
守備の柱に、遠くサウジアラビアから熱視線が注がれている。アル・ヒラルがインテルの中心的存在アレッサンドロ・バストーニの獲得に興味を示していると、20日にスカイ・スポルトが伝えた。指揮を執るのは、昨季までミラノでスクデットの歓喜を知る男、シモーネ・インザーキその人。教え子に直接電話をかけたとも報じられる、恩師からの静かなアプローチ。
スカイ・スポルトが7月20日に報じたところによれば、サウジアラビアの強豪アル・ヒラルがアレッサンドロ・バストーニの獲得に関心を寄せているという。同日、FCInterNewsとジャンルカ・ディ・マルツィオも追随して伝え、複数媒体の裏取りが取れた格好だ。とりわけ話題を呼んでいるのは、アル・ヒラルの指揮官がシモーネ・インザーキだという点にある。昨シーズンまでインテルを率い、選手たちと厚い信頼関係を築いてきた男が、自ら電話でバストーニに接触したとも報じられている。
もっとも、現時点でアル・ヒラルからインテルへの公式オファーはまだ提示されていない。アル・ヒラルはクラブ規定に基づく外国籍枠の都合を抱えており、バストーニ獲得に動く前に別の外国人選手を放出する必要があるとされる。インテル側の希望評価額は8000万ユーロが起点になると伝えられており、この数字は今年6月にバルセロナの関心が報じられた際の水準とほぼ変わらない。
背景も無視できない。今夏の当初、バストーニの代理人はプレミアリーグ勢の関心に対して「本人はインテルに残りたがっている」という趣旨のコメントを残していたと複数媒体が伝えている。恩師インザーキの誘いがこの意向をどこまで揺さぶるかは、まだ読み切れない部分が大きい。
インテルが掲げる8000万ユーロという評価額は、6月のバルセロナ関心報道時から据え置かれている。オークツリー体制下で主力の安売りを避けたいという編成方針の一貫性が読み取れる一方、サウジアラビアの資金力は欧州クラブとは異なる論理で動くと考えられる。財政的な制約を抱える欧州勢に対しては抑止力として機能してきた高値設定も、潤沢な予算を持つアル・ヒラル相手にどこまで通用するかは未知数だと言えるだろう。ただし外国籍枠という制度的な制約が先に横たわっている以上、インテルには交渉の主導権を握る時間的余裕が残されていると推察される。
キブ体制の3-5-2において、バストーニは単なる守備者ではなく、後方からのビルドアップの起点を担う存在だ。今夏はすでにフランチェスコ・アチェルビとマッテオ・ダルミアンが契約満了で退団しており、中央守備の頭数はもともと手薄になっている。この状況でバストーニまで抜ければ、守備の再建は補強レベルではなく設計レベルの見直しを迫られる可能性がある。現時点で具体的な代役候補が挙がっていないことを踏まえると、クラブがこの誘いに簡単に応じるとは考えにくい。
インザーキが率いたインテルは、まさにバストーニたちの世代がスクデットを掲げた時代でもある。その指揮官が今、教え子に自ら電話をかけて誘うという構図は、移籍市場の駆け引き以上に、ファンの感情を強く揺さぶる物語性を持っていると考えられる。ただし現段階では興味の表明にとどまり、公式オファーすら存在しない。恩師の誘いに教え子がどう応えるのか、その行方はまだ誰にも分からない。
高額な評価額と制度上の壁が、いまはインテルに時間を与えている。だが電話の向こうにいるのは、かつて肩を並べて優勝を喜んだ指揮官だ。教え子の心が揺れるかどうか、ミラノの夏はもうしばらく静かに見守るしかない。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年7月21日
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