
ベルギーに完敗したイタリア代表のピッチ上で、5年越しの因縁が再燃しかけた。挑発したのはかつてインテルの得点源だった男、詰め寄ったのはかつてのミラノダービーの宿敵。両者が睨み合う一触即発の空気を鎮めに動いたのは、代表定着を目指す渦中にあるインテルの若きストライカー、ピオ・エスポージトという意外な仲裁役。
2026年9月25日、ネーションズリーグでイタリア代表はベルギー代表とスタディオ・オリンピコで対戦し、0-2で完敗を喫した。観客数は47,155人。前半終了時点で早くもブーイングが起こり、試合終了のホイッスルと同時にスタンドからは盛大な不満の声が浴びせられた。指揮官ロベルト・マンチーニにとって、代表監督としての再登板初戦は苦い記憶とともに幕を開けた格好になる。
試合終了直後、ピッチ上で一悶着が起きた。ロメル・ルカクがゴールキーパーのジャンルイジ・ドンナルンマに向かって「黙ってろ、お前らは2-0で負けたんだ」と挑発。これに気色ばんだドンナルンマがルカクのもとへ歩み寄り、直接言葉を交わす場面に発展した。主審はこのやり取りを注視しており、双方の選手が周囲になだめられた後、両者に警告が提示されている。
この一件には伏線がある。両者は2021年の欧州選手権でも因縁を残しており、当時はルカクがPKを決めた後にドンナルンマへ挑発的な言葉を投げかけたとされる。当時ルカクはインテル、ドンナルンマはミランに所属しており、ミラノのダービーの延長線上にあるような確執だったとも言える。今回、その場を収めたのがインテルの現役選手であるピオ・エスポージトだったという構図は、示唆に富む。
原文: "Zitto, hai perso 2-0"
訳: 「黙ってろ、お前らは2-0で負けたんだ」
エスポージトは今回が代表定着へ向けた重要な期間にある選手であり、モイズ・キーンとの併用を巡る議論も報じられている中での招集だった。その渦中で、ベテラン同士の衝突を自ら収めに動いたという事実は、単なる潤滑油としての役割にとどまらない意味を持つと考えられる。マンチーニが今後のメンバー構成を固めていく過程で、ピッチ内外の振る舞いも評価材料に加わる可能性はあるだろう。代表経験がまだ浅い立場を考えれば、この落ち着いた対応は代表内での信頼獲得に少なからず寄与すると推察する。
ルカクとドンナルンマの因縁は、突き詰めればかつてのミラノ・ダービーの延長線上にあるものだ。片やインテルの英雄だった男、片やミランの守護神だった男。その激突を、現在のインテルを背負う若きストライカーが仲裁したという巡り合わせは、偶然にしても出来すぎている。イタリア代表はスタディオ・オリンピコで過去にも荒れた一幕を経験してきた歴史があり、今回の件もそうした記憶の延長線上で語られていくことになるかもしれない。エスポージトがこの先、ピッチの内でも外でも代表の中心に近づいていくのか、注目したい。
黙らせようとした男と、黙らなかった男。その間に割って入ったのは、まだ代表の座を固め切れていない若きインテルの一員だった。ピッチ上の一瞬の仲裁が、エスポージトの代表内での立ち位置をどれだけ変えるのか、次の招集で答えが見えてくるはずだ。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月26日
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