
第1候補はチェルシーに攫われ、第2候補は医師団の一筆で消えた。デンゼル・ダンフリースが去った右サイドを埋める作業は、インテルにとってこの夏でもっとも報われていない仕事になっている。そして8月1日の朝、ミラノから届いた3つ目の名前はブレントフォードでプレーするイタリア人だった。ただし今回も、壁として立ちはだかるのは金額である。
TuttoMercatoWEBが8月1日07:07に伝えたところによると、インテル・ミラノは[[ブレントフォード]]に所属するイタリア人サイドバック、マイケル・カヨデ(Michael Kayode)の移籍市場での状況について情報収集を始めた。原典はインテル系媒体L'Interistaの報道である。
背景にあるのは、2度続いた計画の頓挫だ。右サイドの第1候補だった[[マルコ・パレストラ]]は、[[チェルシー]]が[[アタランタ]]と選手本人の双方に提示した破格のオファーによってイングランドへ流れた。続いて交渉が進んだ[[アナン・ハライリ]]は、[[ユニオン・サン=ジロワーズ]]との間で総額2500万ユーロ+ボーナスという条件で合意に達していたにもかかわらず、CONI(イタリアオリンピック委員会)医師団の否定的な所見によりセリエAでの登録が認められず、加入は実現しなかった。
3度目の計画変更を強いられたクラブが目をつけたのが、2004年生まれのカヨデである。TuttoMercatoWEBは、フロントが関心を持った理由として年齢、イタリアで育った選手であること、現在のスカッドにおけるイタリア人選手の層をさらに厚くできること、そして元[[フィオレンティーナ]]の彼が持つ将来性を挙げている。
原文: "Dati i molteplici fattori positivi che connotano la sua figura, Kayode viene valutato dal Brentford almeno 35 milioni di euro. Come raccontato dalla redazione de L'Interista, non sarà possibile riportare il classe 2004 in Italia per una cifra inferiore."
訳: 「彼という存在を特徴づける複数の好材料を踏まえ、ブレントフォードはカヨデを最低でも3500万ユーロと評価している。L'Interista編集部が伝えたところによれば、この2004年生まれの選手をそれ以下の金額でイタリアへ連れ戻すことは不可能だろう」
原文: "Posti dinanzi a tale realtà non soggetta a mutamenti, qualora non dovessero decidere di stanziare una tale somma per l'ingaggio di Kayode, ai nerazzurri non resterebbe che virare su altri profili."
訳: 「動かしようのないこの現実を前にして、もしカヨデの獲得にそれだけの金額を投じないと決断するなら、ネラッズーリには別の選手へ舵を切る以外の道は残されていない」
TuttoMercatoWEBが伝えた3500万ユーロという評価額は、この案件の性格をほぼ決めている。7月31日にTuttosportが報じた「収支ゼロの市場」という枠組みを前提にするなら、オークツリー体制のインテルが右サイドバック1枚に3500万ユーロを充てる余地は大きくない。ダンフリースの売却益が2000万ユーロだったことを考えれば、単純な穴埋めとしても1500万ユーロの持ち出しになる計算だ。
ここで注意したいのは、記事の文言が「si informa(情報を集めている)」であって「交渉を開始した」ではない点である。市場終盤にクラブが複数の名前の状況を並行して把握しておくのは通常の作業であり、これをもって獲得が近いと読むのは早計だと考えられる。むしろ記事自体が「その金額を出さないなら別の選手へ舵を切るしかない」と結んでいることこそ、現時点の温度を示していると推察する。
興味深いのは、フロントが関心を持った理由として挙げられた項目の並び方である。年齢、イタリアでの成長、スカッド内のイタリア人比率、将来性。プレースタイルへの言及が前面に出ていない。
これは編成上の意味を持つ。UEFAの登録規定とセリエAのホームグロウン枠を踏まえると、イタリアで育った若い選手を1枚確保しておくことはリスト運用の柔軟性に直結する。7月29日に[[ペタル・スチッチ]]や[[アンディ・ディウフ]]といった外国籍の若手を軸に据える方針が伝えられていた流れのなかで、リスト面の均衡を取り戻す意図があるのかもしれない。ただしこれは報道された理由からの推論であり、クラブが公式に語ったものではない。
なお、カヨデの代理人であるリトルニ氏は7月中旬の時点で、インテルを含むビッグクラブの関心について「光栄だが、彼はいまプレミアリーグで良い状態にある」と語っていた。選手側から積極的に動く気配は、少なくとも公の場では見えていない。
セリエAの開幕は8月22日のモンツァ戦である。残り3週間で右サイドの主力を確定させられなければ、キブは開幕を現有戦力で迎えることになる。7月27日のカールスルーエ戦でアンディ・ディウフが右サイドで2得点を挙げたことは、内部からの解決策が存在しうることを示した。ただしディウフは本来メッザーラであり、サイドでの起用は転用である。シーズンを通じて右サイドを1人で担わせる想定だとすれば、負荷は小さくない。
パレストラ、ハライリ、そしてカヨデ。3人の名前が並ぶこの夏の経緯は、インテルの補強が「誰を狙うか」ではなく「誰なら手が届くか」で動いていることを示しているように見える。市場の最終盤に値段が下がるのを待つのは常套手段だが、待った先に選手が残っている保証はない。
第1候補を金で負け、第2候補を書類で失ったクラブが、3人目にたどり着いた。ただしその3人目にも3500万ユーロという値札がついている。8月のインテルに必要なのは、もう一度名前を探す時間ではなく、ひとつの名前を仕留める決断だろう。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月1日
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