
ジョン・ストーンズ(John Stones)、ジェド・スペンス(Djed Spence)、カーティス・ジョーンズ(Curtis Jones)。この夏だけでインテルに加わった英国籍選手はすでに3人にのぼる。ブレグジット以降、イングランド国籍はEU圏外(extracomunitari)扱いとなり、登録できる人数には上限があるはずだった。それでも3人を同時に獲得できた裏にあるのは、セリエA特有の込み入った特例ルールの存在。
2021年のブレグジット発効以降、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド国籍の選手は、イタリアの労働許可上すべてEU圏外(extracomunitari)扱いとなった。ここまでは多くのファンが知る通りだ。
ただしセリエAだけは、2024/25シーズンから独自の緩和ルールを持っている。1クラブにつき1シーズン1人だけ、英国籍選手(またはアルバニア国籍選手も同様に1人)を、通常のEU圏外枠とは別枠で「EU圏内選手」とみなして登録できる。加えて通常のEU圏外枠自体も、保有人数に応じて0人なら3人まで、1人なら2人まで、2人なら2人まで、2人超なら2人まで(うち1人は直近12カ月で自国代表2試合以上、または通算5試合以上の代表歴が必須)というかたちで変動する。
インテルの今夏の獲得はこの枠にきれいに収まる。ストーンズはマンチェスター・シティを契約満了で退団しフリー移籍、スペンスはトッテナムから加入、そしてジョーンズはリヴァプールと合意に達し、移籍金は3500万ユーロ前後とされる。3人とも代表歴の条件は難なくクリアしており、特例の1枠と通常の2枠をちょうど使い切る計算だ。
2024年の規則改正はクラブに柔軟な補強を許すはずだった。だが実際には逆の効果も生んでいる。以前は保有する非EU選手を1人放出すれば新たに1人獲得できる仕組みで、シーズン中でも入れ替えの余地があった。今はその真逆で、シーズン開幕時点の保有数で枠が一括固定され、期中に誰を放出しても新規の枠は増えない。夏にフルで使い切れば、冬の市場でも非EU籍選手をもう1人も追加できないということだ。
ストーンズ、スペンスに続いてジョーンズを選んだ時点で、インテルは残りの枠をすべて守備・中盤補強に投じたことになる。裏を返せば、この夏フリーとなったジェイドン・サンチョ(Jadon Sancho)や、獲得が難航しているアデモラ・ルックマン(Ademola Lookman)のような攻撃陣の非EU籍選手に使える枠は、もうこの夏の時点で残されていない。編成陣がどのポジションを優先したかは、この枠の使い方を見れば一目瞭然だ。
枠がシーズン累計である以上、この制約は1月の冬市場にまで持ち越される。もし今後けが人が出て守備や攻撃に穴が空いても、フリーの非EU籍選手で穴を埋めるという選択肢はほぼ封じられている。ルール一つが、半年先の補強戦略まで縛っている格好だ。
ルールを知らずに見れば、インテルの補強劇はただの英国籍ラッシュに映る。だがその実態は、1シーズン分の枠をこの夏だけで使い切った編成だ。冬の市場で、その皺寄せはどこに出るだろうか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月28日
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