
移籍市場の閉幕まで一週間。アッピアーノ・ジェンティーレでは主力がカリアリ戦へ向けて汗を流し、その外側では放出リストに載った選手たちの電話が鳴り続けている。火曜の午前、その一本が思いがけない方角から届いた。発信元はミラノでもロンドンでもなく、アブダビ。相手はこの夏ずっと行き先を探していたアルバニア代表のレジスタだった。
ジャンルカ・ディ・マルツィオ(Gianluca Di Marzio)が8月25日午前、クリスティアン・アスラニ(Kristjan Asllani)にアラブ首長国連邦のアル・ジャジーラ(Al Jazira)が本格的に動いていると報じた。すでに接触は始まっており、クラブ側は中盤の質を上げるための補強として2002年生まれのアルバニア代表を欲しがっている。エンポリからミラノへ来た男の前に、UAEプロリーグという想定外の扉が開いた形だ。
ただし、話はそこで止まっている。ファブリツィオ・ロマーノ(Fabrizio Romano)によれば、アル・ジャジーラが望んでいるのはレンタルでの獲得であり、インテル・ミラノは完全移籍での放出を主張している。金額の話ではなく、まず形式の話でクラブ同士の見ている先が違う。そして最大の変数は選手本人だ。アスラニはまだ移籍への同意を出していない。
同じ日の朝、コッリエレ・デッロ・スポルトはアスラニとヤニス・マッソリン(Yanis Massolin)の二人について、モンツァからの関心が具体的な話に発展しなかったと伝えていた。同紙の見立てでは、アスラニに必要なのは「おそらくラストミニッツのレンタル」である。数時間後に飛び込んできたアル・ジャジーラの話は、その予想を上書きしにきたのか、それとも形式の壁に阻まれて予想通りに着地するのか。まだ誰にも分からない。
原文: "In medio oriente, sottolinea Fabrizio Romano, vorrebbero il centrocampista albanese in prestito, mentre l'Inter insiste per una cessione a titolo definitivo."
訳: 「中東側はアルバニア代表MFのレンタルを望んでいる、とファブリツィオ・ロマーノは指摘する。一方でインテルは完全移籍での売却を主張している」
原文: "Più complicata la situazione di Asllani, per il quale servirà, con ogni probabilità, un prestito last minute."
訳: 「より込み入っているのはアスラニの状況で、彼にはおそらくラストミニッツのレンタルが必要になるだろう」
一見すると事務手続きの話に見えるが、実際にはこの一語がクラブの夏の決算を左右する。完全移籍ならその瞬間に売却益が計上され、選手の年俸も帳簿から消える。レンタルなら年俸の一部は残り、来年の夏に同じ問題がもう一度戻ってくる可能性がある。オークツリー体制のインテルがこの数年、放出のたびに「買い取り義務」や「完全移籍」という言葉にこだわってきた理由はそこにあると考えられる。
一方でアル・ジャジーラ側の言い分にも理屈はある。UAEプロリーグの外国人枠と予算のなかで、まだ実績が確定していない選手にいきなり移籍金を払うより、まず一年見てから判断したい。どちらの主張も合理的で、だからこそ折り合うには時間がかかる。そして残された時間は一週間しかない。最終的には買い取りオプション、あるいは買い取り義務付きのレンタルという中間解に落ちる可能性が高いと推察するが、現時点でその形式が議論されているという報道はない。
もっとも重要なのは、二つのクラブが合意しても話が終わらないという点だ。ロマーノもディ・マルツィオも、選手がまだ首を縦に振っていないことをはっきり書いている。ミラノでの序列を考えれば移籍は現実的な選択だが、行き先がヨーロッパの外となると話の性質が変わる。2002年3月生まれ、まだ24歳のアルバニア代表にとって、UAEでの数年間は代表での立ち位置にも跳ね返ってくるからだ。
裏返せば、そこには魅力もある。元記事は「再び主役に戻る機会」と「相応の年俸」という二点を挙げている。ミラノで数分の出場をベンチから待ち続ける日々と、中東で試合の中心に立つ日々。どちらが選手としての幸福なのかを決められるのは、本人だけだ。
同時に動いているマッソリンの案件も、性格はまったく違う。コッリエレ・デッロ・スポルトによれば、彼はドイツでの合宿中に負った怪我で長期間止まってしまい、自分を見せる場を失った。それでもリーグ・アンでは少なくとも3クラブが問い合わせを入れており、母国で出場時間を得ることが本人にとってもインテルにとっても理想的だと同紙は書く。ガゼッタ・デッロ・スポルトも、モンツァ行きが冷え込んだ一方で国外から複数のオファーが届いていると伝えた。
同じ「放出リストの中盤」でも、片方は資産の現金化、もう片方は資産の育成である。この使い分けができているうちは、インテルの編成はまだ健全だと言っていい。
一週間後、アスラニがどこにいるのかは誰にも分からない。ミラノに残る可能性も、アブダビにいる可能性も、まったく別の街にいる可能性もある。ただ確かなのは、彼が四年間かけて手に入れられなかったものを、今度こそ探しに行こうとしていることだ。その扉を開ける鍵は、クラブではなく本人が握っている。
スポーツ×ITの会社でバックエンドエンジニア兼マネージャーとして勤務。インテル関連の情報を中心に発信しています。
最終更新: 2026年8月25日
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