
代理人のミラノ入りが報じられた翌日の夜、インテルのスポーツディレクターが自らマイクの前で口を開いた。クリスティアン・ロメロへの関心は「選手にもクラブにも伝えている」。水面下で進んでいた交渉が、当事者の言葉で初めて表に出た瞬間だ。一方でペリシッチ復帰の噂には三度の「ノー」。カラブリアの映画祭の壇上から届いた、真夏の市場の現在地。
インテルSDのピエロ・アウジリオが7月25日夜(現地時間)、カラブリア州ソヴェラートで開幕した第23回マグナ・グレチア映画祭のオープニングに出席し、その場でのインタビューで移籍市場の現状を語った。発言はジャンルカ・ディ・マルツィオ(Gianluca Di Marzio)の公式サイトやFC Inter 1908、FCInterNewsなど複数のイタリア媒体が報じている。
最大の注目は、トッテナムのアルゼンチン代表CBクリスティアン・ロメロについて「選手側とクラブ側の双方に関心を示している」と、交渉の存在を初めて公の場で認めた点だ。前日にはロメロの代理人陣営がミラノ入りし、ドナウエッシンゲンのキャンプから戻ったアウジリオとの接触が報じられたばかり。タイミングを考えれば、この発言は単なるリップサービスではなく、交渉が本格局面に入ったことの追認と考えられる。
一方で、かつての功労者イヴァン・ペリシッチ(Ivan Perišić)の復帰観測には「ノー、ノー、ノー。絶対にない」と完全否定。右サイドの補強については「特定の名前はない。ハライリの問題で少し遅れたが、市場終了まで1か月以上ある」と余裕を強調し、前線は「4人の非常に強力なアタッカーがいる。変更はないと思う」と補強終了を宣言した。
原文: "Sicuramente c'è un interessamento che stiamo manifestando sia al calciatore che al club, vediamo."
訳: 「確かに関心はあるし、それは選手にもクラブにも伝えている。様子を見よう」
原文: "Purtroppo Khalaili ha avuto un problema e quindi ci ha un po' rallentato, ma fa parte del calcio. Poi ci si dimentica che comunque siamo ancora a fine luglio e manca più di un mese alla fine del calciomercato."
訳: 「残念ながらハライリに問題が起きて、我々の計画は少し遅れた。だがそれもサッカーの一部だ。忘れられがちだが、まだ7月末で、市場終了まで1か月以上ある」
移籍交渉の最中にSDが対象選手への関心を公言するのは、インテルの流儀としてはむしろ異例だ。それでもアウジリオが口を開いた背景には、交渉のフェーズが変わったという判断があると考えられる。ロメロを巡ってはアーセナル、チェルシー、バルセロナの関与が報じられており、資金力で勝る英国勢に対し、インテルが差し出せるのは「主役の座」と「セリエA帰還」、そして盟友ラウタロの存在だ。関心の公言は、選手本人へ向けた口説き文句の一部として機能する。トッテナムが要求する移籍金は5000万〜5500万ユーロとされ、約4000万ユーロの提示からどう距離を詰めるかが今後の焦点になるだろう。
FCInterNewsは25日午後、「ペリシッチはインテルを待っている」と独占報道したばかりだった。それから数時間後のアウジリオの三連発の「ノー」は、この観測への即答と読める。前線について「4人の非常に強力なアタッカー」と語った以上、右サイドの補強はあくまでウイングバック、つまりダンフリース退団後の枠の話であり、攻撃陣の追加はないという整理だ。ハライリの負傷という誤算を認めつつ「焦りはない」と語る姿勢からは、無理な高値掴みを避けるオークツリー体制の規律が透けて見える。
W杯決勝での敗戦後、休養中のラウタロについて「頻繁に連絡を取っている」とわざわざ触れたのは、キャプテンのメンタルを気遣う内向きのメッセージであると同時に、ロメロ獲得レースにおける切り札の提示でもあると推察する。アルゼンチン代表の同僚がミラノで待っている。この事実は、ロンドンの2クラブがどれだけ札束を積んでも用意できない materia prima だ。代理人との交渉が続く今週、ラウタロの存在感は数字以上の重みを持つことになるかもしれない。
SDの言葉は市場へのシグナルであり、選手へのラブレターでもある。「様子を見よう」と語ったアウジリオの視線の先には、ロンドンではなくミラノでの背番号発表がすでに見えているのではないか。沈黙のクラブが声を出した。それ自体がニュースだ。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月26日
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