
夏の移籍市場が本格化する前に、ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)が一枚の見取り図を広げた。来季のインテルはどんな顔ぶれで戦うのか。退団が確実視されるダンフリースが残す右の空白、ヤン・ゾマー(Yann Sommer)から受け継がれるゴールマウス、そして若い才能に託される得点源。3-5-2という骨格は変わらずとも、その内側では確かな世代交代の足音が鳴り始めている。クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)が率いる新章の輪郭を、イタリア最大の専門紙が描いた構想からたどってみたい。
ガゼッタが提示したのは、来季2026-27シーズンに向けた予想スターティングイレブンである。基本システムは前サイクルから継続する3-5-2。前回王者の確実性を土台にしながら、要所に新味を重ねる――それが紙面に滲む編成思想だと読み取れる。
最も象徴的なのはゴールマウスだ。ガゼッタはジョゼップ・マルティネス(Josep Martínez)を正GK候補に据え、ゾマーから「決定的に」その座を受け継ぐ存在として描いている。守備ラインには新加入候補のウマル・ソレ(Oumar Solet)が組み込まれ、マヌエル・アカンジ(Manuel Akanji)、アレッサンドロ・バストーニ(Alessandro Bastoni)と並ぶ3バックは、部門全体のフィジカルレベルを引き上げる狙いだという。
両ウイングバックでは、左のフェデリコ・ディマルコ(Federico Dimarco)が不動の主である一方、革命は右で起きる。長年デンゼル・ダンフリース(Denzel Dumfries)が担ってきた右の縦のレーンに、ガゼッタは若く推進力に富むマルコ・パレストラ(Marco Palestra)を置いた。中盤はニコロ・バレッラ(Nicolò Barella)とハカン・チャルハノール(Hakan Çalhanoğlu)という技術と精神の基準点を残しつつ、新味としてカーティス・ジョーンズ(Curtis Jones)を、代替案にアッタ(Atta)を挙げている。前線はラウタロ・マルティネス(Lautaro Martínez)とマルクス・テュラム(Marcus Thuram)の2トップ不変で、その背後にピオ・エスポージト(Francesco Pio Esposito)とボニー(Bonny)の若手が控える布陣だ。
若い2人の攻撃陣に何を求めるか。キブはガゼッタの記事内で、こう期待値を口にしている。
原文: "Mi aspetto che facciano più di 10 gol"
訳: 「彼らには2桁、10ゴール以上を挙げてほしい」
控えに甘んじるのではなく、得点という最も分かりやすい数字で結果を出せ――そんな要求が、短い一言ににじむ。
最大の論点はやはりGKだ。ジョゼップ・マルティネス(27歳、背番号13)は2025-26をゾマーの控えとして過ごし、セリエA出場はわずか2試合・180分にとどまった(5本中4セーブのセーブ率80%)。経験の蓄積はこれからという段階の守護神を、一気に正GKへ引き上げる構想は、ゾマーがチームを支えた数年間に区切りをつけることを意味する。折しもFCInterNewsは当日、ゾマーのシーズンのセーブ率が58.8%にとどまったとする物足りない数字を伝えており、ベテランに求めるべき水準との距離が議論され始めた局面と重なる。
ただ、正GKの交代はチーム全体のリスク許容度を一段上げる決断でもある。最後尾の安定はインテルがここ数シーズン築いてきた強さの根幹であり、若い守護神への移行が機能するまでには時間と忍耐が要ると考えられる。ガゼッタの予想はあくまで構想段階のものであり、現実の序列がどう動くかは夏のプレシーズンの競争を待つ必要がある。
3バックに名を連ねるソレ――フランス代表歴を持つウマル・ソレ(26歳、192cm)は、リヨンとザルツブルクを経て2025年夏にウディネーゼへ加入したCBだ。2025-26はセリエA34試合で4ゴール、90分平均2.41タックル・1.41インターセプトと、ガゼッタの言う「フィジカルと攻撃性」を数字の上でも裏づける。アカンジ、バストーニと組めば、空中戦と前進守備の双方で部門の強度は確かに上がると見てよい。
右の再設計はさらに大胆だ。長年ダンフリースが右の上下動とゴール前への飛び込みで違いを生んできただけに、その穴は数字以上に大きい。後継候補に若いパレストラ(21歳)を推すのは、即戦力性よりも運動量・将来性・給与構造の最適化を取る編成方針の表れと推察できる。問題は、世界クラブ王者を狙う水準のチームで、伸びしろの大きい若手をどこまで我慢して起用できるか。そこにキブの育成力が問われると考えられる。
中盤の新味に挙がるカーティス・ジョーンズ(25歳)は、リヴァプールで2025年12月に通算200試合へ到達した右利きの万能型MFで、今季も公式戦48試合に絡んだ。完成されたバレッラとチャルハノールの軸に、運動量と飛び出し、フィジカルを足して「最後の一段」を上ろうとする発想だ。代替案に挙がるアッタ――フランスとベナンの国籍を持つアルチュール・アッタ(Arthur Atta、23歳)は、ウディネーゼで今季セリエA29試合4ゴール3アシスト、リーグ屈指のドリブル成功数を誇る推進力型で、開幕節にサン・シーロでインテルを2-1で破った試合の主役の一人でもあった。
いずれの補強も資金の捻出が前提で、別途報じられるダヴィデ・フラッテージらの放出と連動する可能性がある。つまり紙上の理想布陣は、出入りの収支が噛み合って初めて現実味を帯びる。名前は多く、確定した事実は少ない――現在のインテルの夏は、まさにその段階にあると言える。
確実性の上に若さを接ぎ木する。ガゼッタが描いた来季像は、王者が守りに入らず更新を選んだことの証左でもある。むろん紙上の布陣がそのまま現実になる保証はない。だが世代交代を恐れぬチームだけが、二つ目の星をその先へ運べるのではないか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年6月16日
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