
100周年の節目を越えても、サン・シーロはまだ「建ててから壊すのか」という問いから自由になれない。上院議長イニャツィオ・ラ・ルッサが、新スタジアムの隣に旧スタジアムを残す構想を改めて語り、ミラノ市議会の議員たちがすぐに異論を唱えた。政治の言葉が、インテルとミランの新本拠地計画に影を落としはじめている。
発端は10月17日、ミラノでのノルマ・コッセット殺害83周年の追悼行事の合間に、上院議長イニャツィオ・ラ・ルッサ(Ignazio La Russa)が記者に語った内容だ。FC Inter 1908がANSAの素材として伝えた。ラ・ルッサは新スタジアムの必要性そのものは認めつつ、「サン・シーロを壊す必要は見当たらない」と述べた。新設後に旧スタジアムを取り壊す現行の流れについては、費用が約1億ユーロにのぼり、環境負荷も大きいと批判した。ただしこの金額は本人の主張であり、元記事は裏づけを示していない。
18日にはFCInterNewsがクリスティアン・リオッタ(Christian Liotta)の署名で続報を出した。ラ・ルッサは「中道右派がミラノで勝てば、新スタジアムの隣にサン・シーロが残る未来を予想する」と発言を重ねた。これに市議のエンリコ・フェドリギーニ(Enrico Fedrighini)は、7万席級のスタジアムを隣り合わせで二つ維持するのは現実的でないと反論。民主党(PD)のベアトリーチェ・ウグッチョーニ(Beatrice Uguccioni)市議団長も、選挙戦向けの発言だとして退け、まずクラブ側の計画を見るべきだと述べた。インテルやミランのコメントは、元記事にない。
背景として、新スタジアムの技術経済的実現可能性計画(PFTE)の提出は、サン・シーロ・スタディオ社が売買契約にある3カ月の延長を使い、期限が8月5日から11月5日へ動いた。最初のスケッチは10月29日の予定とされるが正式発表ではなく、設計は「フォスター・アンド・パートナーズ」とMANICA、着工は2027年後半を見込む。これはCalcio e Finanzaの報道を、FCInterNewsが17日に伝えたものだ。
原文: "Se vince il centrodestra a Milano prevedo un futuro del nuovo stadio con a fianco San Siro."
訳: 「中道右派がミラノで勝てば、新スタジアムの隣にサン・シーロが並ぶ未来を予想している」
原文: "due stadi da 70mila posti a pochi metri l'uno dall'altro"
訳: 「数メートルしか離れていない場所に、7万席のスタジアムが二つ」(フェドリギーニ市議が、二つの維持は現実的でないと述べた箇所)
ラ・ルッサの提案は、新設後に建設できない部分の敷地を市がクラブに提供し、旧スタジアムを欧州カップ戦や国際試合に使うという構想だ。ミラノにはそうした施設がないという主張が根拠になっている。ただ、フェドリギーニは、敷地がすでにクラブへ売却された点を指摘し、旧スタジアムを残すなら新築ではなく改修の計画になると反論した。二つの会場の維持費と運営主体をだれが担うのか、元記事は踏み込んでいない。クラブの収益構造に与える影響も、現時点では推測にとどまる。
11月5日に迫るPFTEの期限と、10月29日に予定されるスケッチは、クラブ側の時計だ。選挙の投票日は元記事に記載がなく、ラ・ルッサの発言が計画にどこまで影響するかは見通せない。ウグッチョーニが選挙戦向けの発言と見たように、議論が政治日程に引き寄せられる可能性は考えられる。着工が2027年後半の見込みという以上、設計が固まる前に再び争点化すれば、遅れを招く恐れもある。クラブ側が政治の綱引きに巻き込まれず、予定どおり図面を示せるかどうかが、当面の分かれ目になりそうだ。
ラ・ルッサは、新スタジアムそのものには反対せず解体にだけ反対するクルヴァの動きを評価した。Internews24は最近、サン・シーロ100周年に向けてクルヴァ・ノルドが用意した横断幕3枚が認められなかったと伝えている。こちらは詳細を確認していない。解体への抵抗が政治家とスタンドの両方から出ていることは、歴史の重みをどう残すかというクラブの課題を示すと考えられる。ただし、マロッタ会長については、ラ・ルッサが「彼は微笑む」と語ったと伝わるだけで、本人の見解は不明のままだ。
建てるのか、残すのか、壊すのか。100年を生きたスタジアムの行く末は、ピッチの外の言葉に左右され続けている。インテルが静かに沈黙を保つあいだ、この議論はいつ結論に着地するのだろうか。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年10月18日
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