
年俸1500万ユーロという数字を前に、心が揺れなかったと言えば嘘になる。だが、その揺らぎはわずか数日しか続かなかった。[[インテル・ミラノ]]のポーランド代表MFが母国メディアのインタビューで、サウジアラビアからの破格のオファーを蹴ってミラノを選んだ舞台裏を語った。金か、舞台か。プロが人生の岐路で何を優先したのか、その肉声がいま明かされる。
ピオトル・ジエリンスキ(Piotr Zieliński)が、ポーランドのイレブン・スポーツのインタビューで、インテル加入前にサウジのアル・アハリから受けた巨額オファーを断った経緯を明かした。提示額は年俸1500万ユーロ規模とされ、これを退けてインテルを選んだ理由を、本人は「世界最高の選手たちと競い、チャンピオンズリーグで自分を試したかった」と説明している。
[[ナポリ]]を契約満了で去った後の選択だった。家族と相談し、優先順位を整理した結果、金銭よりも舞台を取ったという。本人は、もしアル・アハリへ移っていれば味わえなかったであろう経験として、インテルでのチャンピオンズリーグ決勝の舞台に立てたことに言及している。
原文: "Per 2-3 giorni ho pensato di fare le valigie per i soldi"
訳: 「2〜3日は、金のために荷物をまとめようかと考えた」
巨額オファーに一度は心が動いたことを、ジエリンスキ自身が率直に認めた一節。だが、その逡巡が長くは続かなかったことも、同じインタビューで語られている。
サウジの年俸1500万ユーロは、選手のキャリア後半における「最後の大型契約」になり得る額だ。それを退けて欧州残留を選んだ判断は、ジエリンスキの競技者としての価値観を映している。家族と相談したうえで「数日で結論が出た」という語り口からは、迷いがありながらも芯はぶれなかった様子がうかがえる。インテルにとっては、こうした選手の自発的なモチベーションが、ロッカールームの空気に与える影響は小さくないと考えられる。
このインタビューが出たのは、インテルがシーズンを王者として終えた直後というタイミングだ。結果が出た後に「あの時サウジを断って正解だった」という物語が語られると、選択の正しさが事後的に裏づけられる構図になる。読者の感情を動かすのはまさにこの点で、移籍噂が飛び交う夏の喧騒のなかで、すでにクラブにいる選手の「選んだ理由」を聞ける記事は、補強ニュースとは別種の価値を持つと考えられる。
金で測れない動機が、ピッチの上では確かに効く。サウジの大金を数日で振り切った男は、いま王者の一員としてその選択を語っている。後悔のない決断とは、結果が出たあとにこそ美しく響くものなのかもしれない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月31日
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