
スタディオ・レナート・ダッラーラ、5月23日。3-2でボローニャに敗れる目前のインテルにとって、87分は記憶される時間となった。ベンチから81分にステファン・デ・フライ(Stefan de Vrij)の負傷交代で入ったルカ・トパロヴィッチ(Luka Topalović)が、自陣で背中を向けたままアンディ・ディウフ(Andy Diouf)への絶妙なロングパスを通し、3-3の同点弾を演出した。インテルがプリマヴェーラ世代に投じた80万ユーロが、たった6分間で示した価値。ザ・ガーディアンが2006年生まれ世界トップ60に選んだ20歳が、シーズン最終節で「来季への切符」を自ら掴んだ夜。
トパロヴィッチを一言で表せば、「ザ・ガーディアンが認めた世界トップ60、187cmの左右両足プレーメイカー」となる。2023年10月、英ガーディアン紙が2006年生まれの世界トップ60の若手才能にトパロヴィッチを選出している。右利きながら左右両足でプレー可能、187cmの長身を活かしたヘディング能力、そして攻撃的MFとしてのプレーメイク能力——これらすべてを20歳でセリエAレベルにまで持ち込んだ選手として、彼の評価は単なる将来性ではなく、すでに現実の価値で語られている。
スロヴェニア北部のスロヴェニ・グラデツで生まれ、地元コロタン・プレヴァリェのアカデミーで6歳からボールを蹴り始めた。マリボル、ビストリツァを経て、2020年からNKドモジャレ(Slovenian PrvaLiga)の下部組織で本格的な選手としての成長を遂げる。2022年5月、16歳と2か月でドモジャレのトップチームデビューを飾る。2023年4月28日には1-1のゴリツァ戦で初ゴール、スロヴェニア・プルヴァリーガのその年のシーズン最年少得点者となった。
転機は2024年夏。インテルがドモジャレから80万〜100万ユーロという破格の安値で獲得した。インテル下部組織で1シーズンを過ごし、U19としてプリマヴェーラ1で31試合8ゴール(24-25シーズン)、UEFAユースリーグでもRBライプツィヒ戦で2ゴール+PK獲得の3-2勝利という記録的な活躍を見せた。同シーズン、インテル・プリマヴェーラのスクデット獲得と、25-26シーズンのスーパーコッパ・プリマヴェーラ優勝にも貢献している。
2025年5月18日のリーグ最終節(対コモ)でシモーネ・インザーキ時代に10分間トップチームデビュー(FotMob評価6.1)を経験。2025年8月にインテルが新設したU23(セリエC)の主力となり、2026年5月23日のリーグ最終節・対ボローニャ戦で背番号58を背負って2度目のトップチーム出場を果たした。今回は81分から9分間のプレーで、ディウフへの決勝アシストを記録した。
25-26シーズンの主要な数字を整理する。U23(セリエC)とU20プリマヴェーラの二刀流で活動した1年だ。
| 大会 | 出場 | ゴール | アシスト |
|---|---|---|---|
| U23(セリエC・グループA) | 25 | 3 | - |
| U23コッパ・セリエC | 1 | 0 | - |
| プリマヴェーラ1(U20として) | 不明 | 不明 | - |
| UEFAユースリーグ | 6 | 3 | 1 |
| セリエA(トップチーム) | 1(9分) | 0 | 1(ディウフへの決勝点アシスト) |
| スロヴェニアU21代表 | 6 | 1 | - |
| 合計 | 37+α | 4+α | 1(A)+ |
| シーズン | カテゴリ | 出場 | ゴール |
|---|---|---|---|
| 2021-22 | ドモジャレ(PrvaLiga) | 2 | 0 |
| 2022-23 | ドモジャレ(PrvaLiga) | 10 | 1 |
| 2023-24 | ドモジャレ(PrvaLiga) | 35 | 2 |
| 2024-25 | インテル U19(プリマヴェーラ1) | 31 | 8 |
| 2024-25 | インテル トップチーム(セリエA) | 1(10分) | 0 |
| 2025-26 | インテル U23(セリエC・コッパ含む) | 26 | 3 |
| 2025-26 | インテル トップチーム(セリエA) | 1(9分) | 0 |
Soccerway調べでプロ通算104試合・15ゴール——20歳のミッドフィルダーとしては立派な実績である。アンディ・ディウフへの決勝アシストという形でトップチームの結果に直接貢献した事実は、彼の現在の到達点として象徴的と考えられる。
トパロヴィッチがインテルの3-5-2に組み込まれた場合、中盤3枚のいずれかのポジションが想定される。攻撃的MFがメインだが、中央MFやトップ下まで対応可能な多機能性が彼の強みだ。
キブ監督下のインテル中盤は、25-26にチャルハノール(レジスタ)、バレッラ、ムキタリャン(バランサー)を軸に展開した。ムキタリャンの契約満了による離脱、フラッテージの放出が確定的になりつつある中で、後継候補は明確に必要となっている。連載「2026夏のトランスファーターゲット」で取り上げてきたマヌ・コネ(外部獲得)と、トパロヴィッチ(内製の希望)は、補完関係を成す候補と推察できる。
ただし、現時点で来季のレギュラー争いに食い込めるとは言い難い。より現実的なシナリオは、トップチーム帯同を続けながらU23での主力起用を継続、もしくはレンタル移籍でセリエAまたはセリエBの中位クラブで実戦経験を積むという育成パスだ。事実、Tuttosportは**「即時主力ではないが、来季のトップチーム常時帯同メンバーになる可能性が高い」**と分析している。クリスティアン・キブ自身もボローニャ戦での起用について、長期的な評価に基づく選択だったと示唆していると推察できる。
A代表招集を巡るクロアチア・スロヴェニア・ボスニア3カ国の競争も、彼の市場価値と注目度を押し上げる要素となる。彼自身は両親由来でこれらすべての代表資格を持っており、最終的にどの代表を選ぶかは2026年W杯後に決まる可能性が高い。A代表の選択もまた、彼のキャリアパスを左右する重要な分岐点と考えられる。
↑先制でコッキがやばいの決めてる
スロヴェニ・グラデツで生まれた20歳が、ダッラーラのピッチに立った9分間で、ボローニャ戦の引き分けを手繰り寄せた。80万ユーロの投資が、ディウフへの決勝アシストでシーズンを締めた。サッスオーロへ渡るのか、レンタルで武者修行するのか、それともインテル U23で1年磨くのか。次の選択が、彼のキャリアの本当の始まりとなる。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月24日
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