
バーリのスタディオ・サン・ニコラ、81分。ゴール前で右足を振り抜いたのは、この夏フリーで加入し、まだ一度も公式戦のピッチに立っていない男だった。[[ジョン・ストーンズ]]のネラッズーリ初ゴールが、80分間動かなかったスコアボードを動かす。そして、その一撃をお膳立てしたのは、この夏ずっと放出リストの上にいる[[バンジャマン・パヴァール]]だった。開幕まで、あと1週間。
[[インテル・ミラノ]]は8月15日、バーリのスタディオ・サン・ニコラで[[レアル・ベティス]]とプレシーズン最後の親善試合を戦い、1-0で勝利した。決勝点は81分、途中出場のストーンズによるもの。加入後初出場での初得点となった。
[[クリスティアン・キブ]]は3-5-2でスタートし、GKにジョセプ・マルティネス、3バックには[[ヤン・ビセック]]、[[アレッサンドロ・バストーニ]]、そして中央に2008年生まれの[[レオナルド・ボヴィオ]]という布陣を敷いた。開幕1週間前の最終テストで18歳をCBの中央に置いた事実は、それだけで一つのメッセージと言える。中盤は右に[[アンディ・ディウフ]]、[[ニコロ・バレッラ]]、[[ハカン・チャルハノール]]、[[ピオトル・ジエリンスキ]]、左に[[カルロス・アウグスト]]。2トップは[[ピオ・エスポージト]]と[[アンジュ=ヨアン・ボニー]]が組んだ。
前半は0-0。ボニーのヘディングとチャルハノールのミドルで押し込んだが、決め手を欠いた。ベティスもアントニーとフォルナルスを軸に何度か形を作っている。キブは後半頭から[[マヌエル・アカンジ]]、[[フェデリコ・ディマルコ]]、[[ペタル・スチッチ]]を投入し、61分にはパヴァール、[[イヴァン・プロヴェデル]]、[[ヘンリク・ムヒタリアン]]、[[ルイス・エンヒキ]]を一度に送り出す総入れ替えを敢行。69分にストーンズ、アレクサンダル・スタンコビッチ、そして[[ラウタロ・マルティネス]]が今季初めてピッチに立った。
そして81分。Sky Sport Italiaはディマルコのボールをパヴァールが頭でそらし、ストーンズが右足のボレーで押し込んだと伝えている。FC Inter 1908はコーナーキックからの流れとしており、細部の描写は媒体によって割れているが、パヴァールのアシストという点は一致している。
試合後、ストーンズはSky Sportのマイクの前でこう語った。
原文: "Era la prima partita mia e fare gol è qualcosa di speciale, me lo ricorderò per tutta la vita. Darò tutto per questa maglia, i miei compagni e per il club."
訳: 「自分にとって最初の試合で、そこでゴールを決められたのは特別なことだ。一生忘れないだろう。このユニフォーム、チームメイト、そしてクラブのために全てを捧げる」
チャンピオンズリーグについて問われた際の言葉も残しておきたい。
原文: "Negli ultimi anni i ragazzi e il club sono arrivati due volte in finale e sono sempre stati lì a lottare: so che vincere la Champions è sempre un obiettivo e vogliamo riportare il trofeo ai tifosi interisti."
訳: 「ここ数年、選手たちとクラブは2度決勝に到達し、常に戦い続けてきた。チャンピオンズリーグを勝つことが常に目標であることは分かっているし、我々はあのトロフィーをインテリスタのもとへ持ち帰りたい」
ストーンズがミラノに現れたのは7月30日だった。ワールドカップでイングランドが準決勝でアルゼンチンに敗れた直後、フリーの身でメディカルを受け、そのままバカンスに戻った選手が、8月半ばの最終テストで20分ほど出場して決勝点を挙げた。この夏のインテルの補強は[[ジェド・スペンス]]に3000万ユーロ超を投じ、[[カーティス・ジョーンズ]]にはさらに大金が必要という構図になっている。そのなかで、移籍金をまったく使わずに獲得した選手が最初に結果を出したという事実は、フロントにとって小さくない意味を持つと考えられる。
もっとも、親善試合の1点を過大評価するのは危険だ。ベティスは今季チャンピオンズリーグを戦うクラブだが、リーガ開幕は翌週で、この試合も両軍が大量に選手を入れ替えた消化型のゲームだった。ストーンズについて本当に問われるのは、32歳を超えた身体がセリエAの過密日程にどこまで耐えるかであり、その答えは9月以降にしか出ない。
この日のゴールをお膳立てしたのがパヴァールだった、という一点に目を留めたい。フランス人DFは今夏ずっと放出候補として名前が出続けており、当メディアでも8月13日の記事で、残留を阻んでいるのは首脳陣との対立ではなく年俸の水準だと整理した。ベンフィカ、ガラタサライ、コモの関心が伝えられ、それでも本人は動かない。
そのパヴァールが61分から入り、20分後には新加入のCBにアシストを送っている。ピッチ上での価値と、編成上の位置づけが噛み合っていない典型例と言えるだろう。3バックの右で計算できる選手が余っている状態は、裏を返せばキブにとっての贅沢な悩みでもある。ビセック、アカンジ、ストーンズ、そしてパヴァール。この4枚をどう捌くかは、8月末の市場閉幕まで持ち越される可能性が高いと考えられる。
もう一つの読みどころは、CB中央に据えられたボヴィオである。2008年生まれ、柔道場からサッカーに転じた経歴を持つこの若手は、プレシーズンを通してキブの信頼を積み上げてきた。当メディアも8月10日に単独の紹介記事を出しているが、そこから1週間足らずで「開幕直前の最終テストで先発」というところまで来た。
キブは今季、ローテーションと選手層の厚みを前面に押し出す方針を取っていると各紙が伝えている。ボヴィオの起用は、その方針が単なるリップサービスではないことを示す実例と受け取れる。83分にはイドリッスも投入され、生え抜きの2007年生まれと2008年生まれが同じ試合でトップチームの時間を得た。スペンスやストーンズといったプレミアリーグ組の補強と、下部組織からの引き上げ。この2つの流れが同時に走っているのが、いまのインテルの編成だ。
プレシーズンは3勝1分1勝で終わった。数字の上では申し分ない。だが、バーリで最も雄弁だったのは1-0という結果ではなく、ゴールを決めた男とアシストした男の立場の落差だろう。1週間後、メアッツァで始まる本番で、キブはこの二人をどう並べるのか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月16日
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