
44試合で9敗。11試合で6敗。トリノの朝刊が並べた二つの数字は、それだけで一つの論説として成立してしまう。しかも後者の6敗は、直近7試合の中に収まっている。国内では二冠を勝ち取った監督が、なぜ欧州の舞台でだけ、これほど違う顔を見せるのか。
『トゥットスポルト』が9月10日付で、[[クリスティアン・キブ]] 体制と [[シモーネ・インザーキ]] 体制のチャンピオンズリーグにおける成績を並べた分析を掲載した。FCInterNewsが同日11時2分に紹介している。[[レアル・マドリード]] に1-2で敗れたリーグフェーズ初戦を受けての記事だ。
同紙が挙げた数字は次の通り。インザーギ体制ではチャンピオンズリーグ44試合で9敗、うち2敗は決勝でのもの。対してキブ体制は11試合で6敗、しかもその6敗は直近7試合の中で起きている。
そのうえで同紙は、すべてを2失点目の場面のミスに帰したり、チャンピオンズが「意地が悪い」大会だという話に還元したりするのは、かなり単純化しすぎだと指摘した。ベルナベウではインテルがポゼッションを支配したが、レアル・マドリードは少なくとも6回の決定的チャンスを持っていた。批判を浴びている [[ジョゼップ・マルティネス]] のセーブがなければ、スコアはテニスのような数字になっていた可能性がある、というのが同紙の見立てだ。
原文: "il calcio di Chivu brilla per efficacia in Italia"
訳: 「キブのサッカーはイタリアでは効果の面で光る」(『トゥットスポルト』。ただし同紙は、その効果が相手に対する個の質の明確な差から養分を得ている面がある、と指摘するのも罪ではないと続けている)
まず数字の扱い方から見ておきたい。44試合で9敗(敗戦率およそ20%)と11試合で6敗(およそ55%)は、確かに大きな差だ。だがサンプル数がここまで違う二つを並べたとき、比較として成立する範囲は限られると考えられる。
インザーギの44試合には、決勝進出2回という到達点が含まれる。決勝まで行けば試合数は増え、その過程には格下との対戦も含まれる。一方キブの11試合はまだ1シーズン強で、しかも新フォーマットのリーグフェーズは初戦から強豪を引く設計になっている。分母の質が違うのだ。
それでもこの比較が説得力を持ってしまうのは、「直近7試合中6敗」という部分にある。これは分母の問題ではなく、明確な連続性の問題だ。トゥットスポルト自身、この一点を最も強調している。単発の事故ではなく、傾向として何かが起きている、と読ませる構成になっている。
同紙が用いたレトリックのうち、最も刺激的なのは「マルティネスのセーブがなければ6-3で終わっていた」という仮定だ。実際のスコアは2-1であり、この数字はあくまでトゥットスポルトが読者に構造を示すために置いた仮想である。日本語で引用するときに事実と混ぜてはならない部分だと考える。
ただし、その仮定が突いている論点は正当だと言える。ポゼッション率で上回りながら、相手に少なくとも6回の決定機を許した。この構図は、支配していたのはボールであって試合ではなかったことを意味する。そして皮肉なことに、その夜のインテルを救ったのは、翌日から批判の的になったGKだった。
同じ日、アレッサンドロ・アルトベッリも「守備陣ではなく守備局面と呼ぶべきだ」と語っている。角度は違うが、二人が見ているものは近い。ボールを持っているときに全体が前掛かりになり、失った瞬間の戻りが間に合わない。CBの人選ではなく、全体の重心の問題として捉えるべきだという指摘である。
トゥットスポルトは、キブがクラブに対してプレミアリーグからの獲得を促したことに触れ、それがギャップを部分的に埋めるアイデアになり得ると評価した。ただし条件付きで。守備局面のマネジメントについての再考が伴うならなおさら、という留保がついている。
この夏、インテルには実際にプレミアリーグ経験者が加わった。ジョン・ストーンズ、ジェド・スペンス、カーティス・ジョーンズ。ベルナベウでは3人ともピッチに立ち、ジョーンズは苦い時間も味わった。補強の方向性そのものは監督の要求と一致している。問題は、選手を入れ替えるだけで解決する種類のものではない、という点にある。
そしてトゥットスポルトが最後に置いた一撃は鋭い。これは強豪との直接対決の問題ではない、なぜなら [[ボードー/グリムト]] は欧州の貴族階級とは到底言えないから、と。舞台が変われば「楽譜」も適応すべきだ、というのが同紙の締めくくりだった。国内リーグでの効果が、個の質の差から養分を得ているとすれば、その差が消える場所では別の設計が要る。厳しいが、避けて通れない指摘だろう。
キブにとって幸いなのは、リーグフェーズがまだ7試合残っていることだ。9月14日のウディネーゼ戦を挟んで、次の欧州の夜までには時間がある。
二冠を勝ち取った監督に、欧州での11試合6敗を突きつける。イタリアの新聞らしい、容赦のない仕事だ。だがこの数字は、糾弾の材料であると同時に、まだ書き換え可能な途中経過でもある。楽譜を書き直す時間は、残っている。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月10日
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