
2010年に史上初の三冠をインテルにもたらした男が、16年後の今季、その再現を「あり得る」と口にした。ただし直後に、念押しするように三度繰り返したのは「そうならないでほしい」の一言。かつての愛弟子キブが率いる古巣への祝福とも、歴史を独り占めしたい本音ともとれる、いかにもモウリーニョらしい発言と言えそうだ。
発言の舞台は、Corriere dello Sportのイヴァン・ザッザローニが司会を務めるポッドキャスト『Tutto in piazza』。FCInterNewsが10月8日13時20分に伝えた。現在レアル・マドリードを率いるジョゼ・モウリーニョ(José Mourinho)は、過去に指揮したクラブとの関係、今季のインテルの見通し、カルロ・アンチェロッティ(Carlo Ancelotti)の話題など、キャリア全般を語った。
インテルについては、リーグ戦とコッパ・イタリアを制した直近のシーズンより「もっとできる」と評価し、今季の三冠の可能性に言及。「簡単ではない」と前置きしつつ、可能性そのものは否定しなかった。そのうえで、達成を望むかと問われたとみられる場面で「そうならないでほしい」と3度繰り返した。元記事の要約も、この返答の解釈には曖昧さが残ると指摘している。
古巣との関係にも話は及んだ。ほぼすべての元所属クラブと特別な絆があると語り、コロナ禍のトッテナム時代は無観客に近いスタジアムで人間的なつながりが薄かったと振り返った。解任後にクラブを悪く言ったことはなく、ローマを去った時の痛みは深かったとも明かしている。
原文: "Sarà dura, ma possono vincere il Triplete in questa stagione."
訳: 「簡単ではないだろうが、今季、彼らは三冠を獲れる可能性がある」
原文: "Spero di no, spero di no, spero di no."
訳: 「そうならないでほしい、そうならないでほしい、そうならないでほしい」
「Spero di no」は、字面だけなら冷たい。だが、これは2010年の三冠を自らの勲章として守りたい感情の表れだと考えられる。背景として、2025年7月にもSky Sportの取材で、当時就任直後のキブについて「三冠は取らないでほしい」という趣旨の発言をしたと、Goal.comが伝えている。以来15カ月、この冗談めかした牽制は一貫していることになる。
インテルは昨季、リーグ戦とコッパ・イタリアの二冠を制したとFCInterNewsは伝える。今季はマロッタ会長が7日に三冠を「実現しうる夢」と語ったとCalciomercato.comは報じており、クラブ内でもこの言葉は禁句ではなくなったようだ。もっとも、モウリーニョ自身が言うとおり、セリエA、コッパ・イタリア、チャンピオンズリーグを並行して戦う難しさは、10月の過密日程を見るだけでも想像がつく。
三冠を知る指揮官が「可能だ」と認めた意味は小さくないと考えられる。現役時代にキブを預かった師の言葉は、選手やファンにとって励ましにも、重圧にもなりうる。2010年のインテルは今も比較対象であり続けるだろう。キブのチームがそれを超えるのか、肩を並べるのかは、春以降に答えが出るはずだ。
祝福を拒む祝福。モウリーニョの「そうならないでほしい」は、教え子が自分の記憶に並び立つ日を恐れ、同時にどこかで待ち望む声にも聞こえる。2010年の記録は、今季守り切れるのか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年10月9日
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