
チームは敗れた。だが、18ヶ月ぶりに代表の袖を通した男だけは、その混乱の中で自分の価値を静かに証明してみせた。クロップ新体制が船出したばかりのドイツ代表で、大胆に起用された若手たちが軒並み評価を落とす中、インテルの右CBだけが違う色を放っていたという。敗戦の夜に見つかった、小さいが確かな手応えだった。
ドイツ代表は9月27日、ユルゲン・クロップ新監督の下でギリシャと対戦し敗れた。この試合でクロップは5人の新戦力を先発させる大胆な采配を振るったが、公共放送ARDの採点でポジティブな評価を得たのは、そのうちヤン・ビセックただ一人だったと『FCInterNews』が28日伝えた。
ビセックにとっては、代表からおよそ18ヶ月遠ざかった末の復帰だった。ARDの採点では、復帰戦でも説得力ある守備を見せたとして、正確なパス回し、優れたポジショニング、効果的なヘディングが評価されたという(※意訳、FCInterNews経由)。17分に警告を受けたものの、それもうまく管理したと伝えられている。他の4人の新顔がいずれも厳しい評価にさらされた中、フル出場を果たしたビセックの安定感は際立っていた。
本人は、この機会を今後の招集につなげるには所属クラブでの結果が不可欠だという認識を示しているという。
インテルでの2025-26二冠獲得において、ビセックの右CBとしての安定感はチームの土台のひとつだった。今回のドイツ代表での評価は、その守備の質が国内リーグ限定のものではなく、代表レベルの強度でも通用することを裏付けたと言えるだろう。クロップという名将の下で評価を得たことの意味は小さくない。
5人もの新戦力を一斉に先発させるのは、いかにもクロップらしい賭けだが、その多くが結果を出せなかった中でビセックだけが機能したという事実は、新体制における彼の立ち位置を強くする材料になると考えられる。次の招集でも軸として扱われる可能性は高いのではないか。バイエルンが夏に本格接触したという経緯を踏まえれば、代表での存在感の高まりが移籍市場の評価にも波及する可能性がある。
代表活動での評価向上は選手個人の価値を高める一方、クラブにとっては移籍市場での引き合いが強まるリスクと表裏一体でもある。インザーキ(原文ママ、インザーギの表記揺れ注意)体制からキブ体制への移行期にあるインテルにとって、右CBの主力を巡る駆け引きは今後も目が離せない話題になりそうだ。
敗戦の夜に見つかった小さな光。ビセックが体現したのは、混乱の中でも自分の仕事を淡々とこなす守備者の矜持だった。次の招集リストに、その名は再び刻まれるだろうか。それとも、この一戦限りの輝きに終わるのか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月28日
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