
サン・シーロの補強戦略を10年以上にわたって支えてきた男が、自身のキャリア最大の取引を公に明かした。インテル・ミラノ(Inter Milan)のピエロ・アウジリオ(Piero Ausilio)スポーツディレクターが、イタリアのTV司会者アレッサンドロ・カッテラン(Alessandro Cattelan)のポッドキャストで、2023年のアンドレ・オナナ(Andre Onana)のマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)への5000万ユーロ売却が「クラブ史上最大の利益取引」と語った。フリーで獲得して巨額で売却——マロッタ(Beppe Marotta)流の「数字の魔法」を体現する取引が、改めて公の場で評価される形となった。同じインタビューでアウジリオはドゥンフリース(Denzel Dumfries)のレアル・マドリード(Real Madrid)行きを確認するとともに、バレッラ(Niccolo Barella)が「市場に出ていない」ことも明示した。
アウジリオのポッドキャスト出演は、インテルの過去の取引と将来の戦略の両方を扱う内容だった。
最も注目を集めたのが、自身のキャリア最大の取引についての発言だ。
「インテルはオナナの取引を誇りに思っている。何を基準にするかによる。資本利得という観点なら、おそらくオナナだ。彼はインテルにフリーで加入し、巨額で去った。クラブ史上最大の資本利得かもしれない。ズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimovic)の取引のような事例だけが近い数字だ」
オナナは2022年夏にアヤックス(Ajax)からフリーでインテルに加入し、わずか1シーズン後の2023年に5000万ユーロでマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。インテルでの1年間でイタリア・スーペルコッパとコッパ・イタリア(Coppa Italia)を獲得し、CL(チャンピオンズリーグ)決勝にも進出。一年で5000万ユーロの純利益を生んだ取引は、現代サッカーの選手売買の理想形の一つだ。
ズラタン・イブラヒモビッチの取引への言及も興味深い。2009年にバルセロナ(Barcelona)への移籍で、インテルは6900万ユーロの現金とサミュエル・エトーオ(Samuel Eto'o)の獲得という、当時のサッカー史上最大規模の取引を実現した。アウジリオはオナナの取引をこのレベルに匹敵するものと位置づけている。
同じインタビューでアウジリオは、2026年夏の補強戦略についても明言した。ドゥンフリースのレアル・マドリードへの移籍を確認するとともに、「バレッラは市場に出ていない」と強調。複数のクラブが関心を示すなか、29歳のサルディーニャ出身MFはサン・シーロの中核として残ることが改めて明示された形だ。
原文: "Inter are proud of the Onana [deal]. It depends on what we're talking about. If it's about a capital gain, then probably Onana [is the best deal]. He joined Inter on a free transfer and left for an enormous fee. I think it may be the highest capital gain in the club's history. Only deals like the Ibrahimovic one get close."
日本語: 「インテルはオナナの取引を誇りに思っている。何を基準にするかによる。資本利得という観点であれば、おそらくオナナだ。彼はインテルにフリーで加入し、巨額で去った。クラブ史上最大の資本利得かもしれない。イブラヒモビッチのような取引だけが近い数字だ」
オナナの取引を「クラブ史上最大の利益」と評価するアウジリオの発言は、インテルの経営モデルの核心を象徴している。フリーで獲得した選手を1-2年後に巨額で売却するサイクルは、マロッタ会長とアウジリオSDが10年以上かけて確立してきた「インテル流」の運用だ。直近の例だけでもオナナ(5000万ユーロ)、デ・フライ(Stefan de Vrij、フリー獲得後の長年の貢献)、チャルハノール(Hakan Calhanoglu、フリー獲得)など、複数の重要な取引でこのモデルが機能している。今夏のソレ(Oumar Solet)獲得も類似の文脈で考えられる。ウディネーゼ(Udinese)が2025年1月にRBザルツブルク(RB Salzburg)からフリーで獲得した選手を、適正な金額で買い取って数年後に高値で売却するシナリオは、まさに「ウディネーゼ流→インテル流」への引き継ぎだ。アウジリオの発言は、過去の成功を確認すると同時に、今後も同じ戦略を継続することへのコミットメントでもある。
アウジリオが同じインタビューで「バレッラは市場に出ていない」と明示したことは、夏の補強戦略における重要なメッセージだ。バレッラは過去数年にわたってリヴァプール(Liverpool)、マンチェスター・シティ(Manchester City)、レアル・マドリード、ニューカッスル(Newcastle United)など複数の欧州トップクラブから関心を示されてきた。29歳のサルディーニャ出身MFはピーク期にあり、市場価値も6000万〜7000万ユーロの水準にある。仮に売却すれば、夏の補強予算に大きな余裕が生まれるシナリオもあり得た。しかしアウジリオの明確な否定発言は、フロントの方針として「主軸の核は売らない」という姿勢を改めて確認する内容だ。ラウタロ(Lautaro Martinez)、バストーニ(Alessandro Bastoni)、ディマルコ(Federico Dimarco)、バレッラ、チャルハノール——これらの選手は売却対象外であり、「進化」の名のもとに新たな選手を周囲に加える形で再構築が進められる。マロッタ流の「革命ではなく進化」の哲学が、改めて公的に確認された形だ。
アウジリオがインテルでスポーツディレクターを務めるのは、すでに10年以上に及ぶ。マロッタ会長と組んで、2017年以降のクラブの黄金期(スクデット3回、CL決勝進出2回、コッパ・イタリア複数回、欧州コンペティション決勝進出多数)を支えてきた。オナナ取引のような象徴的な成功は、マロッタとアウジリオの戦略眼の結晶だ。さらに重要なのは、組織的な継続性——同じ2人が長期にわたって意思決定を下し続けていることが、戦略の一貫性とノウハウの蓄積を生む。バルセロナのフロントの混乱、レアル・マドリードのフロント体制の変化、ユヴェントス(Juventus)の経営陣の頻繁な交代といった他クラブの状況と対照的に、インテルの安定したフロント体制は、長期的な計画の実行を可能にしている。スクデット二冠の達成、夏の補強戦略の精緻な実行——これらすべての裏側に、アウジリオの存在がある。
「彼はフリーで来て、巨額で去った」——アウジリオがオナナの取引について語った言葉が、インテルの経営モデルの本質を凝縮している。マロッタとアウジリオが10年以上かけて確立してきた「フリー獲得→巨額売却」のサイクルは、現代サッカーにおける最も洗練された運用の一つだ。バレッラの不可侵、ドゥンフリースの売却、そして夏の補強——同じ哲学が、また新たなシーズンに向けて動き始める。
記事タイトル: Director admits Inter ‘proud’ of ‘enormous’ Onana deal with Manchester United
出典元記事URL: https://football-italia.net/ausilio-inter-proud-enormous-onana-deal-mufc/
公開日: 2026/6/8
※ この記事は海外メディアの報道を参照し、独自の分析・感想を加えて執筆しています(出典の引用は著作権法第32条に基づきます)
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年6月9日
© 2025 nero15.dev. All rights reserved.