
インテルのユニフォームは、年間7200万ユーロを生む広告媒体になった。9月10日、ミラノのヴィアーレ・デッラ・リベラツィオーネにあるクラブ本部で、7月28日に発表されたBBVAとの袖スポンサー契約のお披露目イベントが開かれている。壇上のジュゼッペ・マロッタは「夢を見るのはタダだ」と言い、幹部たちは金額の明示を避けた。それでも数字は、レアル・マドリードに敗れた2日後のネラッズーリが、ピッチの外で何を積み上げてきたのかを静かに語っている。
イベントの主役は、スペインの金融グループBBVA(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria)である。契約はイタリア法人単体ではなく、マドリードにあるグループ本社と直接結ばれた。BBVAイタリアのデジタルバンキング責任者ウォルター・リッツィ(Walter Rizzi)は、その理由を「グループレベルで動くのは、相手に国際的な体格とビジョンがある場合だけだ」と説明している。権利範囲は全世界に及ぶ。
会場では、マロッタ、副会長のハビエル・サネッティ、チーフ・レベニュー・オフィサーのジョルジョ・リッチ(Giorgio Ricci)、そしてリッツィが順に登壇した。契約額について問われたリッツィとリッチはいずれもNDA(秘密保持契約)を盾に明言を避け、「専門メディアを調べれば見当はつく」とかわしている。その「専門メディア」に当たるのが『Gazzetta.it』で、同紙は年間850万ユーロという数字を伝えた。セリエAの袖スポンサーとしては最高額にあたる。
対象は男子トップチームだけではない。インテル・ウーマン、[[インテルU23]]、インテル20、レジェンズにまでBBVAのロゴが載り、さらにU18以下の下部組織ではメインスポンサーを務める。リッチが「すべては未来を作る方向に向かっている」と語ったとおり、この契約はクラブのピラミッド全体を覆う設計になっている。
原文: "A livello di gruppo ci muoviamo soltanto se di fronte abbiamo un interlocutore che abbia una statura e una visione internazionali."
訳: 「グループレベルで我々が動くのは、相手が国際的な体格と国際的なビジョンを持っている場合だけです」
原文: "Ho detto ieri che sognare non costa niente, i sogni sono tanti. Speriamo di raccogliere qualcosa di bello, prestigioso e straordinario."
訳: 「昨日も言いましたが、夢を見るのはタダです。夢はたくさんある。何か美しく、名誉ある、並外れたものを手にできればと願っています」
セリエAの相場と並べれば、この数字の意味ははっきりする。ミラノとトリノのライバルが袖に500万ユーロの値札を付けている市場で、インテルだけが850万ユーロを引き出した。前任のGate.ioから250万ユーロ、率にして4割超の上積みである。しかも比較対象がバイエルン・ミュンヘンの800万ユーロだという事実は、セリエAの一クラブとしてはやや異常な位置取りと言っていい。
ただし、この数字がそのまま「インテルの商業力がバイエルンに並んだ」ことを意味するわけではない。相手が欧州で最も攻勢をかけているデジタル銀行であり、イタリア市場への参入から5年目という成長局面にあることも作用していると考えられる。リッツィ自身が「10年から15年後に、数ある銀行のひとつではなく、人々の記憶に刻印を残した銀行と見られたい」と語っているように、BBVA側にとってこれは広告費ではなく認知獲得への投資に近い。
9月8日のベルナベウで、インテルの胸には主スポンサーのロゴがなかった。スペインの法規制によるものだが、その代わりに袖ではスペインの銀行のロゴが光っていた。リッツィはこの皮肉を自ら持ち出している。「レアル・マドリード戦のユニフォームに乗ったスペインのスポンサー、誰もがそう思ったはずです」。
商業面の話とピッチの結果は本来別物だが、この日の二つの出来事はクラブの現在地を対照的に示していた。ピッチでは21本のシュートを放ちながら2つのミスで敗れ、ピッチの外ではグローバル資本との契約が積み上がっていく。オークツリー体制について問われたリッチは「この会社は強い規律と強い成長をもたらしている。クラブは成長しており、その内部に本物の国際性の要素を持つ」と述べた。ファンにとって痛みを伴う結果と、経営の健全化が同じ週に並ぶ。それがいまのネラッズーリの構造なのだろう。
この日、FCInterNewsの記者はリッチに、アッピアーノ・ジェンティーレのトレーニングセンター改修とネーミングライツの可能性を直接ぶつけている。リッチの答えは慎重だった。「ピネティーナについては、クラブが投資を決めました。センターは以前と同じものではなくなる。刷新されます。将来の商業機会の枠内にある話で、正式な合意ができたときには皆さんが最初に知ることになります」。
明言は避けつつ、施設のネーミングライツを商業カードとして温めていることは隠していない。ユニフォームの四面をすでに埋め切ったクラブにとって、次の収益源がハードウェアに移るのは自然な流れだと考えられる。スタジアム、トレーニングセンター、そして下部組織まで。BBVAとの契約が「U18以下のメインスポンサー」まで含んでいたことは、その布石の一つと読める。
袖1枚が850万ユーロ。それは戦術でも移籍でもなく、クラブがどこまで信用を売れるかという話である。ベルナベウで失ったものと、ヴィアーレ・デッラ・リベラツィオーネで得たもの。ネラッズーリの2026年秋は、その二つを同時に抱えながら進んでいく。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月11日
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