
夏のCB戦略が、新たな方向に動こうとしている。ガゼッタ・デッロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)の報道によれば、インテル・ミラノ(Inter Milan)がサッスオーロ(Sassuolo)のタリク・ムハレモヴィッチ(Tarik Muharemovic)獲得に難航するなか、ローマ(Roma)のコートジボワール代表CBエヴァン・エンディカ(Evan Ndicka)への移行を検討している。サッスオーロが「ムハレモヴィッチのW杯(FIFA World Cup)での好パフォーマンスを待ってからプレミアリーグ勢との競争で価格を吊り上げたい」と望むなか、インテルは「入札合戦への参加に興味はない」姿勢を明確にした——一方でローマは6月30日までにファイナンシャル・フェアプレー(FFP)対応のため約6000万ユーロの資金を調達する必要があり、エンディカが現実的な売却候補として浮上している。
ガゼッタが伝えた今夏の守備陣再編の構図は、複数の重要な変化を含んでいる。
まずバストーニ(Alessandro Bastoni)の去就について、新たな展開があった。バルセロナ(Barcelona)は限られた資金の大半をニューカッスル(Newcastle United)のアンソニー・ゴードン(Anthony Gordon)獲得に投じる方針を固めたため、バストーニ獲得から事実上撤退する形となった。バストーニのサン・シーロ残留はほぼ確定となった。
退団確定組はアチェルビ(Francesco Acerbi)、ダルミアン(Matteo Darmian)に加え、デ・フライ(Stefan de Vrij)も退団の見込み。さらにヤン・ビセック(Yann Bisseck)がバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)に移籍する可能性も残る。最大4人のCBが入れ替わる大規模な世代交代が必要だ。
そしてムハレモヴィッチを巡る状況の変化が、今回の報道の核心だ。
サッスオーロは高額な売却額を要求している。背景には2つの要因がある。第一に、ユヴェントス(Juventus)が保有する50%のセルオン条項——売却額の半分をユヴェントスに渡す必要があるため、純利益を最大化するには高値設定が必要だ。第二に、サッスオーロはムハレモヴィッチのW杯での好パフォーマンスを期待しており、それによってプレミアリーグ勢の関心が高まり、入札合戦に持ち込めると考えている。
しかしインテルは明確に距離を置いた。「裕福なプレミアリーグ勢との入札合戦に参加することに興味はない」というのがインテル側の姿勢だ。
代替案として浮上したのがエンディカだ。
26歳のコートジボワール代表CBはローマの主軸選手だが、ローマは6月30日までにFFP対応のため約6000万ユーロの資金調達が必要な状況にある。エンディカへの大型現金オファーは、ローマにとって断りにくい提案となる可能性がある。コネ(Manu Kone)への大型オファーも同様の文脈で検討対象となっており、コネとエンディカの「ローマ枯渇売り」がインテルにとっての夏の最大の機会になる可能性が出てきた。
ソレ(Oumar Solet)の獲得は依然として可能性として残っているが、報道全体としてはエンディカへの傾斜が読み取れる内容だ。
サッスオーロがW杯後のプレミアリーグ勢との入札合戦を期待する姿勢に対し、インテルが「参加に興味はない」という立場を明確にしたのは、極めて戦略的な判断だ。リヴァプール(Liverpool)、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)、ニューカッスルなどの裕福なプレミア勢がムハレモヴィッチ獲得に動けば、価格は5000万ユーロを超える可能性がある。3500万ユーロを想定していたインテルにとっては、その価格帯は明らかにオーバースペックだ。エンディカへの傾斜はこのコスト管理の戦略から自然に導かれる結論だ。さらに、エンディカは26歳でセリエA(Serie A)経験豊富、ローマのFFP対応という時間的圧力で値段の交渉余地が大きい。「相手の都合の悪さを利用する」マロッタ(Beppe Marotta)流の交渉術が、この方針転換の根底にある。
ローマが6月30日までに6000万ユーロの資金調達を強いられている状況は、インテルにとって稀有な好機だ。コネとエンディカの両方が同じ「ローマ枯渇売り」のリストに乗っている可能性があり、インテルが両者を同時に獲得する道筋が見えてくる。先日のトゥットスポルト(Tuttosport)報道では、カルロス・アウグスト(Carlos Augusto)とフラッテージ(Davide Frattesi)をローマに送る選手交換でコネを獲得する案が出ていた。これにエンディカへの現金オファーを追加すれば、ローマのFFP問題を解決しつつインテルが望む2人の選手を獲得する完璧なパッケージが構築できる。マロッタとアウジーリオ(Piero Ausilio)にとって、これほど条件の整った夏のターゲットは珍しい。ローマの財政的な弱みは、インテルにとって戦略的な強みに変換可能だ。
エンディカは2023年にアイントラハト・フランクフルト(Eintracht Frankfurt)からフリーでローマに加入したコートジボワール代表CBだ。左利きのCBとして、ローマの3バックでガスペリーニ(Gian Piero Gasperini)のシステムで主軸を担っている。インテルの3バックでは、左利きのCBはバストーニが務めるが、エンディカはバストーニの控えとしても、対戦相手や試合状況に応じてのローテーションとしても機能する選手だ。さらにキヴ(Cristian Chivu)監督が来季検討している3-4-2-1または4バックへの戦術変更を考えれば、エンディカの柔軟性は大きな価値を持つ。中央でも左サイドでも、3バックでも4バックでも機能する選手——多目的に使える駒は、シーズン全体を通じての戦略的余裕を生む。アチェルビとデ・フライの退団で生まれるベテランの経験値の穴を、26歳という年齢で埋められる選手として、エンディカはほぼ理想的なプロファイルを持っている。
サッスオーロが「W杯後に値段を上げて売る」と望むなか、インテルは「ローマが今すぐ売る必要があるエンディカ」へと視線を移した。マロッタ流の戦略眼は、いつものように「相手の弱みが自分の強み」となる構図を見つけ出した。コネ+エンディカという、ローマからの「ダブル獲得」が現実になる夏が見えてきた。
記事タイトル: Inter cool off on Muharemovic but have hope for Roma’s Ndicka
出典元記事URL: https://football-italia.net/inter-cool-off-on-muharemovic-ndicka-hope/
公開日: 2026/5/29
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スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年5月30日
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