
「本職ではない右サイドでディウフを試す」。1週間前にそう報じられたとき、これを本気の構想と受け取った者がどれだけいただろうか。7月26日、ドイツ合宿の総決算となったカールスルーエSC戦。後半アディショナルタイムに響いた2発の銃声が、クリスティアン・キブの奇策を「現実」へと変えた瞬間だった。
インテル・ミラノは7月26日、ドイツ遠征最後の親善試合でカールスルーエSC(Karlsruher SC)に2-1の逆転勝利を収めた。満員の3万1000人が見守るヴィルトパルクシュタディオンで、51分にツィヴェヤに先制を許した展開を覆したのは、アンディ・ディウフ。91分にペナルティエリア外からの強烈なミドルで同点に追いつくと、94分にはアレッサンドロ・バストーニのアシストから左足で逆サイドのネットを揺らす芸術的な一撃を沈めた。
注目すべきは、その2発が「右のエステルノ」というディウフの新しい持ち場から生まれたことだ。FCInterNewsは彼を映画『パルプ・フィクション』の始末屋になぞらえ「キブのMr. Wolf」と評した。昨季終盤のボローニャ戦での同点弾に続き、またも土壇場で試合を決めたフランス人に、賛辞が集まっている。
原文: "L'ho provato molte volte in allenamento questo tiro. Voglio fare il meglio che posso per aiutare i miei compagni. A destra devo lavorare duramente perché non è la mia posizione naturale"
訳: 「このシュートは練習で何度も試してきたものなんだ。チームメイトを助けるために、できる限りのことをしたい。右サイドについては、本来の自分のポジションではないから、懸命に取り組む必要がある」
原文: "Ho parlato molto con il mister in allenamento, non è facile in questa nuova posizione ma darò il meglio"
訳: 「練習中にミスターとたくさん話してきた。この新しいポジションは簡単ではないけれど、ベストを尽くすよ」
デンゼル・ダンフリースがレアル・マドリードへ去って以降、インテルの補強戦線は右サイドの後継者探しに振り回されてきた。ドゥエ、スペンス、モリーナと名前が並んだキャスティングは、いまだ決定打を欠いたままだ。そこに現れたのが、中盤の増強要員として獲得したはずのディウフという伏兵である。もちろん親善試合の45分間で結論を出すのは早計だが、本人が「本職ではない」と認めるポジションで結果を出した事実は、フロントの補強優先順位に影響を与える可能性がある。外部への投資をCB補強に集中させたいクラブにとって、これほど都合のいい「発見」はないと考えられる。
試合全体を見れば、手放しで喜べる内容ではなかった。FCInterNewsが指摘した通り、連戦の疲労で全体的に脚が重く、バレッラのバックパスミスから失点しかねない場面もあった。一方で、前半はビセック、ボビオ、カルロス・アウグスト、後半はパヴァール、マイ、バストーニと、3バックの組み合わせを大胆に入れ替えながら高い位置からのアグレッションを試みた点は、キブの明確な実験意図の表れだろう。放出リストに載りながら先発したパヴァールがヘディングで決定機を作った場面も、生き残りを懸けた競争の熱を感じさせた。
ディウフにとって昨季は、鮮烈なボローニャ戦の一撃を除けば我慢の時間が長いシーズンだった。だからこそ、新体制の初陣で「土壇場の男」の記憶を上書きした意味は大きい。フランス語で意思疎通できるパヴァールが背後を守る配置も、本人が「フランス人が近くにいるのは間違いなくやりやすい」と語る通り、適応を後押しする要素になり得る。8月22日のモンツァとの開幕戦まで1か月弱。奇策が定跡へと昇格するかどうかは、より強度の高い相手との次のテストで見えてくるはずだ。
構想は1週間で実戦の得点に変わった。疲れた脚と重い空気を切り裂いたAT2発は、キブの新しいインテルが持つ引き出しの深さを示している。Mr. Wolfは問題を解決する。ならば右サイドという積年の問題も、彼に任せてみる価値はあるのではないか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月27日
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