
キブの苛立ちは、解説者たちの目には少し違って映ったらしい。パルマ戦前日に「なぜインテルにだけアンチと言うのか」と反発した指揮官に、アンブロジーニとコスタクルタが相次いで首をかしげた。王者が自ら標的の看板を下ろそうとすれば、かえって目立つのか。ローマとコモが引き分けた日曜に、あの会見が再び語られている。
10月9日のパルマ戦前日会見で、クリスティアン・キブ(Cristian Chivu)監督は「ローマはアンチ・インテルなのか」という趣旨の質問に反発し、なぜアンチ・ミランやアンチ・コモとは言わないのかと問い返した(既報:2026-10-10_chivu-roma-anti-inter-conferenza-parma)。この発言が、11日になって元選手の解説者から相次いで取り上げられた。
まずマッシモ・アンブロジーニ(Massimo Ambrosini)。FC Inter 1908によれば、DAZNでコモ対ローマのキックオフ直前に語った。キブの言葉には、明らかに最強のチームから注目をそらしたい意図が少しあったと見る。ローマとコモには挑む技術面・精神面の備えがあるとしつつ、インテルからタイトルを奪うのは極めて難しいとも付け加えた。
続いてコスタクルタ(Costacurta)。同じくFC Inter 1908の報道では、Skyで「正直に言ってキブがわからない」と述べた。見出しにはもう一言「sembra che gliela tiriamo」が添えられているが、慣用的な言い回しで意味の取り方が分かれるため、ここでは訳さない。また、パルマ戦の前にキブが「自分たちが何者か知っている。胸に王者のメダルがあると思い出させてもらう必要はない」と話したとも紹介されている。なお、この日のコモ対ローマは0-0で終わった。
原文: "Nelle parole di Chivu c'era un po' la volontà di distogliere l'attenzione da una squadra che è evidentemente la più forte"
訳: 「キブの言葉には、明らかに最も強いチームから注目をそらそうとする意図が少しあった」
原文: "Non capisco Chivu sinceramente."
訳: 「正直に言って、キブのことがわからない」
アンブロジーニの見立てが正しければ、キブの反発は戦略的な発言という見方になる。ただし、キブ本人は会見で「今は早すぎる」と述べており、10月の時点で王者対挑戦者の構図が固まることを避けたかったとも考えられる。パルマ戦前の「胸にメダルがあると思い出させてもらう必要はない」という言葉も、慢心ではなく自戒のようにも読める。どちらが本音かは、元記事からは分からない。解説者の読みは一つの見方にすぎず、鵜呑みにはできない。
結果だけを並べると、インテルはパルマに3-0で勝ち、ローマとコモは0-0だった。L'Interistaは、マレンの退場があったコモ対ローマで勝ち点を落とした両クラブに対し、インテルが勝ち点2ずつ差を広げたと伝えている。1節の結果で全てが決まるわけではないが、「王者が最強」という解説者たちの前提は、日曜の結果である程度裏づけられた形だ。もっとも、アンブロジーニが言うとおり、ローマとコモは守備の数字も良く、長丁場のどこかで王者の足元を揺らす可能性は残ると考えられる。両クラブとの直接対決で、どんな顔を見せるかも気になるところだ。
キブは現役時代の2010年にインテルでトリプレーテを経験している(背景知識)。標的にされる重さも、頂点に立つ高揚も知っている指揮官だろう。だからこそ、外野が貼るレッテルに距離を置き、目の前の一戦に集中させたかったのではないか、と推察する。王者が背負うプレッシャーの扱い方は、シーズンの終盤に向けて大きな差を生む可能性がある。ミラノの王座は、ピッチの外の言葉でも試される。この日の解説者たちの反応は、その予告編に見える。
王者のレッテルを自分で剥がそうとすれば、周りは余計に貼りたがる。キブの苛立ちが本物でも作戦でも、答えはピッチでしか出せない。次の相手はクラブ・ブルッヘ。標的の重さを知る男は、どう戦うのか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年10月11日
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