
パレストラを失った夜、インテルの動きは速かった。会長ジュゼッペ・マロッタ(Giuseppe Marotta)が旧知のフロレンティーノ・ペレス(Florentino Pérez)に電話を入れ、ニコ・パス(Nico Paz)への本気を伝えたという。アタランタの右サイドに用意していた5000万ユーロは、そのままコモのアルゼンチン人へ。だが主導権を握るのはレアル・マドリードであり、結論は木曜の会談まで宙づりのまま
マルコ・パレストラ(Marco Palestra)はチェルシーへ事実上去る。シャビ・アロンソの直接電話と、アタランタへの5500万ユーロ+選手への倍額年俸という攻勢の前に、インテルの先行は覆された。会長マロッタは強い落胆を隠さず、補強の最優先に右サイドを挙げていたクリスティアン・キブ監督も苛立ちを見せたと伝えられる。
そのインテルが即座に切ったカードがニコ・パスだった。トゥットスポルトによれば、マロッタは前夜のうちにレアル会長フロレンティーノ・ペレスへ直接連絡を取り、インテルがこのアルゼンチン人獲得を「絶対的に」決めていることを念押しした。パレストラ用に確保していた5000万ユーロは、そっくりニコ・パスへ転用される構図だ。レアルが想定する売却額は最低6000万ユーロとされる。
ただし決定権はマドリードにある。6月25日(木)、首都でレアルとコモが会談し、レアルが「アルゼンチン人を呼び戻す意思」をコモに確認するかどうかが分岐点になる。コモが残留を説き伏せればインテルは手を出せない。並行してインテルはプロヴェデル、ウマル・ソレ、カーティス・ジョーンズの各案件も進めている。
原文: "Ieri sera la prima mossa di un presidente Marotta molto amareggiato... è stata quella di mettersi in contatto con l'amico Florentino Perez per ricordargli come l'Inter sia assolutamente decisa a puntare su Nico Paz."
訳: 「強い落胆を抱えた会長マロッタの最初の一手は、前夜のうちに旧友フロレンティーノ・ペレスに連絡を取り、インテルがニコ・パス獲得を絶対的に決めていることを念押しすることだった」
原文: "Fino a giovedì l'Inter è spettatrice di quel che accade tra Como e Real. Se poi Como e Real non chiudono, l'Inter un tentativo può farlo. Ma fino a giovedì non muove un dito."
訳: 「木曜まで、インテルはコモとレアルの間で起きることの観客だ。その後コモとレアルがまとまらなければ、インテルは一度仕掛けられる。だが木曜までは指一本動かさない」(ファブリツィオ・ロマーノ)
パレストラ用の予算をそのまま付け替えるという発想自体は理にかなっている。だが数字を冷静に見れば、インテルが用意するのは5000万ユーロ、レアルが望むのは最低6000万ユーロであり、1000万の溝が残る。加えてニコ・パスはレアルが買い戻し権を含む権利を握る選手で、価格交渉はマドリードのさじ加減に左右されやすい。マロッタがフロレンティーノとの個人的な信頼関係に賭けたのは、この構造的な不利を人脈で動かそうとしたからだと考えられる。とはいえ会長同士の電話一本で1000万の差が消えるわけではなく、最終的にはコモとの三者の綱引きが価格を決める可能性が高い。
ここで見落とせないのは、ニコ・パスがパレストラと「まったく別の駒」だという点だ。パレストラは右サイドバック/ウイングバック、ニコ・パスはトレクァルティスタ寄りの攻撃的MF。キブ監督が最優先に挙げていたのは右サイドの補強であり、予算を攻撃的MFへ転用すれば、ダンフリースの後釜という当初の宿題はそのまま残る。ロマーノもパレストラとカンビアーゾ(Andrea Cambiaso)を「まったく異なるタイプ」と評し、別路線の可能性に注意を促した。つまり今回の転用は、穴を埋める補強から、質で殴る補強への方針転換とも読める。攻撃の総量は上がるが、右サイドの空白をどう処理するのかという問いが新たに生まれると推察する。
ニコ・パスのノートには、かつて「モウリーニョのレアル新監督就任で道は事実上閉ざされた」と記されていた。だが選手本人がベルナベウ復帰に確信を持てず、レアルが売却に傾いたことで、閉じたはずの扉がわずかに開いた。マロッタの電話はその隙間に滑り込ませた一手だ。もっとも、トゥットスポルトが「ボッチーノ(主導権)はメレンゲスの手にある」と書く通り、最後に決めるのはインテルではない。コモが残留の論拠を整えれば、すべては振り出しに戻る。マロッタの外交が実るかどうかは、木曜のマドリードでの数時間に懸かっていると言っていい。
木曜、マドリードのテーブルで決まるのはニコ・パスの行き先だけではない。パレストラを逃したインテルの夏そのものの色が、あの一日で塗り替わるかもしれない。マロッタの電話は、果たしてフロレンティーノの胸に届いたのか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年6月24日
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