
父デヤンがサン・シーロで背負った番号を、21歳の息子が受け継ぐ。ブルージュから買い戻されたアレクサンダル・スタンコビッチの放出説をクラブが明確に否定し、ドナウエッシンゲンの合宿ではチャルハノールの控えという新たな役割の実験が始まった。血統と実力、その両方で信頼を勝ち取りつつある若きレジスタに託されたのは、インテル中盤の未来図。
インテル・ミラノのMFアレクサンダル・スタンコビッチ(Aleksandar Stankovic)の去就を巡り、7月22日のコリエーレ・デロ・スポルトが「彼にはインテルしかない」と残留方針を伝え、Internews24など複数媒体が続報を展開した。プレミアリーグの複数クラブが関心を示したものの、本人が残留への強い意志を貫き、クリスティアン・キブ監督も全面的に支持。交渉は一度も本格化しなかったという。
象徴的なのが背番号だ。2005年生まれの21歳は、父デヤン・スタンコビッチ(Dejan Stanković)がインテルで背負った「5」を今季から受け継ぐ。ベルギーでの武者修行とCLデビューを経て一回り成長した姿はドイツ合宿でも際立っており、テクニカルスタッフの間ではボールタッチの質を高く評価する声があると伝えられる。戦術面では、3センターの最深部(ヴェルティチェ・バッソ)で試され、好感触を得ているという。
原文: "Un'investitura pesante certificata anche dalla scelta della numerazione, con il classe 2005 che indosserà la maglia numero 5, la stessa che apparteneva a suo padre."
訳: 「2005年生まれの彼が父のものだった背番号5を着けるという番号の選択もまた、重い信任の証明である」
昨夏ブルージュへ送り出し、今夏買い戻す——この一連の育成設計が、早くも配当を生み始めていると考えられる。ベルギーの1年はレンタルの遠回りではなく、CLの空気を吸わせるための投資だった。プレミアの関心を蹴っての残留は、本人のキャリア設計とクラブの編成方針が一致した稀有なケースであり、補強市場が停滞する中で「内部から現れた新戦力」という物語は、いまのインテルに最も必要な種類の朗報だろう。
戦術的な焦点は、ヴェルティチェ・バッソでの試用にある。チャルハノールは今季32歳を迎え、ジエリンスキ(Piotr Zieliński)と合わせて中盤の高齢化は編成上の懸案だった。レジスタの控えを外部補強ではなく内部育成で賄えるなら、限られた予算を最終ラインと右サイドに集中できる。インサートを得意とするスタンコビッチはメッザーラも兼務できるとされ、中盤3枠すべてをカバーする万能性は、過密日程を戦うキブにとって計算の立つ手駒になると推察する。
デヤンの5番は、トリプレーテを知る世代のファンにとって特別な記号だ。それを21歳に渡すという決断は、単なる情緒ではなく「トップチームの戦力として数える」というクラブの宣言と読める。もっとも、父の威光は追い風にも重圧にもなる。比較の視線に晒される息子が、それを跳ね返すだけの出場機会を得られるか。キブの起用采配が、この美しい物語の成否を握るのではないか。
補強の遅れが嘆かれる夏に、答えはロッカールームの中から現れた。父の番号を背負う21歳が、チャルハノールの背中を追いながらインテル中盤の次の10年を描き始めている。5番の系譜は、途切れていなかった。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月22日
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