
八月半ばに一度浮上し、そのまま沈んでいた名前が、閉幕まで一週間を切った水曜の昼に戻ってきた。動いたのはミラノではない。エミリアの側だ。実績あるセンターフォワードを追いかけていたクラブが方針を捨て、代わりに18歳を探し始めた。その最初の一人として、ブレシア出身のネラッズーロの背番号9が名指しされている。
TuttoMercatoWEBが8月26日12時19分、モデナ(Modena)が攻撃陣の補強方針を転換し、ジャマル・イドリッス(Jamal Iddrissou)の名前を再び持ち出したと報じた。原典はイル・レスト・デル・カルリーノで、同紙がこの日あらためてこの線を打ち出した形になる。
背景にあるのはモデナ側の事情である。同クラブはダニエレ・ガロッパ(Daniele Galloppa)監督のために、元パレルモ主将のマッテオ・ブルノーリ(Matteo Brunori)のような完成されたセンターフォワードを迎える構想を温めていた。だがそのブルノーリはアスコリ行きが固まりつつある。そこでモデナは方針を切り替えた。実績のある選手ではなく、すでに在籍する攻撃陣の誰とでも組み合わせられる、若くて汎用性の高い選手を探す。その転換の結果として、イドリッスの名前が浮かび上がった。
この線自体は初出ではない。8月17日にスポルト・メディアセットが「モデナがレンタルでの獲得を打診」と報じ、翌18日にはイル・レスト・デル・カルリーノが関心の強さを確認していた。当時から形式はレンタル一択とされている。インテル・ミラノがこの選手を手放したくないからだ。
インテル側の判断は、依然として二択のままである。ステファノ・ヴェッキが率いるU23に留め置くのか、それともセリエBのピッチで主役として揉ませるのか。イタリアの各紙が繰り返し引き合いに出しているのは、ピオ・エスポージト(Francesco Pio Esposito)がたどった道筋だ。
原文: "Non più giocatori affermati, bensì giovani duttili che possano integrarsi con ognuno dei giocatori già presenti nel parco attaccanti canarino."
訳: 「もはや実績のある選手ではなく、カナリア軍団の攻撃陣にすでにいる誰とでも噛み合える、若く汎用性の高い選手を求める」
原文: "Qualora il club nerazzurro aprisse le porte ad una cessione del talento bresciano il Modena sarebbe pronto a non farsi sfuggire l'occasione."
訳: 「仮にネラッズーリのクラブがブレシア出身のこの才能の放出に扉を開くなら、モデナはその機会を逃さない用意がある」
この再燃を「インテルが放出に傾いた」と読むのは早い。記事の構造をそのまま追えば、変わったのはモデナ側の設計思想である。ブルノーリという完成品を諦め、若手の汎用性に賭ける方針へ切り替えた。その新しい枠に、たまたま最も条件の合う名前がイドリッスだった。それだけの話とも読める。
だからこそ、TMWの書き方は慎重だ。「仮にインテルが扉を開けば」。主語はインテルであって、モデナではない。獲りたい側の意思は表明されたが、渡す側の返事はまだ紙面に出ていない。この非対称は、閉幕直前のカルチョメルカートでは珍しくない構図である。
この一件で最も雄弁なのは、報道が一貫して「prestito(レンタル)」の一語で固定されていることだ。理由ははっきりしている。インテルはこの夏、この18歳をめぐって外国クラブからの完全移籍の打診を繰り返し断ってきた。7月にはケルン、続いてブレントフォードやヴォルフスブルク、シュツットガルト。8月11日にはPSVとバイヤー・レバークーゼンからの提示も退けている。買い戻し条項のない放出には応じない、というのが一貫した姿勢だった。
そう考えると、モデナ行きの意味が変わって見える。国外への完全移籍は「失う」取引だが、セリエBへのレンタルは「預ける」取引である。しかも預け先はイタリア国内で、1月のマッソリンの案件を通じて関係が温まっているクラブだ。断り続けてきた外国クラブのオファーと、この打診は、そもそも同じ土俵に乗っていない。
イタリアの各紙が「ピオのように」と書くのは分かりやすい。だが前例をそのまま当てはめるのは危うい、とも考えられる。ピオ・エスポージトのセリエB期間が機能したのは、単に下のカテゴリーで試合に出たからではなく、彼が「そのチームの中心として設計された」からだ。週末ごとに90分を託され、外されない前提でシーズンを走った。だから数字が積み上がり、トップチームに戻ってきたとき、序列を押し上げる材料が揃っていた。
モデナがイドリッスに同じ扱いを約束するかどうかは、現時点で誰にも分からない。記事が示しているのはむしろ逆で、モデナが求めているのは「既存の攻撃陣の誰とでも組み合わせられる駒」である。中心ではなく、組み合わせの一枚。この設計思想のもとで、18歳が確実に主役の時間を得られるとは限らない。
もっとも、インテル側から見れば、それでもU23に留め置くより価値がある可能性は高い。昨季のイドリッスはプリマヴェーラとセリエCを往復し、そのどちらでも「一段上でやるべき選手」であることを示した。上の環境で削られる経験は、下の環境で無双する時間よりも彼を早く成長させると推察する。判断の期限は、9月1日の20時だ。
八月十七日に一度浮かび、消え、そして戻ってきた。閉幕まで数日、この名前がもう一度沈むのか、それともエミリアの空の下で背番号を受け取るのか。18歳が答えを選べる立場にないのが、この季節のいちばん残酷なところである。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月26日
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