
一年前、彼はミラノにいなかった。スクデットもコッパ・イタリアも、テレビの前で見ていた。それでも[[バンジャマン・パヴァール]]は「あのスクデットは実質的に自分も勝ち取った」と言う。開幕戦でピッチに立っていたからだ。復帰後初のジュゼッペ・メアッツァで鳥肌が立ったと明かしたフランス人が、ナポリ戦の前日に語った、過去との折り合いのつけ方
インテル対ナポリのキックオフを数時間後に控えた2026年9月4日、パヴァールが[[DAZN]]のインタビューに応じた。[[FCInterNews]]が同日19時30分に掲載した内容は、目前のビッグマッチの話から始まり、やがて彼自身の一年へと向かっていく。
パヴァールは2025-26シーズンを[[マルセイユ]]で過ごし、この夏にミラノへ戻った。復帰後初めてジュゼッペ・メアッツァに立った試合について、本人は「鳥肌が立った」と表現している。チームメイトとサポーターに再会できたことが嬉しかった、と繰り返した。
昨季のインテルを見ていたか、そしてドッピエッタ(二冠)の年にプレーできなかった悔いはあるか、という問いへの答えが最も踏み込んだ部分だ。パヴァールはマルセイユからもインテルの試合を可能な限り追っていたと述べ、スクデット獲得を心から喜んだと語った。そのうえで、開幕戦に出場している以上「実質的に自分もスクデットを勝ち取った」のだと言い添えている。変わったかと問われると、娘が生まれたことで少し変わったかもしれないが自分は自分だ、と応じ、昨季については「起きたことが起きた」とだけ述べた。
戦術面では、カリアリ戦で右のクイントとして起用された点に触れられた。パヴァールは監督とグループの意向に従うと述べ、普段はもっと低い位置でプレーするが過去にその位置でもプレーしたことがある、と説明している。加えて、この夏加入した[[ジョン・ストーンズ]]と[[カーティス・ジョーンズ]]、そして[[ピオ・エスポージト]]についても評価を語った。
原文: "Perché di fatto lo Scudetto l'ho vinto anche io, avendo giocato il primo match... Sono anche contento per la vittoria in Coppa Italia, adesso sono tornato per dare tutto per questa maglia, per l'allenatore, il gruppo e i tifosi."
訳: 「実質的に、あのスクデットは自分も勝ち取ったんだ。開幕戦に出ているのだから……。コッパ・イタリア制覇も嬉しかった。今は戻ってきて、このユニフォームのため、監督のため、グループとサポーターのためにすべてを捧げるつもりだ」
原文: "L'anno scorso è successo quello che è successo, ora sono tornato e sono pronto a dare tutto."
訳: 「去年は、起きたことが起きた。今は戻ってきて、すべてを出す準備ができている」
この一年、パヴァールをめぐる情報は決して静かではなかった。2026年7月末には代理人[[フェデリコ・パストレッロ]]が国外移籍先を探す国際マンデートを保持していると伝えられ、去就が宙に浮いた時期もあった。にもかかわらず、本人はこの日、経緯について何ひとつ説明していない。「去年は起きたことが起きた」で閉じ、そこから先へは進まなかった。
これは逃げではなく、むしろ計算された処理だと考えられる。開幕から2連勝でナポリを迎える週に、自分の過去の説明で紙面を消費する意味はない。加えて、彼が語った「実質的に自分も勝った」という理屈は、法的にも心情的にも成立する(開幕戦に出場していれば優勝メダルの対象になる)。過去を否定せず、しかし論争にもしない。復帰組がロッカールームで居場所を作るうえで、これ以上に効率的な言い回しは考えにくい。
戦術面で見逃せないのは、カリアリ戦での右のクイント起用に対するパヴァールの反応だ。彼は「普段はもっと低い位置でプレーする」と正直に認めつつ、過去にその位置でもプレーした経験があると付け加え、監督が望むなら100%を出すと述べている。
いま右サイドには[[ジェド・スペンス]]と[[アンディ・ディウフ]]がいて、[[デンゼル・ダンフリース]]が去った穴の埋め方はまだ流動的だ。そこへ、本来はCB/右SBのパヴァールが3枚目のカードとして加わる。[[3-5-2]]の右で「押し上げ役」ではなく「閉じる役」が必要になる試合――たとえば強力なウイングを持つ相手との対戦――では、この選択肢が効いてくる可能性があると考えられる。スペンスが小さな負傷で出遅れている現状を踏まえれば、なおさらだ。ただし本人が第一希望として語っているわけではない点は、区別して読む必要がある。
もうひとつ、記録に残しておきたいのが「鳥肌が立った」という一言だ。復帰した選手が古巣の空気を褒めるのは定型句に近いが、パヴァールの場合は事情が違う。彼は二冠の年をスタンドの外側から見ていた。祝福の輪の中に自分がいなかった一年を挟んで戻ってきた選手が最初に口にした感情が、喜びでも安堵でもなく身体反応だったことには、それなりの意味がある。
インテルは今季、[[ジョン・ストーンズ]]や[[カーティス・ジョーンズ]]といったプレミアリーグ経験者を並べ、編成の質を上げた。だが新戦力が最初の数か月で最も苦しむのは技術ではなく、このクラブ特有の重さへの適応だ。その意味で、重さを知ったうえで戻ってきたパヴァールは、補強リストには載らない種類の戦力だと言える。
去年の話をしない。今年の話しかしない。パヴァールがナポリ戦の前日に選んだのは、そういう距離の取り方だった。開幕戦の90分で手にしたスクデットを、彼はこれから自分の足で上書きしにいく。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年9月5日
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