
スクデットを獲った監督が、決勝戦の前夜に説いたのは戦術ではなく姿勢だった。クリスティアン・キヴ(Cristian Chivu)監督が5月13日のコッパ・イタリア(Coppa Italia)決勝ラツィオ(Lazio)戦の前日会見で、選手たちに「執着しすぎず、これまでと同じ落ち着きを持って、笑顔でピッチに入れ。楽しもうとする気持ちを失わずに」とメッセージを送った。土曜日のセリエA(Serie A)でラツィオを3-0で破った直後の同じ会場での再戦——インテル・ミラノ(Inter Milan)にとって2009-10シーズンのモウリーニョ(Jose Mourinho)以来16年ぶりの国内二冠まで、あと90分だ。
キヴはトゥットメルカートウェブ(TuttoMercatoWeb)に伝えられた前日会見で、決勝戦への姿勢を率直に語った。
「2つの異なる試合だ。同じチームと近い時期に対戦することには危険がある。土曜のように簡単に勝てると考えるかもしれないが、彼らはさらなるモチベーションを見出すかもしれない。我々は謙虚であるべきで、正しい姿勢を持つべきだ。スクデットに値したこと、コッパ・イタリアで決勝まで進んだことを認識し、最高の形で大会を讃えたい。我々は確実に準備できているはずだ」
土曜のラツィオ戦3-0勝利が「予行演習」になったという見方に対し、キヴはむしろ警戒を示した。同じ相手と短期間で対戦することの難しさを認め、相手のモチベーションが上がる可能性に注意を促した形だ。
そして決勝への精神的な姿勢について、キヴは独自の哲学を共有した。「執着しすぎないでほしい。これまで我々は全てを勝ち取ってきた。今までと同じ落ち着きを保つべきだ。落ち着いて、笑顔で、楽しみたいという気持ちを持ってピッチに入る。熱意や謙虚さを失わずに」
注目すべきは、キヴが「勝っても負けても自分の評価は変わらない」と語った部分だ。「私にとっては何も変わらない。私は自分の野心に合致するクラブにいる。競争力を持ちたいというクラブにいる。ラウタロ(Lautaro Martinez)がアメリカでの最初のインタビューで語った瞬間から、私は彼がどういう人物かを理解した」と述べ、結果だけでチームの今季を評価することへの距離を置いた。
加えて、テュラム(Marcus Thuram)の状態についても言及。「より良くなっている。今日は我々と一緒に練習した。明日もう一度評価する」と、決勝戦への出場の可能性を残した。
原文: "They are two different games. There are dangers when you play close matches against the same team. You might think it's easy to play again like we did on Saturday, but they might find some extra motivation."
訳: 「2つの異なる試合だ。同じチームと近い時期に対戦することには危険がある。土曜のように簡単に勝てると考えるかもしれないが、彼らはさらなるモチベーションを見出すかもしれない」
原文: "Don't be too obsessed, we've deserved everything so far and we have to have the same calmness that we've kept until now. Calm, with a smile on our faces, going onto the pitch with the desire to have fun, without losing the enthusiasm or humility."
訳: 「執着しすぎないでほしい。これまで我々は全てを勝ち取ってきた。今までと同じ落ち着きを保つべきだ。落ち着いて、笑顔で、楽しみたいという気持ちを持ってピッチに入る。熱意や謙虚さを失わずに」
原文: "Ambition. I know what it means to be at a team like Inter, the stories that surround it and the negative part that often comes out. I've tried to calm that down from a human point of view, and manage the frustration that comes at us from the outside."
訳: 「野心だ。インテルのようなチームに在籍するということが何を意味するかを知っている。それを取り巻く物語、しばしば出てくる否定的な部分も。私は人間的な観点からそれを落ち着かせ、外部から来るフラストレーションを管理しようとしてきた」
キヴが決勝戦の前夜に選んだキーワードは「楽しめ(have fun)」「笑顔(smile)」「落ち着き(calmness)」だった。これは偶然ではない。シーズン序盤の3戦連続未勝利期間、ラウタロが主導したロッカールームミーティングで「もう一度楽しむことを学ばなければならない、姿勢が最も大事」と語った姿勢が、シーズン終盤の最大の試合の前夜にも貫かれている。「執着しすぎない」というメッセージは、決勝戦特有の重圧で選手のパフォーマンスが落ちることを防ぐ意図的な心理戦略だ。サッリのラツィオが「メンタル」を強調しているのに対し、キヴは逆に「リラックス」を強調する——この対照的な姿勢が、決勝戦の流れを左右する可能性がある。
キヴが「決勝の結果は自分にとって何も変わらない」と発言したのは、選手たちへのメッセージでもある。監督自身が結果にとらわれていない姿勢を示すことで、選手たちのプレッシャーも軽減される。サッリも同じく「コッパ・イタリアを獲ることは個人的にあまり意味がない」と発言したと報じられており、両指揮官が結果至上主義から距離を置く姿勢を見せている。ただしキヴの場合、その余裕は単なる強がりではなく、すでにスクデットを獲得したという事実に裏付けられている。「クラブが私の野心に合致している」という発言には、契約延長交渉が進行中であることへの自信も滲んでいる。年俸210万ユーロから300万ユーロへの増額提示、2028年までの契約延長——マロッタ(Beppe Marotta)会長との関係が良好であることを公の場で間接的に示すメッセージとも読める。
キヴが「自分が持ち込んだもの」として挙げた「野心」と「外部のフラストレーションを管理する」という姿勢は興味深い。インテルというクラブの周囲には常に大きな物語と批判の声が存在する。3戦連続未勝利、CL(チャンピオンズリーグ)のボドー/グリムト(Bodo/Glimt)敗退、バストーニ(Alessandro Bastoni)への批判の集中砲火——これらをキヴは「人間的な観点」から落ち着かせ、内部の結束を保つことに集中してきたという。「真の人々(real people)と仕事をしている」「誇りを示し、結束を知っている」という選手たちへの賛辞は、彼の信念の表明であると同時に、決勝戦に向けた最終的なモチベーション付けでもある。
「楽しめ、笑顔で行け」——スクデットを獲った監督の決勝前夜の言葉が、これほど力を抜いたものになるとは思わなかった。だがそれこそが、ラウタロのリーダーシップ、テュラム(Marcus Thuram)の終盤戦の覚醒、ディマルコ(Federico Dimarco)のリーグ最多アシストを生んだチームの空気そのものだ。緊張を煽るのではなく、緊張を抜く。コッパ・イタリア決勝の90分が、その哲学の最終試験となる。
記事タイトル: Chivu previews Lazio vs. Inter Coppa Italia final: ‘Winning doesn’t change a thing’
出典元記事URL: https://football-italia.net/chivu-previews-lazio-inter-coppa-italia-final/
公開日: 2026/5/12
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月13日
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