
20年前のスキャンダルの当事者として、誰よりも鋭い視点を持つ男が口を開いた。元インテル・ミラノ(Inter Milan)会長マッシモ・モラッティ(Massimo Moratti)が、ジャンルカ・ロッキ(Gianluca Rocchi)を巡る「スポーツ詐欺」の捜査について、「カルチョポリ(Calciopoli)と比べれば滑稽だ」と一蹴した。ナポリ・ネットワーク(Napoli Network)のインタビューで、80歳の名誉会長は「クラブ間の問題というより、審判同士の小さな争いに見える」と捜査の性質を冷静に分析し、「インテルは勝ったときも負けたときも、審判に助けられたことはない」と古巣への信念を改めて表明した。
ロッキへの「スポーツ詐欺」の容疑は、2006年のカルチョポリで使われた罪名よりも重い。報道されている疑惑のひとつは、2025年4月にロッキがサン・シーロで身元不明の人物と共謀し、ダニエレ・ドヴェリ(Daniele Doveri)主審をインテル戦に割り当てないよう調整したというものだ。ロッキ以外にも4人の審判関係者が捜査対象となっている。
モラッティは2006年当時のインテル会長であり、カルチョポリの全容を最も近い距離で目撃した人物だ。ナポリ・ネットワークのインタビューで、彼は今回の捜査について率直な見解を示した。
「あまり詳しく追っていないが、クラブと関係する話というより、審判同士の小さな争いのように見える。カルチョポリとの比較は成り立たない」と、捜査の規模感をカルチョポリとは別物として整理した。
カルチョポリ当時の自身の姿勢についても明かしている。「審判には恐れと尊敬の念を抱いていた。彼らは私のチームの運命を決める立場にあった。特に向こう側にユヴェントス(Juventus)がいた状況を考えればなおさらだ。だからこそ私は審判と話さなかった」と、距離を保つことを徹底していたと語った。
そしてカルチョポリで有罪判決を受けたデ・サンティス(De Santis)やルチアーノ・モッジ(Luciano Moggi)が現在も発言を求められている状況に驚きを表明し、「彼らに意見を求めること自体が信じがたい。今回起きていることは、当時と比べれば滑稽だ」と切り捨てた。
インテルが2005-06シーズンのスクデットを「上位クラブが勝ち点剥奪を受けたことで」事後的に獲得した経緯にも触れつつ、「試合を見ても、不均衡な場面は見当たらない。インテルは勝ったときも負けたときも、審判に助けられたことはない。審判のミスは起こるし、時に重大なミスもあるが、それは常に起きてきたことだ」と、過去と現在の両方でクラブの潔白を主張した。
原文: "I didn't follow the matter too closely, but it seems more like a small battle between referees than anything to do with clubs. I don't see comparisons with Calciopoli."
訳: 「あまり詳しく追ってはいないが、クラブが関わる話というより、審判同士の小さな争いに見える。カルチョポリとの比較は成り立たないと思う」
原文: "Seeing the games, I don't see anything unbalanced. Inter never had help, not when they won and not when they lost. Refereeing errors can happen, and often they are serious errors, but these things have always happened."
訳: 「試合を見ても、不均衡な場面は見当たらない。インテルは勝ったときも負けたときも、助けられたことはない。審判のミスは起こるし、重大なミスもあるが、それは常に起きてきたことだ」
モラッティの「カルチョポリと比べれば滑稽」という発言には、20年前のスキャンダルを最も近い距離で見た人物だからこその重みがある。カルチョポリは複数のクラブが関与し、組織的な審判操作を指摘される大規模な事件だった。電話盗聴で発覚した会話は明確な証拠となり、ユヴェントスのセリエB降格、ミラン(AC Milan)やラツィオ(Lazio)の勝ち点剥奪という制裁を生んだ。今回の捜査が「2024-25シーズンの5試合」「審判関係者5人」という限定的な範囲にとどまっていることを踏まえれば、モラッティの規模感の評価は的確だ。「クラブが関わる話ではない」という見方は、ミラノ検察自身が「クラブや選手は捜査対象外」と明言した内容とも一致する。当時の当事者がこう語ることで、今回の捜査の性質がより明確に位置づけられる。
モラッティが「審判には恐れと尊敬を抱いていた、だから話さなかった」と述べた部分は、現在のインテル幹部の姿勢にも通じる。ジュゼッペ・マロッタ(Beppe Marotta)会長がロッキとの面会を拒否したという過去の報道も、この「審判と距離を保つ」というインテルの伝統の延長線上にあると読める。カルチョポリでは、複数のクラブの幹部が審判割当責任者と頻繁に電話で連絡を取っていた事実が問題視された。インテルは当時もそうした関係を持たなかったと主張しており、モラッティの今回の発言は、その姿勢が一貫して維持されてきたことを補強している。クラブと審判の間に距離があるからこそ、不正の温床にならない——モラッティが暗に伝えているのはそうしたメッセージだ。
モラッティが2005-06シーズンのスクデットに言及したのは興味深い。あのシーズン、優勝はユヴェントスが達成していたが、カルチョポリの判決により勝ち点剥奪を受け、最終的にインテルがタイトルを獲得した。この経緯から「インテルが棚ぼたで獲ったタイトル」と揶揄する声も依然として存在する。しかしモラッティの「インテルは助けられたことがない」という言葉には、その揶揄への20年越しの反論が含まれている。当時の最終順位はピッチ上の結果ではなくスポーツ司法の判断によるものだが、その判断が下った原因はインテル以外のクラブの不正行為であり、インテル自身は潔白だったというロジックだ。今回のロッキ捜査でも検察が「クラブは対象外」と結論づけた以上、モラッティの主張は20年前と現在の両方で一貫性を持つ。
カルチョポリを生き抜いた男が、20年後のスキャンダルを「滑稽」と一刀両断した。モラッティの言葉は古巣への愛だけでなく、当事者として知る規模感の違いに基づいた冷静な分析でもある。「インテルは審判に助けられたことはない」——80歳の名誉会長の信念が、過去と現在を貫いて響く。
記事タイトル: Moratti: ‘Inter never helped by referees, ridiculous compared to Calciopoli’
出典元記事URL: https://football-italia.net/moratti-inter-never-helped-referees-calciopoli/
公開日: 2026/4/30
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月1日
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