
選手のカードを1枚差し出す交渉は、断られた。ならば札束だけで押す。8月10日のイタリア各紙が揃って一面級で扱ったのは、右サイドの穴を埋められないままのインテルが、サウジアラビアのクラブに対して切り札を変えようとしている、という話だった。しかも、そこには期限がある。動きが止まれば、ドイツのクラブがその席に座る。
インテルの補強における最優先事項は、依然として右サイドの攻撃的な選手である。この日の朝、ガゼッタ・デロ・スポルト、コリエレ・デラ・セーラ、イル・メッサジェーロ、トゥットスポルトのイタリア4紙がそろってムサ・ディアビー(Moussa Diaby)の名前を1面に近い扱いで載せた。デンゼル・ダンフリース(Denzel Dumfries)が去った右サイドに、いまだレギュラー級の駒が用意できていないためだ。
インテルが最初にアル・イティハドへ提示したのは、2000万ユーロにクリスティアン・アスラニ(Kristjan Asllani)の移籍を組み合わせた案だった。サウジアラビアのクラブはこれに乗らなかった。そこへ、ディアビーが過去に在籍していたバイエル・レヴァークーゼンが割って入り、現金のみでの獲得を準備している。
ただし、フランス人はまだドイツ復帰に首を縦に振っていない。この間隙をインテルは突こうとしている。イル・メッサジェーロによれば、ネラッズーリが用意しているのは選手を絡めない現金のみの第2提案であり、8月15日までの決着を目標にしているという。
原文: "L'Inter, che ha rinnovato il contratto del giovane Leonardo Bovio, continua a lavorare per il laterale destro e prepara un rilancio per Moussa Diaby, campione con la Francia in Nations League nel 2021 e oggi all'Al-Ittihad. I nerazzurri avevano messo sul piatto 20 milioni più il cartellino di Asllani, offerta però respinta dagli arabi. Tuttavia Diaby, il cui ingaggio non rappresenterebbe un problema (guadagnerebbe sui 6 milioni di euro), non ha ancora trovato un accordo con il Bayer Leverkusen, che nel frattempo si era inserito, e l'Inter è fiduciosa."
日本語: 「若手レオナルド・ボヴィオと契約を更新したインテルは、右のサイドプレーヤー獲得に向けて動き続けており、ムサ・ディアビーへの再提示を準備している。2021年にフランス代表でネーションズリーグを制し、現在はアル・イティハドに所属する選手だ。ネラッズーリは2000万ユーロにアスラニの移籍を加えた案をテーブルに載せたが、この提案はアラブ側に拒否された。しかしディアビーは──その年俸は問題にならない(およそ600万ユーロを得ることになる)──割って入ってきたバイエル・レヴァークーゼンとまだ合意に至っておらず、インテルは自信を持っている」
原文: "L'Inter non ha ancora smesso di pensare a Moussa Diaby dell'Al-Ittihad, pure lui già cercato a gennaio: dopo aver offerto 20 milioni più Asllani, ricevendo un no, il club nerazzurro sta per preparare una nuova proposta, sfruttando il fatto che il Bayer Leverkusen non abbia ancora rilanciato e trovato l'intesa col club arabo. Sarà il francese il jolly per Chivu?"
日本語: 「インテルはアル・イティハドのムサ・ディアビーを諦めていない。彼もまた1月に狙われた選手だ。2000万ユーロにアスラニを加えた提案を出して断られたあと、ネラッズーリはバイエル・レヴァークーゼンがまだ上積みもアラブのクラブとの合意もできていない事実を突いて、新提案の準備に入ろうとしている。フランス人がキブにとってのジョーカーになるのだろうか」
交渉の形が「2000万+選手」から「現金のみ」へ移ったという事実は、単なる増額以上の情報を含んでいる。カードを1枚戻すということは、アスラニの評価をめぐる議論をテーブルから降ろすということだ。移籍市場では、選手を絡めた案が総額として魅力的に見えても、相手クラブが当該選手の獲得意欲を持っていなければ、実質的な提示額は現金部分だけになる。アル・イティハドがこの案に乗らなかった以上、インテル側もそれを織り込んだと考えられる。
同時にこれは、インテルの財布に対する負荷が増すことも意味する。トゥットスポルトによれば、幹部の手元に残る夏の予算は4000万ユーロ程度で、しかもその枠は中盤の補強とも共有されている。現金のみに切り替えるということは、アスラニをはじめとする放出で資金を作る作業が、これまで以上に前提条件になったということでもある。
イル・メッサジェーロが伝える「8月15日までに決着」という目標は、恣意的な数字ではない。セリエAの開幕は8月22日、ホームでのモンツァ戦だ。逆算すれば、新戦力が最低限チームに馴染むための猶予として、1週間はぎりぎりの線になる。
もっとも、この期限には別の意味もあるはずだ。レヴァークーゼンとの綱引きが長引けば長引くほど、選手本人が「古巣に戻る」という選択の重力に引き寄せられる可能性がある。ディアビーがまだドイツ側に同意していないという状況は、インテルにとって有利であると同時に、賞味期限のある有利さでもある。急ぐ理由は、カレンダーだけではないと推察する。
キブが右サイドに持っている選択肢は、現状ディウフとルイス・エンヒキの2人。ただしブラジル人は左に回される可能性が指摘されており、実質的にはディウフ1枚に近い。トゥットスポルトのツアー総括はディウフを評価しつつ、シティ戦で苦戦した事実にも触れている。
ここで問題になるのは、ディアビーがどういう役回りで迎えられるのかという点だ。27歳のフランス代表級を6000万ユーロ規模の年俸で迎えるなら、それは控えではなく主役の待遇である。一方でディウフは今季の伸びしろが最も期待されている若手のひとりでもある。この2枚をどう共存させるのかという設計図は、現時点の報道からは見えてこない。補強が成立したあとにこそ、キブの整理能力が問われる場面が来ると考えられる。
札束だけで押す交渉は分かりやすいが、逃げ道も少ない。断られれば次の手がない。インテルが8月15日という線を引いたのは、自信の表明であると同時に、これ以上待てないという告白でもある。フランス人は、まだどちらにも頷いていない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月10日
© 2025 nero15.dev. All rights reserved.
