
売り込みの夏に、インテルが即座に扉を閉ざした交渉がある。W杯で評価を急騰させた[[ペタル・スチッチ]]に、プレミアリーグの2クラブが3500万〜4000万ユーロ規模の獲得打診。だがクラブの回答は交渉のテーブルにすら着かない「ノー」だった。放出候補が並ぶ喧騒の中で、クロアチア人MFだけに与えられた「売らない」という無言の信頼。その意味を読み解く。
コリエレ・デッロ・スポルト(Corriere dello Sport)が28日に報じたところによれば、スチッチに対してニューカッスル(Newcastle United)と昇格組のリーズ(Leeds United)が獲得の可能性を探り、3500万〜4000万ユーロという評価額まで想定していたという。[[インテル・ミラノ]]との契約2年目を迎える23歳のクロアチア代表MFは、昨季のブレイクと母国代表でのW杯での活躍により、欧州中から視線を集める存在になった。
しかしインテルの扉は閉ざされたままだった。同紙によれば、[[クリスティアン・キブ]]監督自身がスチッチの成長余地の大きさを誰よりも確信しており、来季さらなる飛躍を遂げると見ているという。37歳のヘンリク・ムヒタリアン(Henrikh Mkhitaryan)、34歳の[[ハカン・チャルハノール]]を抱える中盤において、23歳のスチッチは「未来」そのものである、というのが同紙の表現だ。
スチッチ本人はW杯後の休暇を終え、既にアッピアーノ・ジェンティーレでトレーニングに復帰。明日にはチームとともに香港へ飛び、アジア・オーストラリアツアーの初戦に備える。
原文: "In particolare Newcastle e il neopromosso Leeds hanno provato a sondare il terreno, ipotizzando anche una valutazione di 35-40 milioni di euro. La porta dell'Inter, però, è rimasta chiusa."
訳: 「特にニューカッスルと昇格組のリーズが打診を試み、3500万〜4000万ユーロという評価額まで想定していた。しかしインテルの扉は、閉ざされたままだった」
ディナモ・ザグレブから約1400万ユーロで獲得した選手に、1年で3倍近い値が付いた。転売益の観点だけなら即決レベルの案件を、インテルは検討すらしなかった。この判断の背景には、中盤の年齢構成という切実な事情があると考えられる。ムヒタリアンとチャルハノールの後継問題は待ったなしで、スチッチを売れば4000万ユーロを得ても、結局その資金で「次のスチッチ」を探す羽目になる。既に手の中にある答えを手放す理由がない、というシンプルな算術だ。
今夏のインテルはフラッテージ、アスラニ、パヴァールと放出候補の名前が並び、入る方ではロメロやストーンズの話題が紙面を賑わせてきた。その文脈でスチッチの「完全非売」宣言を眺めると、これは実質的な補強発表に近い意味を持つと推察する。キブ体制2年目の中盤設計図において、スチッチはレジスタ後継とメッザーラの両睨みが利く唯一の若手。W杯を経てクロアチア代表でも定位置を掴んだ23歳の保持は、4000万ユーロの新戦力獲得と同じ価値があると言っても大げさではない。
ニューカッスルとリーズの打診は、セリエAの有望株を資金力で刈り取るプレミアの常套手段の一環でもある。近年のイタリアはこの構図に抗えないケースが多かったが、今回インテルは「金額の問題ではない」という姿勢を見せた。もっとも、コリエレは「破格で断れないオファーなら話は別」とも付記しており、絶対的な聖域ではない。それでも、交渉のテーブルに着くことすら拒んだ事実は、財務規律のクラブと揶揄されがちなオークツリー体制下で、珍しく明確な競技優先のメッセージと読める。
出て行く名前ばかりが並ぶ夏に、「売らない」という一報がこれほど頼もしく響くのは皮肉でもある。4000万ユーロより重い信頼を背負った23歳は、明日、香港行きの機上の人となる。世代交代の軸は、もう決まっている。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月28日
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