
スペイン語に「ミエド・エセニコ」という言葉がある。あの白いスタジアムが相手チームに植えつける、舞台そのものへの恐怖のことだ。ベルナベウのキックオフから3分、右サイドを一人の男が機関車のように駆け上がってボールを送り込んだとき、その古い呪文は少なくとも一人には効いていないことがはっきりした。翌朝、イタリア最大の朝刊がインテルの最高点に選んだのは、その男だった。
2026年9月8日、UEFAチャンピオンズリーグ第1節。レアル・マドリードに2-1で敗れたインテル・ミラノだが、内容の評価は結果ほど暗くない。試合前夜にSky Sport Italiaが伝えた予想布陣どおり、クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)は右サイドにアンディ・ディウフ(Andy Diouf)を送り出した。その判断は、翌日の採点表で最も明確に報われている。
『ガゼッタ・デロ・スポルト』はディウフに6.5を与え、インテルで最も高い評価とした。同紙は「ミエド・エセニコどころではない、ベルナベウの効果をコップ一杯の水のように飲み干している」と書いている。反対側の最下位はジョゼップ・マルティネス(Josep Martínez)の5だった。
FCInterNewsの現地レポートによれば、ディウフは開始3分から立て続けにクロスを供給し、11分にはそのクロスがバンジャマン・パヴァール(Benjamin Pavard)のヒールを経てレアル・マドリードのオウンゴールになりかけている。試合後、彼はアメリカのCBSに応じ、味方のミスについて問われて「レベルが高い。多くを学んだ」と答えた。
原文: "altro che 'miedo escenico', sorseggia l'effetto Bernabeu con un bicchier d'acqua"
訳: 「『ミエド・エセニコ』どころではない。彼はベルナベウの効果を、コップ一杯の水のようにゆっくり飲み干している」
原文: "Gli errori di Jones e Martinez? Livello alto. Abbiamo imparato molto"
訳: 「ジョーンズとマルティネスのミスについて? レベルが高いということだ。僕らは多くを学んだ」
この夜のディウフ起用は、インテルにとって単なる一試合のオプションではない。3-5-2の右ウイングバックは、長く一人の選手の代名詞だったポジションである。その席が空いたあと、クラブは複数の候補を並べたが、欧州最高峰の初戦でキブが選んだのは本来メッザーラを主戦場とする2003年生まれのフランス人だった。
この選択には理屈がある。純粋なサイドバックではなく中盤の選手を置くことで、ビルドアップの局面で数的な優位を作りやすくなる。実際この試合でインテルはパス成功率で高い数字を残したとFCInterNewsが伝えており、ボールを持って前進する時間そのものは決して短くなかったと考えられる。ディウフの6.5は、その設計が機能した証拠の一つと読める。
ただし手放しでは書けない。同じレポートは49分、キリアン・ムバッペ(Kylian Mbappé)のスピードがディウフを窮地に陥れ、そのままジョゼップ・マルティネスとの一対一に持ち込まれた場面を記録している。攻撃の推進力と引き換えに、背後のスペースを世界最速級のアタッカーに差し出す瞬間が必ず来る。それが中盤の選手をサイドに置く戦術の代償である。
キブがこのバランスをどう扱うかは、今後の見どころになるだろう。ジェド・スペンス(Djed Spence)というより本職に近い選択肢もチームにはある。ベルナベウでの6.5は「ディウフで固定」の答えではなく、「ディウフという選択肢は使える」という中間報告として受け取るのが妥当だと推察する。
もう一つ、CBSでのコメントは彼の性格をよく表している。味方の2つの決定的なミスについて聞かれ、非難でも過剰な擁護でもなく「レベルが高い。多くを学んだ」と返した。2003年生まれの選手の受け答えとしては、ずいぶん静かだ。
ベルナベウで最も高い点を取った選手が、最も低い点を取った選手をこの角度で語る。チームとして機能している集団に見られる反応であり、この夜のインテルが結果以上に何かを持ち帰ったとすれば、それはこういう部分にあるのだと考えられる。ガゼッタがチームとキブの双方に及第点を与えたのも、同じ手触りを感じ取ったからだろう。
ベルナベウは相手に恐怖を売る場所だと言われてきた。この夜、その商売が通じなかった客が一人いた。コップ一杯の水を飲むように白い夜を飲み干した男の名前を、9月14日のサン・シーロでも見ることになるのかどうか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月9日
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