
昨季、フィールドプレーヤーとして誰よりも長くピッチに立っていた男が、開幕から二試合続けて途中で退いている。代わりに残るのはイングランドから来たばかりのセンターバック。守備の並びが動き始めた合図なのか、それとも単なる調整の遅れなのか。土曜のサン・シーロ、そして翌週に控えるマドリードの夜。連戦の入り口で、キブの手元にはすでに別の三枚が用意されている。
ガゼッタ・デロ・スポルトが9月2日、マヌエル・アカンジのコンディションについて報じた。スイス代表DFはモンツァ戦、カリアリ戦のいずれでも試合途中に交代しており、その後を埋めたのはジョン・ストーンズだった。まだ100パーセントの状態ではない、というのが同紙の見立てである。
昨季のアカンジは、インテルのフィールドプレーヤーの中で最も出場時間の長い選手だった。その男が二戦続けて先に下がる。開幕からの二試合のパフォーマンスも、これまでネラッズーリのファンが見慣れてきた水準とは言いがたいものだったと同紙は書いている。
そこでキブが検討しているのが、三バックの組み替えである。ナポリ戦では、右にバンジャマン・パヴァール、中央にヤン・ビセック、左にアレッサンドロ・バストーニという並びが浮上している。パヴァールは夏の間ずっとスーツケースを手にしていた選手であり、ビセックは開幕のモンツァ戦で得点まで記録した。三人とも、いま外されるべき理由を持っていない。
原文: "Il francese sta vivendo la sua seconda vita interista dopo un'estate con in mano una valigia che poi ha messo via con voglia e dedizione; il secondo è in formissima, ha garantito solidità e si è pure tolto lo sfizio di segnare un gol ai brianzoli al debutto; l'azzurro infine non ha brillato e non ha deluso."
訳: 「フランス人はインテルでの第二の人生を生きている。スーツケースを手にした夏を過ごしたあと、意欲と献身でそれをしまい込んだ。二人目は絶好調で、堅さを担保し、開幕でモンツァから得点する楽しみまで味わった。そしてイタリア人は、輝いてはいないが期待を裏切ってもいない」
原文: "Già, perché ora inizia quel periodo in cui si inizia a vedere (e a ragionare) doppio."
訳: 「そう、これから始まるのは、二重に見て、二重に考え始める時期なのだ」
ガゼッタが最後に置いた一文が、この記事の本題だと考えられる。ナポリ戦の翌週にはマドリードが待つ。土曜のサン・シーロと水曜のサンティアゴ・ベルナベウを、一組のセンターバックで乗り切る発想はもう成立しない。
昨季のアカンジが最多出場だったという事実は、裏返せば代替が効かなかったということでもある。今夏インテルがジョン・ストーンズを迎えた意味は、まさにここにある。誰か一人を守るのではなく、二セット分の守備を持つこと。アカンジの状態が万全でない今、その投資が最初に効く場面が来たと言える。
もっとも、ここには別の読み方も残る。ストーンズが二試合続けて途中投入で結果を出しているなら、アカンジの調子が戻ったあとに元の序列へ素直に戻るとは限らない。競争が始まっているのだとすれば、それはクラブにとって歓迎すべき状況だろう。
もう一つ興味深いのは、変化球の右にバンジャマン・パヴァールの名が入っている点だ。夏の間、彼は放出リストの上のほうに置かれ、代理人が国外の移籍先を探していた選手である。それがカリアリ戦で先発し、いまナポリ戦の構想にも残っている。
ガゼッタの表現を借りれば「第二のインテル人生」ということになる。皮肉な話ではある。市場で売れ残ったことが、結果として層の厚さに変換された。ただしこれを美談として片づけるのは早い。契約と年俸の問題は先送りされただけであり、冬にまた同じ議論が戻ってくる可能性はある。
最後に、慎重に線を引いておきたい。元記事はアカンジについて「まだ100パーセントの状態ではない」としか書いていない。故障名もなければ、離脱の見通しもない。二試合続けて途中交代したという事実と、パフォーマンスが物足りなかったという評価があるだけだ。
インテルの守備の中心が壊れたわけではない、と考えるのが妥当だろう。ただしスイス代表としてワールドカップイヤーを戦う選手でもある。9月の代表ウィークをどう過ごすかを含め、コンディションの管理は本人とクラブの双方にとって難しい季節に入る。ナポリ戦のメンバー表は、その最初の指標になる。
昨季いちばん働いた男を、いちばん大事な試合の前に休ませる。それは弱さの表明ではなく、二セット分の守備を買った夏の答え合わせだ。土曜、三バックの中央に立つのは誰か。そこにこのクラブの新しい体力が現れる。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月2日
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