼ぐ展開もありうる。逆に言えば、9月中旬までの順位表は、戦力の序列をそのまま反映しないと見ておいたほうがいい。
補強とは、選手を獲ることではなく、選手が走れるようにするところまでを指す。スペンスの初出場が9月5日のナポリ戦になるとしたら、それはインテルにとって最も緊張感のある舞台だ。デビューの日取りとしては、悪くない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月20日
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